アップグレード特典を使いこなせるかどうかで、同じフライトでもまったく異なる体験になる。マイルを使って前方の席に座る方法は複数あり、それぞれ申請タイミングや条件が違う。2026年現在のルールをもとに、種類・申請手順・取れやすいコツまでをまとめた。
アップグレード特典の3つの種類
ANAのアップグレード特典には大きく分けて3つのルートがある。それぞれ使えるマイルの種類、申請できる時期、対象となる運賃クラスが異なる。
| 種類 | 使用するもの | 申請可能時期 | 対象運賃 |
|---|---|---|---|
| マイルアップグレード | ANAマイル | 搭乗355日前〜出発24時間前(空席待ちは当日まで) | エコノミー・プレミアムエコノミー指定運賃 |
| アップグレードポイント利用 | アップグレードポイント | 搭乗355日前〜出発24時間前 | 対象運賃購入後に申請 |
| 当日アップグレード(国内線) | 現金(当日アップグレード料金)または ANAマイル | 搭乗当日(Webは出発20分前まで) | 空席がある場合のみ |
マイルアップグレードの仕組みと必要マイル数
マイルアップグレードは、エコノミークラスの航空券を購入したうえで、差額分をマイルで補う仕組みだ。全区間をマイルで取るより少ないマイル数でビジネスクラスに乗れる場合が多く、特に長距離路線で効果を発揮する。
必要マイル数は、1区間(片道)の距離(区間基本マイレージ)とクラスで決まる。東京〜ロンドンや東京〜ニューヨークのような5,501マイル以上の長距離区間では、エコノミー・プレミアムエコノミーからビジネスへのアップグレードが片道28,000マイル。ビジネスからファーストは45,000マイルになる。東京〜ホノルル(3,501〜4,500マイル区間)なら、エコノミーからビジネスへ片道20,000マイルだ。正確な数字はANA公式サイトの「必要マイルチャート」で確認できる。
注意点が一つある。マイルアップグレードは「アップグレード対象運賃」で購入した航空券にしか適用できない。格安エコノミー(Yクラス以外の一部運賃)は対象外になることがある。予約時に「アップグレード可」の運賃かどうかを必ず確認する。
アップグレードポイントでのアップグレード
まず、ことばの整理をしておきたい。プレミアムポイントそのものは、アップグレードには使えない。プレミアムポイントはステータス判定の基準になる数字で、なにかの支払いに充てられるポイントではないからだ。アップグレードに使えるのは、名前の紛らわしい「アップグレードポイント」のほうになる。
アップグレードポイントは、前年1月〜12月のANAグループ運航便で獲得したプレミアムポイント数に応じて、翌年度のプレミアムメンバーとスーパーフライヤーズ本会員にプレゼントされる。たとえば1〜9,999プレミアムポイントで4ポイント、20,000〜29,999で8ポイント、40,000〜79,999で20ポイント。ステータスをあわせもつスーパーフライヤーズ本会員には、さらに一律4ポイントが上乗せされる。
使い道は、国内線プレミアムクラス・国際線ビジネスクラス/ファーストクラスへのアップグレードのほか、ラウンジの同行者利用や、ANA SKY コインへの交換(1ポイントから)がある。有効期限は年度単位(4月1日〜翌年3月31日搭乗分)で、翌年度への持ち越しはできない。年度末の3月までに使い切るのが基本だ。
そして重要な変更がある。アップグレードポイントの提供は、2026年度分をもって終了することがANAから発表されている。経緯と影響はアップグレードポイント終了の解説記事にまとめた。
SFC修行2026年版では、プレミアムポイントの効率的な積み方も解説している。アップグレードとポイント積算を組み合わせたルート選びも参考にしてほしい。
SFCホルダーとプレミアムメンバーの違い
SFC(スーパーフライヤーズカード)ホルダーは、プラチナステータスを永続的に保持できる。アップグレード特典に関しては、現役プラチナ会員と同等の扱いを受けられる路線・クラスがほとんどだ。
| ステータス | アップグレード優先順位 | 当日アップグレード |
|---|---|---|
| ダイヤモンドサービス | 最高位 | 最優先 |
| プラチナサービス / SFC | 2位 | 優先あり |
| ブロンズサービス | 3位 | 空席次第 |
| 一般会員 | 最下位 | 空席次第 |
ダイヤモンド会員になると、アップグレード特典の空席が優先的に割り当てられる。繁忙期やビジネス需要の高い路線では、ステータスの差が空席確保のしやすさに直結する。
アップグレードが取りやすい路線と時期
アップグレード特典は、ビジネスクラスに空席がある場合にしか適用できない。需要の少ない路線・時期を狙うのが基本の戦略だ。
取りやすい傾向があるのは、平日の日中便・オフシーズン(9月〜11月初旬、1月〜2月)・欧州路線(ロンドン・パリ以外の中規模都市)などだ。逆にGWや年末年始、夏休み期間中のハワイ・欧州主要都市便は競争が激しく、一般会員では取りにくい。
申請は「いつでも早いほうがいい」というわけではない。ANAの場合、ビジネスクラスの席をすべてアップグレード用に開放するのではなく、需要予測に合わせて段階的に開放する仕組みを採っている。出発1〜2週間前に急に空席が出ることもあるので、希望の席が取れなくても諦めずに定期的に確認する価値がある。
申請手順(マイルアップグレード)
ANAウェブサイトでの手順は以下の通りだ。
- ANA公式サイトにログインし、予約一覧から対象のフライトを選択する
- 「アップグレード特典」メニューを開き、現在の空席状況を確認する
- 希望クラスと座席を選択し、必要マイル数を確認する
- 確認画面で内容を確認し、申請を確定する
- 予約完了メールを受信して終了
申請後のキャンセル(払い戻し)は、特典が未使用の場合に限り、予約便出発時刻の24時間前までウェブサイトか電話で手つづきできる。取消手数料は無料だが、払い戻し時点で有効期限が切れているマイルは戻らない。当日空港での取り消しはできない点にも注意したい。詳細はANAマイルの貯め方・使い方ガイドも参照してほしい。
2026年の最新ルールで変わったこと
2024〜2025年にかけてANAはマイルプログラムの改定を複数回実施した。2026年時点での主な変更点は以下の通りだ。
プレミアムエコノミーからビジネスへのアップグレードに必要なマイル数が一部路線で変更された。またアップグレード対象運賃の範囲が整理され、以前は対象だった一部の格安運賃が除外されている。予約時点でANA公式サイトの最新の必要マイル表を確認することが必須だ。
ビジネスクラスそのものの体験については、ANAビジネスクラス完全ガイドで詳しく解説している。
よくある質問
ANAアップグレード特典はいつから申請できますか?
マイルを使う国際線アップグレード特典は、搭乗日の355日前から出発時刻の24時間前まで申し込めます(空席待ちは当日まで)。アップグレードポイントを使う場合も同じ「アップグレード予約・確認」画面から申し込めます。国内線のアップグレード特典は、搭乗日の27日前から出発20分前までです。
SFCホルダーはアップグレード特典の優先順位がありますか?
はい。SFCホルダーはプラチナサービス相当の優先順位が付与されます。ダイヤモンド会員には劣りますが、一般会員やブロンズ会員よりも優先してアップグレード空席が割り当てられます。
アップグレード申請後にキャンセルした場合、マイルは戻りますか?
特典が未使用であれば、予約便出発時刻の24時間前までの手つづきで全額返還されます(取消手数料は無料)。ただし払い戻し時点で有効期限が切れているマイルは戻りません。当日空港での払い戻しはできません。
アップグレード特典が取りやすい路線はどこですか?
欧州の中規模都市路線(フランクフルト・ミュンヘン・ストックホルムなど)や、オフシーズン(9〜11月・1〜2月)の平日便が比較的取りやすい傾向があります。ハワイ・欧州主要都市の繁忙期は競争が激しく、ステータスがないと難しいことが多いです。
格安エコノミーでもアップグレード特典は使えますか?
すべての運賃が対象ではありません。アップグレード特典は「アップグレード対象運賃」で購入した航空券にのみ適用されます。予約時に運賃の詳細画面で「アップグレード:可」の表示があるかどうかを確認してください。
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