スターアライアンス 世界一周航空券 完全ガイド 2026|おすすめルート5選と料金を徹底解説

ANAのスターアライアンス塗装 ボーイング787



「世界一周したい」と思ったとき、スターアライアンスの世界一周航空券は、もっとも現実的な選択肢のひとつだ。

わたしが実際に使ったのは、羽田 → フランクフルト → ウィーン → ブダペスト → ミュンヘン → パリ → ロンドン → ニューヨーク → ワシントンDC → 羽田というルート。パリ〜ロンドン間はユーレイルで移動し、フライト回数を最小限に抑えた「ほぼ最短」の欧州・北米コースだ。

この記事では、そのルートをベースに、世界遺産めぐり・ビーチリゾート・美食グルメ・アフリカ大自然をテーマにした5つのおすすめルートを、実際の料金の目安とともに紹介する。

スターアライアンス世界一周航空券とは

スターアライアンス(Star Alliance)は、ANA・ルフトハンザ・ユナイテッド・シンガポール航空・タイ国際航空など26社以上が加盟する世界最大の航空連合だ。

その加盟航空会社のネットワークを使って、一周分の航空券をまとめて購入できるのが「スターアライアンス世界一周航空券(Star Alliance Round The World Fares)」。複数の航空会社をまたいで乗り継いでも、一枚の予約として管理できる。

スターアライアンスの主な加盟航空会社

航空会社 ハブ空港 主なカバーエリア
ANA(全日本空輸) 成田・羽田 日本発着の起点。アジア・北米・欧州に就航
ルフトハンザ フランクフルト・ミュンヘン 欧州最大のハブ。世界各地に幅広く就航
ユナイテッド航空 ニューアーク・シカゴ・ヒューストン・LAほか 米国内の移動に不可欠。大西洋・太平洋路線も豊富
シンガポール航空 シンガポール(SIN) 東南アジアのハブ。ロンドン・ニューヨーク・シドニーへの直行便あり
タイ国際航空 バンコク・スワンナプーム(BKK) 東南アジアのハブ。欧州・日本・インドに就航
ターキッシュ エアラインズ イスタンブール(IST) 欧州・中東・アフリカへの接続拠点。就航都市数は世界最多級
エア・カナダ トロント・モントリオール・バンクーバー カナダ全土と北米・欧州・アジアをカバー
エア・チャイナ 北京(PEK) 中国全土と欧州・北米へのゲートウェイ
エア・インディア デリー(DEL)・ムンバイ インド亜大陸への主要キャリア。欧米にも直行便
ニュージーランド航空 オークランド(AKL) 南太平洋・オセアニアへのアクセス。ロサンゼルス・ロンドン直行あり
オーストリア航空 ウィーン(VIE) 中欧・東欧へのハブ。東京直行便あり
スイス インターナショナル エアラインズ チューリッヒ(ZRH) ルフトハンザグループ。欧州・北米・アジアに就航
ブリュッセル航空 ブリュッセル(BRU) ベルギー発着。サブサハラ・アフリカへの路線が充実
エチオピア航空 アディスアベバ(ADD) アフリカ最大のネットワーク。東京・欧州・北米にも就航
南アフリカ航空 ヨハネスブルク(JNB) 南部アフリカへのアクセス。ケープタウン・ナイロビへも就航
エジプト航空 カイロ(CAI) 北アフリカ・中東への拠点。アフリカ大陸内の路線も豊富
エバー航空 台北・桃園(TPE) 台湾発着。北米・欧州・東南アジアに就航
LOT ポーランド航空 ワルシャワ(WAW) 東欧へのハブ。ニューヨーク・シカゴ直行あり
TAP エア ポルトガル リスボン(LIS) ポルトガル語圏(ブラジル・アフリカ)への路線が豊富
コパ航空 パナマシティ(PTY) 中南米全域をカバーするハブ。北米・欧州とも接続
アビアンカ ボゴタ(BOG)・リマほか 南米・中米への路線ネットワーク

2026年現在、スターアライアンスには上記の主要加盟会社のほか、クロアチア航空・LOT系の地域航空会社など合計25社以上が加盟している。加盟会社は変動することがあるため、最新情報はスターアライアンス公式サイトで確認してほしい。

基本ルール

項目 内容
旅行方向 東回り・西回りのどちらか一方向のみ(途中で逆戻り不可)
大洋横断 太平洋と大西洋をそれぞれ1回ずつ横断する必要あり
最小大陸数 3大陸以上の訪問が必要
最大ストップ数 最大15〜16都市(乗継都市は含まず)
有効期間 最初の搭乗日から最長1年間
発着地 同じ国から出発し、同じ国に戻ること(日本発日本着)
オープンジョー ある都市に飛んで、別の都市から出発するルートも可能

「オープンジョー」を使うと、パリに飛んで電車や車で移動し、ロンドンから出発する、という組み合わせができる。わたしのルートでパリ〜ロンドン間をユーレイルにしたのも、これを活用したものだ。

料金の仕組み

スターアライアンスの世界一周航空券は、総飛行マイル数によって料金が決まる。マイル帯は大きく3段階に分かれており、移動距離が増えるほど高くなる。

マイル帯 エコノミー(目安) ビジネス(目安) ファースト(目安)
26,000マイル以下 35万〜45万円 90万〜110万円 160万〜200万円
26,000〜34,000マイル 45万〜60万円 110万〜140万円 200万〜260万円
34,000〜39,000マイル 55万〜70万円 130万〜170万円 240万〜300万円

上記はあくまでも目安で、燃油サーチャージと空港税が別途加算される。2026年時点では燃油サーチャージの変動が大きいため、発券時に正確な総額を確認することを勧める。

ANA(全日本空輸)はスターアライアンス加盟航空会社なので、ANAのカウンターや予約サイトから世界一周航空券を発券できる。日本出発の場合は、ANAで相談するのがもっとも手続きしやすい。

5つのルートを地図で見る

各線は実際の大圏航路(最短経路)を示している。



おすすめルート5選

ロンドン タワーブリッジ
© Wikimedia Commons

ルート1|欧州・北米クラシックコース(わたしが使ったルート)

ヨーロッパの主要都市を複数まわったあと、大西洋を渡って北米へ。そのまま太平洋を越えて日本に戻る、もっともオーソドックスなルートだ。

城・美術館・旧市街をじっくり歩きたい人に向いている。鉄道や長距離バスでの移動を組み合わせると、飛行機では気づかない「国境を越える感覚」も楽しめる。

区間 移動手段 主な見どころ
羽田 → フランクフルト ANA / ルフトハンザ 欧州の玄関口。旧市街・レーマー広場
フランクフルト → ウィーン ルフトハンザ / オーストリア航空 ウィーン美術史美術館・シェーンブルン宮殿
ウィーン → ブダペスト オーストリア航空 / 鉄道 漁夫の砦・王宮の丘。ドナウ川の夜景
ブダペスト → ミュンヘン ルフトハンザ マリエン広場・ホーフブロイハウス
ミュンヘン → パリ ルフトハンザ ルーブル美術館・エッフェル塔・マレ地区
パリ → ロンドン ユーレイル(ユーロスター) 大英博物館・タワーブリッジ・コッツウォルズ
ロンドン → ニューヨーク ユナイテッド航空 / ANA マンハッタン・メトロポリタン美術館・ブルックリン
ニューヨーク → ワシントンDC ユナイテッド航空 / アムトラック スミソニアン博物館群(入場無料)・リンカーン記念堂
ワシントンDC → 羽田 ANA / ユナイテッド航空 帰国

総飛行距離:約17,500マイル(26,000マイル帯)

推奨滞在期間:3〜4週間

料金の目安:エコノミー 35万〜45万円 / ビジネス 90万〜110万円(燃油サーチャージ・空港税別)

ブダペストからミュンヘンは鉄道(約6時間)にすると、チケットの区間数を節約できる。ニューヨーク〜ワシントンDC間もアムトラックなら2時間半。国内移動を鉄道に置き換えることで、ストップ数の上限を消費せずに都市数を増やすことができる。

タージマハル(インド・アーグラー)
© Wikimedia Commons

ルート2|世界遺産めぐりコース

タージマハル・アヤソフィア・コロッセオ・ベルサイユ宮殿——人類が「世界の宝」と認めた場所を、一度の旅でつないでいく。

このルートの核心は、アジア → 中東・南アジア → ヨーロッパ → 北米という「文明の流れ」を体で感じられること。単なる観光スポットの羅列ではなく、歴史の連続性を旅で読む体験になる。

区間 移動手段 世界遺産・見どころ
羽田 → バンコク タイ国際航空 / ANA ワット・プラケオ・アユタヤ遺跡群(車で1.5時間)
バンコク → デリー タイ国際航空 / エア・インディア タージマハル(アーグラー日帰り可)・レッド・フォート
デリー → イスタンブール ターキッシュ エアラインズ アヤソフィア・トプカプ宮殿・グランドバザール
イスタンブール → ローマ ターキッシュ エアラインズ / ルフトハンザ コロッセオ・フォロ・ロマーノ・バチカン市国
ローマ → パリ ルフトハンザ ベルサイユ宮殿・セーヌ河岸の建造物群
パリ → ニューヨーク ユナイテッド航空 / エア・カナダ 自由の女神・エリス島移民博物館
ニューヨーク → 羽田 ANA / ユナイテッド航空 帰国

総飛行距離:約19,500マイル(26,000マイル帯)

推奨滞在期間:4〜5週間

料金の目安:エコノミー 38万〜48万円 / ビジネス 95万〜120万円(燃油サーチャージ・空港税別)

デリーからアーグラー(タージマハル)へは列車で2〜3時間。朝一番の便でデリーに到着し、その日の夜行列車でアーグラーへ移動、翌朝タージマハルを訪れ、デリーに戻るという1泊2日の動きが定番だ。デリーでの予備日を1日持っておくと余裕ができる。

タイ・ピピ島のビーチ
© Wikimedia Commons

ルート3|ビーチリゾートコース

世界中の海とリゾートをつないでいくルート。飛行機での移動は都市間のみにして、各拠点からリゾートアイランドへは別途移動する設計にする。

プーケット・バリ・マイアミビーチ・ハワイを一度の旅でつなげる、贅沢な「海づくし」のルートだ。

区間 移動手段 拠点リゾート
羽田 → シンガポール シンガポール航空 / ANA セントーサ島・バリ島(LCCで1.5時間)
シンガポール → バンコク タイ国際航空 / シンガポール航空 プーケット・サムイ島(国内線で1時間前後)
バンコク → フランクフルト タイ国際航空 / ルフトハンザ 地中海(ニース・コートダジュール)へ南下
フランクフルト → マイアミ ルフトハンザ / ユナイテッド航空 マイアミビーチ・キーウェスト・バハマ
マイアミ → ロサンゼルス ユナイテッド航空 サンタモニカビーチ・ラグナビーチ
ロサンゼルス → ホノルル → 羽田 ANA / ユナイテッド航空 ワイキキビーチ・マウイ島。太平洋を越えて帰国

総飛行距離:約23,000マイル(26,000マイル帯)

推奨滞在期間:5〜6週間

料金の目安:エコノミー 40万〜52万円 / ビジネス 100万〜130万円(燃油サーチャージ・空港税別)

バリ島はシンガポールの「オープンジョー」を使って旅程に組み込むのが効率的だ。シンガポールに飛んでバリへ渡り、バンコクから次の便に乗る、という組み合わせなら、RTWのストップ数を節約しながらバリを楽しめる。地中海は鉄道でフランクフルトからニースへ南下し、ニースから次の便を組む方法もある。

バルセロナ サグラダ・ファミリア
© Wikimedia Commons

ルート4|美食・グルメコース

世界の食の都をつないでいく、食べることを旅の目的にしたルート。バンコク・イスタンブール・バルセロナ・パリ——それぞれが料理の個性をもつ都市だ。

ミシュランの星つきレストランだけを狙うのではなく、市場・屋台・地元の食堂も含めた「食の生態系」を体感することが、このルートの真の楽しみ方だ。

区間 移動手段 食の見どころ
羽田 → バンコク タイ国際航空 / ANA カオサンの屋台・オーントーン・クアゲーン(絶品グリーンカレー)・オートーコー市場
バンコク → イスタンブール ターキッシュ エアラインズ カパルチャルシュ(グランドバザール)・ケバブ・ミダイ・ボスポラス朝食文化
イスタンブール → バルセロナ ターキッシュ エアラインズ / ルフトハンザ ラ・ボケリア市場・カタルーニャ料理・パエリャ・タパスバー文化
バルセロナ → パリ ルフトハンザ / 高速鉄道 ビストロ・バゲット・ルイ・ヴィトン財団のダイニング・パッサージュ
パリ → ニューヨーク ユナイテッド航空 / エア・カナダ チェルシーマーケット・コリアタウン・クイーンズの多国籍グルメ
ニューヨーク → 羽田 ANA 帰国

総飛行距離:約18,500マイル(26,000マイル帯)

推奨滞在期間:4〜5週間

料金の目安:エコノミー 37万〜47万円 / ビジネス 92万〜115万円(燃油サーチャージ・空港税別)

バルセロナ〜パリ間は、高速鉄道AVEとTGVを乗り継ぐと約6時間半。飛行機より時間がかかるが、カタルーニャからフランス・カルカッソンヌあたりを車窓で通過する体験は鉄道ならではだ。オープンジョーを活用して「バルセロナ着・パリ発」にすればRTWチケット上も問題ない。

アフリカ・サバンナの野生動物
© Wikimedia Commons

ルート5|アフリカ大自然コース

サバンナで動物を見て、砂漠を歩いて、フィヨルドを眺める——「地球のスケール感」を体で感じたい人のためのルートだ。アフリカをスターアライアンスで旅できるのは、エチオピア航空と南アフリカ航空が加盟しているから。

一般的な世界一周ルートではあまり見かけないが、旅慣れた人ほど「この選択肢があったか」と思うルートだ。

区間 移動手段 見どころ
羽田 → シンガポール シンガポール航空 マリーナベイ・ガーデンズバイザベイ
シンガポール → ナイロビ エチオピア航空(アジスアベバ経由) マサイマラ国立保護区(サファリ)・アンボセリ(キリマンジャロを望む)
ナイロビ → ヨハネスブルク 南アフリカ航空 / エチオピア航空 喜望峰・ワインランド(ステレンボッシュ)・テーブルマウンテン(ケープタウン)
ヨハネスブルク → フランクフルト ルフトハンザ / 南アフリカ航空 欧州経由北米へ
フランクフルト → ニューヨーク ルフトハンザ / ユナイテッド航空 マンハッタン・ブルックリン
ニューヨーク → 羽田 ANA 帰国

総飛行距離:約25,500マイル(26,000マイル帯ぎりぎり)

推奨滞在期間:5〜6週間

料金の目安:エコノミー 42万〜55万円 / ビジネス 105万〜135万円(燃油サーチャージ・空港税別)

ケニアのサファリはナイロビから陸路・小型機で入るのが基本。マサイマラへは小型チャーター機で約45分。ヨハネスブルクからケープタウンへは国内線で約2時間(南アフリカ航空の国内線はRTWに含まれる区間として設定することも可能)。アフリカを旅する際は、ビザと健康証明書の事前確認を忘れずに。

5ルートの比較一覧

ルート 総マイル エコノミー目安 ビジネス目安 推奨期間
欧州・北米クラシック 約17,500マイル 35万〜45万円 90万〜110万円 3〜4週間
世界遺産めぐり 約19,500マイル 38万〜48万円 95万〜120万円 4〜5週間
ビーチリゾート 約23,000マイル 40万〜52万円 100万〜130万円 5〜6週間
美食・グルメ 約18,500マイル 37万〜47万円 92万〜115万円 4〜5週間
アフリカ大自然 約25,500マイル 42万〜55万円 105万〜135万円 5〜6週間

料金はあくまでも目安。燃油サーチャージ・空港税・発券手数料が別途加算されるため、実際の総額はANAまたは旅行代理店に確認してほしい。2026年の燃油サーチャージは路線によって5万〜20万円程度の幅がある。

予約の流れと注意点

発券はどこでするか

日本出発の場合は、ANA(全日本空輸)のカウンターか電話予約で発券するのがもっとも手続きがしやすい。ANAはスターアライアンスの主要加盟会社で、日本語での対応が受けられる。

オンラインでは現時点でRTW専用の予約システムが整備されていないため、電話か店舗に相談するほうが確実だ。

予約のタイミング

世界一周航空券は通常の往復チケットと異なり、すべての区間を事前に決めてから発券する。出発の3〜6か月前に全日程のルートを確定し、航空会社に確認を取りながら予約を進めていくのが基本的な流れになる。

ストップする都市のホテルや現地移動手段とも連動するため、大まかなルートと滞在期間を先に決めて、全体のスケジュールをざっくり固めてから発券に動くとよい。

変更・払い戻しのルール

発券後に都市を追加・変更することは基本的にできないか、できても手数料がかかる。旅の途中で旅程を変えたくなることは必ずあるので、「変えられない前提で計画する」というのが世界一周航空券を使いこなすうえで大切な心構えだ。

ただし、同じ路線内での日程変更(出発日の前後ずらし)は、fare ruleによっては手数料を払って変更できる場合もある。発券時に確認しておくとよい。

よくある質問

スターアライアンスの世界一周航空券は何社の飛行機に乗れますか?

スターアライアンスには2026年時点で26社以上が加盟している。ANA・ルフトハンザ・シンガポール航空・タイ国際航空・ユナイテッド航空・エア・カナダ・ターキッシュ エアラインズ・エチオピア航空・南アフリカ航空など、世界各地の主要航空会社をカバーしている。一枚のチケットで複数社を乗り継げるのが最大の特徴だ。

世界一周航空券のマイルを貯めることはできますか?

搭乗時のマイル積算はできる。RTWチケットで飛んだ分のマイルは、発券した航空会社のマイレージプログラムに加算される。一方、マイルを使ってRTWチケットを発行する(特典航空券として世界一周する)仕組みは、スターアライアンスが2025年に廃止した。現在、マイルで世界一周を組みたい場合は、各区間を個別の特典航空券として別々に予約・発券するしかない。手間はかかるが、マイルの価値を最大化する旅の設計としては有効な選択肢だ。

世界一周の途中で旅程を変えることはできますか?

都市の追加や変更は基本的に手数料がかかり、場合によっては新規発券が必要になる。同じ路線での出発日の変更は一定の手数料で対応できることが多い。旅の途中でルートを大きく変えることは難しいと考えておくほうがよく、事前にルートをしっかり固めてから発券することが大切だ。

ユーレイルや現地の鉄道移動はマイル数にカウントされますか?

鉄道移動はスターアライアンスのRTW航空券のマイル数には含まれない。パリ〜ロンドン間をユーロスターで移動した場合、その区間の距離はカウントされず、フライトで消費したマイル数だけが料金の基準になる。オープンジョーを活用して「ある都市に着いて、別の都市から出発する」設計にすれば、鉄道での移動を自由に組み合わせることができる。

世界一周に最適な期間はどのくらいですか?

滞在都市数にもよるが、3〜4都市なら3〜4週間、5〜7都市なら5〜8週間が目安になる。有効期間は最長1年なので、長い休暇を取れる場合は2〜3か月かけてじっくり旅することもできる。ただし旅の疲労と宿泊費のことを考えると、各都市3〜5泊を確保しながら無理なく動ける日程にするのが実際的だ。

世界一周航空券は、ルートと料金体系を理解してしまえば、思っているよりずっと現実的な旅の手段だ。一度にすべてを決めなければならないプレッシャーはあるが、それを乗り越えると「地球を一周する」という体験がシンプルに手の届く場所に来る。

自分が行きたい都市を書き出し、ルートとして成立するか確認する作業から始めてみてほしい。

ファーストクラス・スイートで世界一周する

スターアライアンスの世界一周航空券は、エコノミーやビジネスだけでなく、ファーストクラスでも発券できる。加盟航空会社の中には、ビジネスクラスをはるかに超えた体験を提供するプロダクトを持っているところがある。

ANA の THE Suite、ルフトハンザのファーストクラス、シンガポール航空の Suites——これらを組み合わせて「オールファースト」で世界一周するルートを考えてみる。

スターアライアンスでファーストクラスを提供する主な航空会社

航空会社 プロダクト名 主な就航路線 特徴
ANA(全日本空輸) THE Suite 成田 ↔ ニューヨーク・ロンドン・フランクフルト・パリ 完全個室スイート。ダブルベッド構成可。B777-300ER 搭載
ルフトハンザ First Class フランクフルト ↔ 東京・ニューヨーク・シンガポール・香港 他 個室スイート。フランクフルトのファーストクラスターミナル利用可
シンガポール航空 Suites シンガポール ↔ ロンドン・フランクフルト・ニューヨーク(直行便) A380 の最前部に6室のみ。ダブルベッド構成可。2名用スイートあり
スイス インターナショナル エアラインズ First Class チューリッヒ ↔ 東京・ニューヨーク・シンガポール 他 ルフトハンザグループ。ヘリンボーン配置。静かな機内が特徴

ユナイテッド航空はスターアライアンス加盟だが、長距離路線では「Polaris(ポラリス)」というビジネスクラス相当のプロダクトのみで、ファーストクラスの設定はない。アメリカ区間はビジネスクラスを使うか、ルフトハンザのコードシェア便を選ぶのが現実的な選択肢になる。

オールファースト世界一周の黄金ルート

ファーストクラスが設定されている路線だけをつないでいくと、こういうルートが成立する。

区間 航空会社・便名 機材 体験
成田 → フランクフルト ANA NH201 B777-300ER THE Suite(完全個室)。約12時間のフライト
フランクフルト → シンガポール ルフトハンザ LH779 A350-900 ルフトハンザ First。出発前にFCT(ファーストクラスターミナル)が使える
シンガポール → ロンドン シンガポール航空 SQ322 A380 Suites(6室のみ)。約13時間。機内でダブルベッドに変換可
ロンドン → ニューヨーク ユナイテッド UA901 など B767 / B777 この区間はビジネス(Polaris)。ファーストなし
ニューヨーク → 成田 ANA NH009 B777-300ER THE Suite(完全個室)。約14時間のフライト

ロンドン〜ニューヨーク区間だけはファーストクラスの設定がなく、ビジネスクラス利用になる。それでも、4区間のうち3区間を個室スイートで移動できる。

あるいは、ロンドン区間を外してフランクフルト発ニューヨーク行き(ルフトハンザ LH400)にすれば、全区間ファーストクラスにすることもできる。その場合は「成田 → フランクフルト(ANA)→ シンガポール(ルフトハンザ)→ フランクフルト → ニューヨーク(ルフトハンザ)→ 成田(ANA)」という形になるが、大西洋横断をフランクフルト経由で設計するルートだ。

ファーストクラス RTW の料金目安

クラス 26,000マイル以下 〜34,000マイル 〜39,000マイル
エコノミー 35万〜45万円 45万〜60万円 55万〜70万円
ビジネス 90万〜110万円 110万〜140万円 130万〜170万円
ファースト 160万〜200万円 200万〜260万円 240万〜300万円

ファーストクラスの世界一周は、最短ルートでも税・サーチャージ込みで200万円前後になることが多い。高額ではあるが、ANA THE Suite・ルフトハンザ・シンガポール航空 Suites の3プロダクトを一度の旅でまとめて体験できるのは、RTWチケットならではの使い方だ。

それぞれを単独で往復購入するとはるかに高くつくことを考えると、世界一周ファーストクラスという選択肢は、プレミアムキャビン好きにとって合理的な旅のかたちでもある。