2026年4月22日、ANAとIHGホテルズ&リゾーツが、これまでの関係を一段と深める「包括的ロイヤルティ・パートナーシップ」を締結すると発表した。提携そのものは約20年つづいてきたが、今回は航空とホテルの垣根を越えて、ステータスマッチ・ダブルディップ・ポイント相互交換の3つを一気に導入する内容になっている。提供は2026年10月以降に順次スタートする。
ANAはスターアライアンスのなかでもアジア最大級のキャリアであり、IHGはインターコンチネンタル・リージェント・シックスセンシズなどラグジュアリーブランドを多数もつ世界最大級のホテルチェーン。両者がここまで踏み込んだ提携を結ぶのは、じつは航空・ホテル業界全体を見ても異例といっていい。
提携の3つの柱
今回のパートナーシップは、AMC(ANAマイレージクラブ)とIHGワンリワーズの両方に入会し、アカウントを連携した会員が対象になる。柱は次の3つ。
| 内容 | |
|---|---|
| ステータスマッチ | AMCのステータスに応じてIHGワンリワーズのステータスが付与される。アップグレードやレイトチェックアウトなどの優待を受けられる。 |
| ダブルディップ | 海外発旅程のANA国際線搭乗で、ANAマイルに加えてIHGワンリワーズポイントも獲得できる。 |
| ポイント相互交換 | これまでの「IHGポイント→ANAマイル」に加えて、新たに「ANAマイル→IHGポイント」の交換も可能になる。 |
ステータスマッチ早見表
注目度がいちばん高いのはステータスマッチだろう。AMCの各ランクが、対応するIHGワンリワーズのランクに変換される。
| AMC(ANA)ランク | IHGワンリワーズランク | 条件 |
|---|---|---|
| ダイヤモンド+More | ダイヤモンドエリート | 最低2泊の実績が必要 |
| ダイヤモンド | プラチナエリート | 最低2泊の実績が必要 |
| プラチナ | ゴールドエリート | アカウント連携のみ |
| ブロンズ | シルバーエリート | アカウント連携のみ |
ダイヤモンド系のステータスマッチには「最低2泊の実績が必要」という条件が付いている。連携しただけでフルにIHGダイヤモンドが手に入るわけではないが、ふだんからインターコンチネンタル系を使う旅行者にとってはかなり魅力的な仕組みだ。
いっぽうで、SFC(スーパーフライヤーズ)会員の扱いについては、現時点の発表では明確にされていない。SFC制度は2028年から年間決済額の基準が導入される予定で、ラウンジ利用と合わせて、SFC保有者にとっては大きな関心事になっている。SFCの今後については ANA SFCのラウンジが2028年から使えなくなる? でくわしくまとめている。
IHGワンリワーズ — ランク別特典早見表
ステータスマッチでどのランクになるかがわかったら、次は「そのランクで何を受けられるか」を確認しておこう。読者がとくに気にする3点——ラウンジ・朝食・スイートアップグレード——を中心に整理する。
| ランク | ラウンジ | 朝食 | スイートアップグレード |
|---|---|---|---|
| シルバーエリート (ANAブロンズ) |
なし | なし | なし |
| ゴールドエリート (ANAプラチナ) |
なし | なし ウェルカムアメニティとして飲食クレジットまたはポイントを選択可 |
なし |
| プラチナエリート (ANAダイヤモンド) |
あり Club ラウンジのある施設のみ(インターコンチネンタル・クラウンプラザ等) |
ラウンジで提供 Club ラウンジに朝食が含まれる施設のみ。ウェルカムアメニティは飲食クレジット100USD相当またはポイント |
なし スタンダード→上位カテゴリーのアップグレードは空室次第で可能 |
| ダイヤモンドエリート (ANAダイヤモンド+More) |
あり Club ラウンジのある全施設で利用可 |
無料(多くのブランドで2名分) 施設によって提供形態が異なる |
空室があれば可能 確約ではないが、ダイヤモンドはスイートへのアップグレード対象に含まれる施設がある |
ラウンジが使えるかどうかは「施設」で決まる
IHGのClub ラウンジは、インターコンチネンタル(Club InterContinental)・クラウンプラザ(Club Floors)・HUALUXE などに設置されている。ホリデイ・イン系やキンプトンにはClub ラウンジがないため、プラチナ以上のランクを持っていても利用できない。
ラウンジの有無は予約前にホテルのページで確認するのが確実だ。「Club InterContinental」と明記されているホテルは、ラウンジで朝食・夕方のカクテルアワー・終日の軽食が提供されるのが基本になっている。
スイートアップグレードはダイヤモンドから、確約はなし
プラチナエリート(ANAダイヤモンドからのマッチング)では、スイートへのアップグレードは基本的に対象外だ。スタンダードルームから上位カテゴリーへの移動は空室状況次第でリクエストできるが、スイートは別の話になる。
ダイヤモンドエリートになると、スイートへのアップグレードが「対象に含まれる施設」が出てくる。ただし確約ではなく、空室があれば、という前提だ。確実にスイートを押さえたいなら、スイートカテゴリーで直接予約するか、IHGのアンバサダー会員(有料:年間約200USD)の特典として設定されている保証アップグレードを活用することになる。
ANAとのステータスマッチで最上位のダイヤモンドエリートを得られるのはダイヤモンド+More会員だけだ。通常のダイヤモンドからマッチングしたプラチナエリートでは、ラウンジと朝食は享受できるが、スイートアップグレードの恩恵は受けにくい。
ダブルディップとは
ダブルディップは、ひとつのフライトで2つのプログラムのポイントが同時に貯まる仕組みのこと。今回の提携では、海外発旅程のANA国際線(ANAが運航しANA便名が付与された便)に搭乗すると、いつものANAマイルに加えてIHGワンリワーズポイントも獲得できる。
ただし対象は「海外発旅程」に限定される。日本在住者が日本発で飛ぶ場合には適用されないため、海外出張が多い人や、海外起点の周遊旅行を組む人にとってメリットが大きい設計になっている。
ポイント相互交換が双方向に
これまではIHGワンリワーズポイントをANAマイルに交換する一方通行の動線しかなかった。今回の提携で「ANAマイル→IHGワンリワーズポイント」の交換が新設される。交換レートは現時点で公表されていない。
マイルが余っている人にとっては、ホテル滞在に変換できる新しい出口ができることになる。たとえばANAビジネスクラスの特典航空券を取り終わったあとに、ヨーロッパのインターコンチネンタル系で連泊する、といった使い方が組みやすくなる。マイルでビジネスクラスに乗る方法については マイルでビジネスクラスに乗る方法 にまとめてある。
対象IHGブランド一覧(20ブランド)
IHGのほぼすべての主要ブランドが対象に入っている。とくにラグジュアリー&ライフスタイル枠が充実している点が、teamelite.jp/travel の読者にはうれしいポイントだ。
| カテゴリー | ブランド |
|---|---|
| ラグジュアリー&ライフスタイル | シックスセンシズ/リージェント/インターコンチネンタル/ヴィニェット/キンプトン/ホテルインディゴ |
| プレミアム | voco/Ruby/HUALUXE/クラウンプラザ/EVEN |
| エッセンシャルズ | ホリデイ・イン エクスプレス/ホリデイ・イン/ガーナー/avid |
| スイーツ | Atwell/ステイブリッジ/ホリデイ・イン クラブバケーションズ/キャンドルウッド |
| エクスクルーシブパートナーズ | イベロスター ビーチフロント |
ラグジュアリー旅好きの目線で見ると
マリオット ボンヴォイ・ヒルトン・オナーズと並んで、IHGワンリワーズはラグジュアリーホテル系のロイヤルティプログラムとしてもっとも厚い陣容をもっている。とくにシックスセンシズとリージェントは、世界のホテルラバーが憧れるブランドだ。
これまでANAマイルを使った旅は、特典航空券で「機内」を充実させる方向に偏りがちだった。今回の提携で、ANAマイル経由でホテル側のステータスも手に入る道筋ができる。航空とホテルを横断して、ひとつの旅をまるごと底上げできるようになるわけだ。
たとえばこんな組み合わせが組みやすくなる。
- ANAビジネスクラス THE Room FX で羽田からヨーロッパへ飛び、ロンドンのインターコンチネンタル系でIHGゴールド/プラチナの優待を受ける
- ANAファーストクラスで成田からニューヨークへ飛び、リージェントやシックスセンシズに連泊する
- マイルが余ったらIHGポイントに振り替えて、リージェント香港やシックスセンシズ京都の宿泊に充てる
ANAラウンジの使いかた・スイートラウンジとの違いについては ANA ラウンジ完全ガイド も合わせてどうぞ。
まとめ — ANA×IHGの新時代へ
今回の提携は、ANAマイラーにとっても、IHGワンリワーズ会員にとっても大きな転換点になる。とくにダイヤモンド+Moreやダイヤモンドを保有しているANA上級会員は、IHG側のダイヤモンドエリートやプラチナエリートが2泊の実績だけで手に入る形になり、ホテル滞在体験そのものが一段引き上がる。
提供開始は2026年10月以降。具体的なポイント交換レートや、SFCの扱い、ステータスマッチの申請方法などは、開始前にあらためて公式から発表される見込みだ。最新情報はANAホールディングス プレスリリース(2026年4月22日)を参照してほしい。
よくある質問
Q. ANAとIHGのパートナーシップで具体的に何ができますか?
A. ANAマイルとIHGワンリワーズポイントの相互交換、IHG宿泊でのANAマイル積算、そしてステータスマッチの3つが主な特典です。2026年からの新提携により、1泊あたりの積算レートも改善されています。
Q. ステータスマッチはどうやって申請しますか?
A. ANA側のステータス(プラチナ以上)を証明する書類をIHGワンリワーズカスタマーサービスに提出します。申請後、審査を経てIHG側のステータスが付与されます。2026年提携開始後の詳細な申請方法はANA公式サイトで確認してください。
Q. IHGワンリワーズのゴールド会員になるとどんな特典がありますか?
A. ゴールド会員はポイントボーナス(通常の25%増)とアーリーチェックイン・レイトチェックアウトのリクエスト権が主な特典です。ラウンジアクセスと朝食はプラチナ以上から付与されます。
Q. ANAマイルをIHGポイントに交換する際のレートは?
A. 2026年時点の公式レートは1,000 ANAマイル=2,000 IHGポイントが目安です(レートは変動するためANA公式サイトで最新情報を確認してください)。大型ホテルへの宿泊に使うとお得です。
Q. IHGホテルでANAマイルをダブルで貯めることはできますか?
A. はい、提携後はIHGポイントとANAマイルを同時に積算できる「ダブルディップ」が可能になります。ただし対象プランや条件があるため、予約時にポイント積算対象プランを選択する必要があります。
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