2026年5月19日の搭乗分から、ANA国内線が大きく変わった。予約システムを国際線と同じアマデウス社製に統合し、運賃の名前も、クラスの表記も、ラウンジのルールも、まとめて刷新されている。SFC会員や、ふだんからANAに乗っている人ほど「あれ、表示が変わった」と気づいたはずだ。
TE travel 編集部もマリオット チタン・ANA上級会員として実際に予約画面で確認した。この記事では、なにがどう変わったのかを、マイラー目線で整理しておく。
いちばん目立つ変化——「プレミアムクラス」が「ファーストクラス」表記に
予約検索の画面で、これまで「プレミアムクラス」と表示されていた席が「ファーストクラス(プレミアムクラス)」に、「普通席」が「エコノミークラス」に変わった。
ただし、ここはまちがえないでほしい。ANAは「表記の変更のみで、サービス内容の変更は予定していない」とはっきり言っている。座席も、機内食も、ラウンジ利用条件も、これまでと同じだ。名前だけが国際線の呼び方にそろった、というのが正確なところ。
なぜこうなったかというと、新しい予約システム「アマデウス アルテア(Amadeus Altea)」が国際線基準の表記をつかうからだ。ANAは1988年から自社開発の「エイブル」で国内線を動かしてきたが、これを国際線(2015年に統合ずみ)と同じ土台にのせた。システムを一元化することで、維持費を旅客数に連動した変動費にできる、というのが会社側の狙いとされている。
| これまでの表記 | 2026年5月19日からの表記 | サービス内容 |
|---|---|---|
| プレミアムクラス | ファーストクラス(プレミアムクラス) | 変更なし |
| 普通席 | エコノミークラス | 変更なし |
そもそも、なぜいまシステムを統合したのか
背景には、ANAが長年つかってきた国内線の予約システム「エイブル」がある。エイブルは1988年に自社開発で導入されたもので、当時としては高速で安定した名機だった。マイラーのあいだでは「爆速able」と呼ばれ、操作のキビキビ感を惜しむ声も多い。
いっぽうで、自社開発のシステムは維持・改修にお金がかかりつづける。固定費としてのしかかるこの費用を、旅客数に連動した変動費に変えられるのが、アマデウス アルテアへ移行する大きな理由とされている。国際線はすでに2015年にアマデウスへ移っているので、今回の統合で国内線・国際線が同じ土台にそろったことになる。
システムがひとつになると、海外の航空会社との連携もしやすくなる。スターアライアンスをまたいだ予約や、国内区間をふくむ国際線航空券のあつかいが、これまでよりなめらかになっていく。つまり今回の刷新は、目先の表記変更というより、ANAが世界の航空ネットワークと同じことばで動くための土台づくりだと見るのが正しい。
新しい国内線運賃は「シンプル」「スタンダード」「フレックス」の3本立て
運賃のラインアップも整理された。これまでの細かい運賃名が、国際線の考え方にあわせて「シンプル」「スタンダード」「フレックス」の3つにまとまっている。価格と、付いているサービスの違いを、比較しやすくするのが目的だ。
マイラーとしていちばん注意したいのが、いちばん安い「シンプル」の座席指定だ。シンプル運賃では、座席指定が出発24時間前のオンラインチェックインのときまでできない。安さと引きかえに、席を選ぶ自由を後ろ倒しにする設計になっている。迷ったら、事前の座席指定もアップグレードもできる「スタンダード」を選んでおくのが無難だ。
| 運賃タイプ | 事前の座席指定 | 向いている人 |
|---|---|---|
| シンプル | 24時間前まで不可 | とにかく安く乗りたい人 |
| スタンダード | 可能 | 迷ったらこれ。座席もアップグレードも自由 |
| フレックス | 可能 | 予定が変わりやすく、変更の柔軟さを優先する人 |
有料アップグレードは、出発時刻の24時間前から受付がはじまる。出張や旅行の前日、空席状況を見てプレミアムクラスに上げる、という使い方ができる。
国際線とルールが共通化——国内区間のアップグレードがやりやすくなった
今回の刷新でいちばん実利が大きいのは、国内線と国際線のルール共通化だ。予約が一元管理されることで、これまで別々だった部分がつながっていく。
- 国内線の普通席(エコノミー)から、マイルをつかってプレミアムクラスへアップグレードできるようになる
- 国際線航空券にふくまれる日本国内区間で、エコノミーからプレミアムクラスへのアップグレードがしやすくなる
- 海外の航空会社とのシステム連携もしやすくなる
とくに、海外発・海外行きの旅で国内線をつなぐ人にとっては、国内区間を快適なプレミアムクラスに上げる選択肢が現実的になった。たとえば地方空港から羽田・成田で国際線に乗り継ぐとき、これまでは国内区間だけ別運賃・別ルールであつかいに気をつかったが、今後はひとつの旅程としてアップグレードまで見通しやすくなる。出張や長距離移動が多いSFC会員ほど、この恩恵は積み重なっていく。
ANA上級会員の特典航空券・アップグレードのつかい方は、ANAマイル・SFC 完全ガイドでも整理しているので、あわせて読んでほしい。ステータスをもっている人ほど、今回の共通化でできることが増えている。
国内線ラウンジのルールも変わった
地味だが見落とせないのが、国内線ラウンジまわりの変更だ。
- 有料ラウンジサービスの料金が改定された
- 支払い方法が、これまでの現金にくわえてクレジットカードにも対応した
- 国内線ラウンジサービスのマイル積算は、2026年5月18日搭乗分をもって終了した
システム移行そのものは2026年5月19日から6月9日にかけて順次おこなわれた。移行期間は予約や変更の動作が一時的にもたつく場面もあったが、現在は落ち着いている。ただ、長年エイブルの速さに慣れた人ほど、新システムの操作感には「ワンテンポ遅い」という印象をもったかもしれない。これは国際線基準の汎用システムにそろえた以上、ある程度は避けられないトレードオフだ。
とはいえ、もたつきと引きかえに得たものは大きい。国内線と国際線が地続きになったことで、これまで「別の乗り物」のようにあつかわれていた国内区間が、世界一周や乗り継ぎ旅程のなかに自然と組み込めるようになった。スターアライアンスをつかった広い旅程の組み立て方は、世界一周航空券 2026年完全ガイドも参考になる。
ラウンジのマイル積算終了は、こまかいことのようでいて、毎月のように出張する人にとっては地味に効いてくる。これまで搭乗のたびに積み上がっていた分がなくなるので、ラウンジ利用を前提にマイルを計算していた人は、年間の積算見込みを一度見直しておくといい。
もうひとつ、家族で乗る人への変更点として、幼児(座席を確保しない膝のせ)の対象年齢が2歳以下から1歳以下に変わった。2歳のお子さんは座席の確保が必要になる。子連れで国内線を予約するときは、年齢区分を早めに確認しておきたい。
SFC会員・マイラーがいま確認しておくこと
名前は派手に変わったが、サービスそのものが下がったわけではない。落ち着いて、つぎの3点だけおさえておけばいい。
- 安さ重視の「シンプル」は事前に席を選べない。席にこだわるなら「スタンダード」以上を選ぶ
- 有料アップグレードは出発24時間前から。前日に空席を見て上げる作戦が有効
- 国内区間のプレミアムクラスへのマイルアップグレードという新しい選択肢ができた
運賃改定という意味では、ここ数年のANAの一連の見直しの延長線上にある。何が得で何が損になったのかを通して見たい人は、ANA新運賃・特典航空券の改悪まとめもチェックしておくと、全体像がつかめる。
よくある質問(FAQ)
Q1. プレミアムクラスがファーストクラスに格上げされたのですか?
いいえ。表記が「ファーストクラス(プレミアムクラス)」に変わっただけで、座席・機内食・ラウンジ利用条件などのサービス内容に変更はありません。新しい予約システムが国際線基準の表記をつかうためです。
Q2. いちばん安い「シンプル」運賃の注意点はなんですか?
シンプル運賃は、座席指定が出発24時間前のオンラインチェックインのときまでできません。席を事前に選びたい場合は「スタンダード」以上を選んでください。
Q3. 国内線でマイルをつかったアップグレードはできますか?
できます。今回のシステム統合で、国内線の普通席(エコノミー)からプレミアムクラスへ、マイルでアップグレードする道がひらかれました。有料アップグレードは出発24時間前から受付です。
Q4. 国内線ラウンジのマイル積算はどうなりましたか?
国内線ラウンジサービスのマイル積算は、2026年5月18日搭乗分で終了しました。あわせて有料ラウンジの料金が改定され、支払いにクレジットカードがつかえるようになっています。
Q5. システム移行で予約に影響はありましたか?
移行は2026年5月19日から6月9日にかけて順次おこなわれ、その期間は一部の予約・変更操作が一時的に制限されました。現在は通常どおり利用できます。
運賃ルールやアップグレードの最新の詳細は、ANA公式「国内線リニューアル特設ページ」で必ず確認してください。条件は今後さらに更新される可能性があります。
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