ANA THE Room レビュー|B777-300ERのスライドドア付き個室ビジネスクラスを解説

このページは「ANAビジネスクラス完全ガイド(2026年最新版)」のクラスター記事です。全体像を把握したい方は先に完全ガイドをご覧ください。

ANA THE Roomは、全日本空輸(ANA)がB777-300ERに搭載している国際線ビジネスクラスのプロダクト名だ。2019年に導入され、個室スライドドアと幅約100cmのベッドを備える。ビジネスクラスの概念を変えたプロダクトとして、マイラーの間で高く評価されている。

従来のビジネスクラスは「フルフラットになるシート」が売りだったが、THE Roomはそれを超えて「閉じられる個室空間」を実現した。スライドドアを閉めれば完全に視線を遮断でき、ファーストクラスに近いプライバシーが得られる。このページでは、THE Roomの座席スペック・機内食・アメニティ・就航路線・特典航空券での取り方まで詳しく解説する。

ANA THE Room 基本スペック

項目 スペック
搭載機材 B777-300ER
座席数 64席(1-2-1配列)
個室ドア スライドドア付き
座席幅(ベッド時) 約100cm
ベッド長 約198cm(フルフラット)
モニター 24インチ 4K対応
Wi-Fi 有料(全クラス対応)
充電 USB-A・USB-C・電源コンセント完備
就航路線 羽田↔ロンドン・ニューヨーク・サンフランシスコ等
導入時期 2019年〜

スライドドア付き個室の設計

THE Roomの核となる機能は、スライドドアによる個室化だ。シートの外側(通路側)にスライド式のドアパネルがあり、それを閉めると仕切りが天井近くまで届き、通路から座席の中が見えなくなる。

ロック機構はなく、乗務員はいつでも入ってこられる構造だ。その点ではANA THE Suite(ロック付きドア)とは異なる。ただし、ドアを閉めているかぎり通路を歩く人の視線は完全に遮られるため、プライバシーとしては十分だ。

座席の仕切り高さは頭の上まで届いており、隣席との間も完全に分離されている。1-2-1配列のため、ドアを閉めた状態では文字どおり「一人の部屋」になる。飛行機の中でこれほど閉じた空間を持てるビジネスクラスは、世界的に見ても稀だ。

幅約100cmのベッドで眠れる

フルフラット時の幅は約100cm。通常のビジネスクラスシートの幅が50〜60cmほどであることを考えると、約2倍近い広さだ。シングルベッドのスタンダードサイズ(97cm)とほぼ同じ幅で眠れる計算になる。

長さも約198cmで、長身の人でも足を伸ばして眠れる。シートをフルフラットにしたとき、座席が斜めにスライドするのではなく「前後方向に真っ直ぐ」倒れる設計のため、体に自然なポジションが取れる。

寝具は西川との共同開発のクッションと、ダウン素材の掛け布団が用意されている。ビジネスクラスの寝心地としては世界最高水準に位置すると言っていい。深夜便で欧州や北米に向かう際、到着時に疲れを残さずに済む点は長距離路線で特に重要だ。

2名のペアシート(中央の2席)は、仕切りを下げると2人で同じ空間を使えるモードに切り替わる。カップルや夫婦での旅行に人気の選択肢だ。ただし、2人の場合は幅200cmの広い寝具があるわけではなく、それぞれのシートを隣接させる形になる。

座席・設備の詳細

シートは電動リクライニングで、角度の調整はアームレストのパネルで操作する。フルフラットまでの展開もボタン一つで自動的に行われる。

モニターは24インチの4K対応ディスプレイ。ANA THE Suiteの43インチと比べると小さいが、ビジネスクラスとして十分な大きさで、機内エンターテインメント(映画・音楽・地図)を快適に楽しめる。

充電設備はUSB-A・USB-C・電源コンセントの3種類がそろっている。スマートフォン・タブレット・ノートPCを同時に使いながら充電できるため、長距離フライトで機器のバッテリーに困ることはない。

収納スペースも充実している。シート脇の棚にスマートフォンや飲み物を置けるほか、クローゼット式のボックスにコートや荷物をしまえる。大柄な荷物はオーバーヘッドビンを使うことになるが、個室内の収納だけでも日常的に必要なものはほぼ収まる。

おすすめ座席番号

THE Roomは1-2-1の配列で64席あり、窓側の1人席(A・K列)と中央の2人席(D・G列)がある。

座席タイプ 特徴 おすすめ
窓側 A・K列 窓に面した1人席。景色を楽しめる。 1人旅・夜景・日の出を見たい方
中央 D・G列 隣席と仕切りを下げて2人使いできる。 カップル・夫婦での旅行

1人旅なら窓側のA列またはK列が基本のおすすめだ。座席の番号でいえば、ギャレー(厨房)から遠い後方のほうが準備音を気にせず過ごせる。反対に前方の席は降機時に早く出やすい利点がある。

中央の2席はD列とG列が向き合うように配置されており、仕切りを下げると簡単に行き来できる。ただしこの2席は窓なしなので、景色にこだわる場合はそれぞれ窓側を選ぶほうがよい。

機内食とドリンクサービス

THE Roomのビジネスクラスでは、和食・洋食から選ぶコース形式の機内食が提供される。出発前にオンラインで事前予約(Special Meal)ができる路線もあり、和食にしたい場合は早めに予約しておくと確実だ。

コースは「アミューズ → オードブル → メイン → チーズ → デザート」という構成。機体が安定した直後にアミューズが届き、食事のはじまりを告げる。

ANA THE Room 機内食 アミューズ

機体が安定後すぐに届くアミューズ

目でも楽しめるオードブルでお食事がはじまる。洋食コースは見た目の美しさにも気を配った盛りつけで、機内食の域を超えた完成度だ。

ANA THE Room 機内食 オードブル

目でも楽しめるオードブル

メインは肉厚でやわらかいステーキ。ボルドーのワインと合わせるのが定番だ。長距離フライトで食べるステーキは、個室の空間と相まって特別な満足感がある。

ANA THE Room 機内食 メインステーキ

肉厚でやわらかいステーキをボルドーのワインで

メインが終わった後もチーズとワインで時間を過ごせる。「いつまでも食べていたい」という感覚になるのはビジネスクラスらしい豊かさだ。

ANA THE Room チーズとワイン

チーズとワインはいつまでも楽しめる

深夜便では「夜食」として豚骨ラーメンが選べる便もある。食事を早めに済ませて寝た後、小腹が空いたときに頼む一杯が染み渡る。

ANA THE Room 機内食 夜食 豚骨ラーメン

深夜の豚骨ラーメン。小腹が空いたときの定番

着陸2時間前には朝食が届く。和食・洋食のどちらも用意されており、目的地到着前に体を整えてくれる。

ANA THE Room 機内食 朝食

到着2時間前に届く朝食

ドリンクはシャンパン・日本酒・ビール・ワイン・ウイスキーなど幅広く揃っている。ANAビジネスクラスのシャンパンは路線・時期によってキュヴェが変わることがあり、長距離路線ではプレミアムなボトルが採用されることが多い。

食事のタイミングはある程度希望に応じてもらえる。深夜便で「乗ったらすぐ食べて寝たい」という場合は、搭乗時に乗務員に伝えると対応してくれることが多い。

アメニティ

ビジネスクラスの場合、機内パジャマは貸し出し(着用後は返却)となる。ファーストクラス(THE Suite)では持ち帰れるが、THE Roomでは返却が必要だ。素材はファーストクラスほど高級ではないが、長距離フライトで着替えて過ごすには十分快適な素材が使われている。

アメニティポーチは搭乗者全員に提供される。リップクリーム・歯ブラシセット・アイマスク・耳栓・ソックスが標準的な内容だ。時期によってブランドが変わることがある。

ノイズキャンセリングヘッドフォンは座席に備え付けられており、映画鑑賞時にも睡眠時にも使える。機内の騒音(エンジン音)を大幅に軽減してくれるため、音楽なしで装着するだけでも睡眠の質が上がる。

就航路線一覧(2026年現在)

THE Roomが搭乗できるのは、B777-300ERが使用されている国際線の長距離路線に限られる。短距離・中距離路線にはB787などが使われるため、THE Roomはない。

路線 便名(代表) 所要時間
羽田 ↔ ロンドン(ヒースロー) NH211/212 約13時間
羽田 ↔ ニューヨーク(JFK) NH109/110 約14時間
羽田 ↔ サンフランシスコ NH107/108 約10時間
羽田 ↔ ロサンゼルス NH105/106 約11時間
羽田 ↔ フランクフルト NH203/204 約13時間
羽田 ↔ パリ(CDG) NH217/218 約14時間
羽田 ↔ ミラノ(MXP) NH205/206 約14時間

路線・機材の変更はANA公式サイトで都度確認するとよい。B787での運航に変わっている場合はTHE Roomは搭乗できないため、予約前に「機材」の欄を必ずチェックすることを勧める。

特典航空券での取り方と必要マイル数

ビジネスクラスの特典航空券はファーストクラスほど枠が少なくはないが、人気路線・繁忙期は早期に埋まる。正しいタイミングで動くことが重要だ。

ANAの国際線特典航空券に必要なマイル数(ビジネスクラス・日本発・片道)の目安は以下のとおりだ。

ゾーン 必要マイル(片道・スタンダード) 対象路線例
北米 55,000マイル ニューヨーク・サンフランシスコ・ロサンゼルス
欧州 60,000マイル ロンドン・パリ・フランクフルト・ミラノ

空席は出発354日前から照会できる。解放日の深夜0時にANAのウェブサイトかアプリで確認するのが最速だ。GW・年末年始・お盆のような需要が集中する時期は特典席の解放数が少なくなるため、平日出発の便を優先的に狙うとよい。

また、ANA SFC(スーパーフライヤーズカード)やダイヤモンドサービスの会員であれば、特典航空券の空席照会を一般会員より早期に行える場合がある。上級会員資格を持っている場合は積極的に活用したい。

THE Room FX(後継モデル・2026年〜)

2026年からはB787-9型機にTHE Roomの後継モデル「THE Room FX」が順次導入される。座席幅が約105cmに拡大されたほか、新しいデザインと収納レイアウトが採用されている。スライドドアはTHE Roomと同様に装備されており、個室性能は継続している。

THE Room FXはB787-9の機内環境(低圧力・高湿度・広い胴体)とも相まって、体への負担が少ないビジネスクラスとして注目を集めている。THE Roomが搭載されているB777-300ERとは機体そのものの特性も異なるため、「機内の快適さ」という観点ではTHE Room FXに優位性がある。

THE Room FXが就航しているかどうかは、ANA公式サイトの機材検索で確認できる。THE Roomを体験した後にTHE Room FXに乗ると、改良点がわかりやすく感じられるはずだ。

JAL SKY SUITEとの比較

JALのビジネスクラスには「SKY SUITE III」「SKY SUITE 787」などのラインアップがある。これらはTHE Roomと同じく1-2-1配列のフルフラットシートだが、個室スライドドアを持たない点が大きな違いだ。

比較項目 ANA THE Room JAL SKY SUITE III
個室ドア スライドドアあり なし
座席幅 約100cm 約78cm
マットレス 西川クッション Airweaveマットレス
機材(主要長距離) B777-300ER B777-300ER・B787-9

プライバシーを最優先するなら、個室ドアを持つANA THE Roomが優位だ。ただし、JALのAirweaveマットレスは寝心地への評価が高く、「眠りやすさ」という一点に絞ると互角以上という意見もある。どちらを選ぶかは路線と個人の好みによる部分が大きい。詳しくはJAL vs ANA 徹底比較記事で解説している。

まとめ

ANA THE Roomはビジネスクラスとして世界最高水準のプロダクトの一つだ。スライドドアによる個室性、幅100cmのベッド、西川クッションの寝具が組み合わさった空間は、長距離フライトを「移動時間」ではなく「滞在時間」に変えてくれる。

同じB777-300ERには上位クラスのTHE Suite(ファーストクラス)も搭載されており、ビジネスクラスのTHE Roomは「THE Suiteより手が届きやすいが、それでも世界トップレベルの空間」という位置づけだ。特典航空券の必要マイルも北米・欧州方面で片道55,000〜60,000マイルであれば、マイルを計画的に貯めれば現実的な選択肢になる。

後継の「THE Room FX」への移行も進んでいるため、B777-300ERでTHE Roomに乗れる機会は今後徐々に減っていく可能性がある。乗るなら早めに計画しておくとよいだろう。

よくある質問

ANA THE Room はどのクラスですか?

ビジネスクラスです。ANA THE Suiteがファーストクラスで、THE Roomはその下のビジネスクラスにあたります。ただし、スライドドア付き個室・幅100cmのベッドなど、ビジネスクラスとして世界最高水準の設備を持っています。

THE Room と THE Suite の違いは何ですか?

THE Suiteはファーストクラス(8席・43インチ4Kモニター・ロック付きドア)、THE Roomはビジネスクラス(64席・24インチモニター・スライドドア)です。THE Roomのドアにはロック機構がなく、THE Suiteよりも座席幅は狭くなります。食事・アメニティの質もファーストクラスのほうが上になります。

THE Room の特典航空券には何マイル必要ですか?

日本発・片道のスタンダード特典の場合、北米方面は55,000マイル、欧州方面は60,000マイルが目安です(2026年現在)。空席は出発354日前から照会でき、平日便・繁忙期を避けることで確保できる確率が上がります。

THE Room FX と THE Room の違いは何ですか?

THE Room FXはTHE Roomの後継モデルで、B787-9型機に搭載されます。座席幅が約105cmに拡大され、B787の低圧力・高湿度の機内環境との組み合わせで体への負担がさらに少なくなっています。スライドドアは継続して装備されています。

THE Room は JAL ビジネスクラスより快適ですか?

個室ドアの有無と座席幅(約100cm vs 約78cm)という点では、THE Roomが上回ります。ただし、JALのAirweaveマットレスは眠りやすさで高い評価があり、寝心地の面では互角以上という意見もあります。どちらを選ぶかは路線・個人の好みによります。