ANA新機材の受領がずれた——787-9「THE Room FX」は11月以降、737-8は10月以降、777-9は2027年度後半へ【2026年7月29日発表】

ANAホールディングスが2026年7月29日の第1四半期決算説明会で、新しく受け取る飛行機の時期の見込みを明らかにしました。注目は3機種です。新しい個室ビジネスクラス「THE Room FX」を積んだボーイング787-9、国内線の主力になる737-8(737 MAX 8)、そしてANAがローンチカスタマーをつとめる777-9(777X)。いずれも、これまで案内されていた時期からうしろにずれました。

マイルで個室ビジネスクラスを取ろうと計画していた人にとっては、予定を組みなおす材料になります。数字だけ先に整理してから、なぜずれたのか、旅の計画にどう効くのかを見ていきます。

受領時期はどう変わったのか

今回の説明会で示された内容を、以前の案内と並べるとこうなります。

機種 これまでの案内 今回の見込み おもな用途
787-9(THE Room FX搭載) 2026年8月以降 2026年11月以降 国際線の中型機
737-8(737 MAX 8) 2026年6月以降 2026年10月以降 国内線(737-800の後継)
777-9(777X) 未確定 2027年度後半以降 国際線の大型機

ずれの幅は、787-9でおよそ3か月、737-8でおよそ4か月です。年単位の凍結ではありません。ただ、787-9は「今夏就航」と案内されてきた機体なので、夏休みや秋の連休をねらって予定を立てていた人にはひびきます。

787-9「THE Room FX」が11月以降になった理由

ANAの説明では、各種の承認プロセスに時間がかかっていることが理由です。飛行機のシートは、すわり心地だけでつくられているわけではありません。急な減速に耐えられるか、緊急脱出のときに通路をふさがないか、素材が燃えにくいか。こうした点をひとつずつ確認し、当局の承認を取ってはじめて客室に取りつけられます。

THE Room FXは、777-300ERで2019年に登場したTHE Roomの快適さを引きつぎながら、胴体の細い787-9に合わせて設計しなおしたシートです。既存のシートをそのまま積むのではなく、新しくつくったもの。だから確認する項目も多くなります。時間がかかっているのは、手を抜いていないことの裏返しでもあります。

ちなみにTHE Room FXは、機内の設備を対象にした国際的な賞であるCrystal Cabin Awardの最優秀賞を受けています。評価そのものは動いていません。乗れる時期だけがうしろにずれた、という理解でいいと思います。

ANA 777-300ERの個室ビジネスクラス THE Roomの客室
777-300ERのTHE Room。この快適さを787-9向けに設計しなおしたのがTHE Room FXです。(写真:Wikimedia Commons / Yo12525 / CC BY-SA 4.0)

THE RoomとTHE Room FXがどう違うのかは、ANA THE RoomとTHE Room FXの違い徹底比較2026でくわしく整理しています。予約の前に見分け方を知っておくと、機材変更があったときにも落ちついて判断できます。

737-8の遅れは「世界初のトイレ」が理由

737-8がずれた理由は、はっきりしています。世界ではじめてとなるユニバーサル仕様のトイレを積むため、その承認に時間がかかっているというものです。

ユニバーサル仕様のトイレとは、車いすを使う人や介助が必要な人がつかいやすいように設計されたものです。狭い単通路機でこれを実現するのは、かんたんではありません。世界初ということは、参考にできる前例がないということでもあります。承認する側も、ゼロから確認していくことになります。

737-8は全30機の導入が決まっている機材です。2025年6月のパリ航空ショーで、オプションだった10機を確定発注に切り替え、当初の「確定20機+オプション10機」から全量が確定になりました。国内線の737-800を置きかえていく、長い計画の入口にあたります。数か月のずれで計画そのものが揺らぐ規模の話ではありません。

777-9は2027年度後半以降へ

777-9については、ローンチカスタマーへの引きわたしが2026年度第4四半期以降の見込みで、ANAが受け取るのはその後、2027年度後半以降という説明でした。

777-9は、ボーイングが開発している大型機です。開発の遅れが続いてきた機種で、今回もその流れの延長にあります。ANAは日本の航空会社としてはやくから発注してきましたが、じっさいに客室で会えるのは、もうしばらく先ということになります。

国際線の大型機については、いま飛んでいる777-300ERがしばらく主力でありつづける、という読みかたができます。THE Roomに乗りたい人にとっては、むしろ落ちついた状況ともいえます。

「受領」と「就航」は別のことです

ニュースを読むときに混同しやすいのが、この2つです。予約の判断に直結するので、ここだけは分けて考えてください。

受領は、航空会社がメーカーから飛行機を受け取ることです。日本に飛んできて、自社の登録記号がついた時点で受領は済んでいます。けれど、受け取ったその日から乗客をのせられるわけではありません。

受領してから就航するまでには、いくつもの工程があります。国内で必要な検査を受ける。整備の体制を整える。客室乗務員がその機材の訓練を受ける。そして、どの路線にどの便として入れるかを決め、予約システムに反映させる。ここまで済んでから、はじめて予約画面にあらわれます。

この間隔は機種や状況によって変わりますが、数週間から数か月を見ておくのが現実的です。つまり787-9の受領が2026年11月以降なら、THE Room FXにじっさいに乗れるのは、もうすこし先ということになります。「11月から乗れる」と読んでしまうと、予定がずれます。

逆にいえば、受領の報道が出たあとは、就航路線の発表を待つ時期にはいります。ANAは新しいシートを入れるとき、まず特定の路線に集中して投入することが多いです。発表が出てから予約を動かしても、じゅうぶん間にあいます。

旅の計画にどう効くか

今回のずれを、予約の実務に落とすとこうなります。

こう考えていた人 これからの動きかた
秋にTHE Room FXへ乗りたい 11月以降の受領なので、就航はさらにあと。年末年始から先を見ておく
個室ビジネスクラスに早く乗りたい 777-300ERのTHE Roomなら、いま予約できる。ロンドン・ニューヨークなど基幹路線が中心
国内線で新しい737に乗りたい 10月以降の受領。就航路線の発表を待ってから予約する
すでに予約を入れている 機材が別の型に差しかわる可能性がある。搭乗の1〜2週間前にシートマップを見なおす

いちばん実用的なのは、いまTHE Roomに乗れる便を押さえておくことだと思います。FXを待つあいだも空は飛べます。どの便がTHE Room機材なのかを見分ける手順は、ANAビジネスクラス「当たり機材」の見分け方2026にまとめてあります。予約の画面でシートマップを開くだけで、かなりのことがわかります。

同じ決算説明会で出たもうひとつの話

この日の説明会では、IBEXエアラインズとの包括的な業務提携も発表されました。2029年度からE190-E2でANA便を運航してもらい、CRJ700は退役していくという内容です。機材の話としては受領時期よりも先の話になりますが、地方路線の座席がどう変わっていくかにつながります。くわしくはANAとIBEXが運航受委託で合意で整理しています。

あわせて、2026年度第1四半期は売上高が過去最高となったいっぽうで、営業利益は前年同期から減りました。機材の更新は先行しておかねが出ていくものなので、こうした数字とセットで見ると、受領時期の修正がもつ意味も見えやすくなります。

まとめ

  • THE Room FXを積んだ787-9の受領は、2026年8月以降から11月以降へ
  • 737-8は6月以降から10月以降へ。世界初のユニバーサル仕様トイレの承認待ち
  • 777-9は2027年度後半以降。ローンチカスタマーへの引きわたし次第
  • いま個室ビジネスクラスに乗るなら、777-300ERのTHE Roomが現実的な選択肢
  • 受領の時期と就航の時期は別もの。就航路線の発表を待ってから予約する

新機材のスケジュール全体はANA 2026年下期 新機材スケジュールにまとめてあります。今後の受領・就航については、ANA公式の案内が出しだい更新されます。最新の情報はANA公式サイトの運航のご案内ANAグループのプレスリリースをご確認ください。

この記事を書いた人|TE travel 編集部

TE travel(ティーイー・トラベル)は、エアラインの搭乗記とラグジュアリーホテルの滞在記を軸に、マイルや上級会員特典を「じっさいに使えるかたち」で発信する旅行メディアです。ANA・スターアライアンスの最新情報を、旅の総額を下げる視点でお届けしています。

よくある質問(FAQ)

Q. THE Room FXにはいつから乗れますか?

A. 機体の受領が2026年11月以降の見込みです。受領してから客室の準備や乗員の訓練を経て就航するため、乗れるのはそのあとになります。就航路線と開始日はANAから改めて発表されます。

Q. なぜ受領が遅れているのですか?

A. 787-9は各種の承認プロセスに時間がかかっていること、737-8は世界初となるユニバーサル仕様のトイレの承認に時間がかかっていることが理由です。いずれも安全にかかわる確認で、製造の中止や発注の取り消しではありません。

Q. すでに予約した便の機材は変わりますか?

A. 変わる可能性があります。航空会社は運航の都合で機材を差しかえることがあります。座席にこだわりがあるときは、搭乗の1〜2週間前に予約画面でシートマップを見なおしてください。

Q. いま個室ビジネスクラスに乗る方法はありますか?

A. あります。777-300ERに搭載されているTHE Roomなら、いまも予約できます。ロンドン・ニューヨークなどの基幹路線が中心です。便ごとの機材はANAの予約画面のシートマップで確認できます。

Q. 777-9(777X)にはいつ乗れますか?

A. ANAの受領は2027年度後半以降の見込みです。ローンチカスタマーへの引きわたしが2026年度第4四半期以降とされており、その後になります。実際に客室で乗れるのは、さらに先になります。