ANA THE RoomとTHE Room FXの違い徹底比較2026|どちらに乗るべきか・見分け方まで解説

ANAの国際線ビジネスクラスには、いま「THE Room」と「THE Room FX」という2つの個室型シートが併存している。結論から言うと、これは新旧交代ではない。THE RoomはB777-300ER、THE Room FXはB787-9と搭載機材が異なるため、乗れる路線そのものが違う。つまり「どちらが上か」ではなく「自分の乗る路線でどちらに当たるか」が本当の論点だ。この記事では、両シートの違いを比較表で整理し、確実性を取るならTHE Room、最新体験を狙うならTHE Room FXという使い分けまで、予約前に知っておきたいポイントをまとめる。

結論——どちらも「当たり」、違いは世代と機材

最初に全体像を示しておく。THE Roomは2019年にデビューした、スライドドア付きの個室型ビジネスクラスだ。B777-300ERに搭載され、ニューヨーク・ロンドン・パリなどの長距離路線で世界最高水準の評価を得てきた。

いっぽうTHE Room FXは、2026年夏以降に就航した新世代シートだ。FXはFuture Experienceの略で、椅子・ソファ・ベッドの3つのスタイルを切り替えられる、これまでにないコンセプトを持つ。搭載されるのは中型機のB787-9。航空機内装の国際アワードであるCrystal Cabin Award 2026で最優秀賞を受賞しており、業界での評価はすでに高い。

重要なのは、THE Room FXの登場でTHE Roomが古くなったわけではないという点だ。THE Roomはいまも現役で長距離主要路線の主軸をつづけており、体験の質は世界トップクラスのまま変わらない。2026年時点では「大型機のTHE Room」と「中型機のTHE Room FX」が路線ごとに住み分けている、と理解するのが正確だ。

THE Roomとは——B777-300ERの完全個室

THE Roomは、ANAが2019年に投入した個室型ビジネスクラスだ。B777-300ER(4クラス仕様機)に搭載されており、座席数は46席・1-2-1配列。すべての座席が通路に直接アクセスできる。

ANAのボーイング777-300ER型機
ANAのボーイング777-300ER型機(写真:Wikimedia Commons / BriYYZ / CC BY-SA 2.0)

最大の特徴はスライドドアだ。引き戸を閉めると外の視線がほぼ遮断され、機内サービスの声も届きにくくなる。眠りたいときはドアを閉めれば、完全にひとりの時間になる。この「ドアで仕切れる個室感」が、THE Roomを他のビジネスクラスと分けてきた。

スペックで見ると、シートピッチは約78インチ(約198cm)、シート幅は約26インチ(約66cm)。フルフラット時の長さは198cmで、身長180cm台でも足を曲げずに眠れる。モニターは24インチの有機ELで発色がよく、羽田—ロンドン線のような12時間超のフライトでも目が疲れにくい。

座席は窓側(A・K列)と中央(D・G列)で性格が変わる。窓側は眺望と独立性が高く、ひとり旅に向く。中央の2席は隣と会話しやすく、夫婦や友人同士での利用に向いている。

THE Room FXとは——B787-9の新世代シート

THE Room FXは、2026年夏以降にB787-9の新機材へ順次導入されている新世代ビジネスクラスだ。導入されるのは新造機3機と改修機16機の計19機。さらにANAは787-8の21機と787-9の16機、あわせて37機を全クラス新シートに更新していく客室改修契約も結んでおり、対象機材は今後も増えていく。

シートのコンセプトは「過ごし方を変えられる空間」。シンプルな機構で椅子・ソファ・ベッドの3つのスタイルを自由に選べるのが最大の特徴だ。装備も最新世代で、24インチのHDモニター、USB Type-Cの充電ポート、Bluetoothの音声接続、そしてANAとして初採用のワイヤレス充電パッドを備える。

B787-9の新機材は3クラス206席構成で、ビジネスクラスは48席。プレミアムエコノミー21席・エコノミー137席と、全クラスのシートが刷新されている。

機体そのものの快適性も見逃せない。B787は客室気圧が約1,830m相当とB777より地上に近く、湿度も高い。機体側の負担の少なさとシートの新しさが重なるのが、THE Room FX搭乗の隠れた価値だ。

THE RoomとTHE Room FXの比較表

両シートの違いを一覧にまとめた。

項目 THE Room THE Room FX
搭載機材 B777-300ER(大型機・4クラス仕様) B787-9(中型機・新機材)
導入時期 2019年〜 2026年夏〜(順次拡大中)
座席数・配列 46席・1-2-1 48席・1-2-1
ドア スライドドア(引き戸)付き個室 ドア付き個室(細部仕様は就航機材で要確認)
シート機構 フルフラット(長さ198cm) 椅子・ソファ・ベッドの3スタイル切替
シートピッチ 約78インチ(約198cm) 約82インチ(約208cm)
シート幅 約26インチ(約66cm) 未公表(ANA公式で最新情報の確認を)
モニター 24インチ 有機EL 24インチ HD
充電・接続 USB・AC電源 USB Type-C・ANA初のワイヤレス充電・Bluetooth音声接続
主な就航路線 ニューヨーク・ロンドン・パリ・フランクフルト・ワシントン・シカゴなど長距離主要路線 ミラノ・バンクーバーを皮切りに、欧州・北米の対象路線へ順次拡大
乗れる確率(2026年時点) 高い(B777-300ER運航便が多数) まだ低い(計19機から順次・便により旧仕様と混在)
受賞 Crystal Cabin Award 2026 最優秀賞

ドア付き個室で広いベッドになるという基本の考え方は、じつは両者で共通している。違いは、より新しい世代の機構と装備に置き換わったかどうかだ。なお導入初期のプロダクトは細部の仕様が変わることもあるため、予約前にANA公式のシートマップで確認してほしい。

就航路線の違い——乗れる路線がそもそも別

比較でもっとも実用的なのが路線の違いだ。搭載機材が異なるため、狙うべき便がまったく変わる。

THE Roomは、B777-300ER(4クラス仕様)が使われる長距離主要路線が中心だ。羽田発のニューヨーク・ロンドン・パリ・フランクフルト・ワシントン・シカゴなどで乗れる。とくにロンドン・ニューヨーク・シカゴといった主力長距離路線は、現時点ではB777が中心で、ファーストクラス「THE Suite」とTHE Roomが引きつづき主軸になっている。

いっぽうTHE Room FXは、欧州・北米の高単価路線に集中して投入される方針が発表されている。公表されている対象は、北米がロサンゼルス・ワシントン・ヒューストン・シアトル・ホノルル・バンクーバー、欧州がパリ・フランクフルト・ミュンヘン、アジア・オセアニアがシドニー・シンガポール・クアラルンプールだ。2026年下期は、毎日運航へ切り替わる羽田=ミラノ線と、期間運航の成田=バンクーバー線が導入の入り口として注目されている。

注意したいのは、ロンドン・フランクフルト・パリ・ロサンゼルスなどの方面ではB777-300ERとB787-9の両機材が使われる便が混在していることだ。同じ路線・同じ便名でも、日によって機材が変わる場合がある。どちらのシートに当たるかは、予約時のシートマップ確認で判断するのが確実だ。

どちらに乗るべきか——目的別の選び方

ここまでの違いを踏まえて、目的別に整理する。

確実に個室ビジネスに乗りたいなら、THE Roomを選ぶのが堅実だ。B777-300ERの運航便は多く、ニューヨーク・ワシントン・シカゴなどでは4クラス仕様機で安定して運航されている。導入から時間が経っているぶん、予約時に狙いやすく、体験の質もすでに証明されている。

最新のシートを体験したいなら、THE Room FXを狙う価値がある。3スタイル切替・ワイヤレス充電・Bluetooth接続という装備は現行のTHE Roomにはないものだ。さらにB787-9は客室気圧・湿度の面で長距離フライトの疲労が少ない機材なので、シートと機体の両方が新しくなる。ただし導入初期は対象便が限られ、同じ便でも旧仕様のスタッガードシートに変わる可能性がある点は織り込んでおきたい。

わたしの考えでは、2026年時点の使い分けはシンプルだ。ロンドンやニューヨークなど主力長距離路線に乗るならTHE Roomで間違いない。ミラノ・バンクーバーなどFX導入路線に用事があるなら、機材を確認してTHE Room FXを積極的に狙う。どちらに当たっても個室型の上位シートであることに変わりはなく、避けたいのは「旧世代のスタッガードシートに気づかず乗ること」のほうだ。

予約時の見分け方——3つのチェックポイント

最後に、予約時にどちらのシートか見分ける方法をまとめる。

第一に、機材コードを確認する。ANA公式サイトのフライト検索結果には機材が表示され、77WならB777-300ER(THE Room搭載の可能性あり)、789ならB787-9、788ならB787-8だ。ただしB787-9は既存機(スタッガードシート)と新機材(THE Room FX)が混在しているため、機材コードだけでは判別できない。

第二に、シートマップを開く。「機内設備・座席」や「座席を選択する」からシートマップを表示し、ビジネスクラスが1-2-1の個室配列になっているかを確認する。これがもっとも確実な方法だ。

第三に、予約後も再確認する。機材繰りの変更で当日に機材が変わることがあるため、搭乗1〜2週間前と出発前日にシートマップを見直しておくと安心だ。予約前のくわしい確認手順は、別記事「ANAビジネスクラス当たり機材の見分け方」でステップごとに解説している。

あわせて読みたい

ANAビジネスクラスの全体像や、それぞれのシートのくわしい情報はこちらの記事でまとめている。

よくある質問(FAQ)

Q. THE RoomとTHE Room FXのいちばん大きな違いは何ですか?

A. 搭載機材とシート機構です。THE RoomはB777-300ER搭載のスライドドア付き個室で2019年導入、THE Room FXはB787-9搭載の新世代シートで2026年夏以降に順次導入されています。THE Room FXは椅子・ソファ・ベッドの3スタイルを切り替えられ、ワイヤレス充電やBluetooth音声接続など装備も最新です。

Q. THE Room FXはTHE Roomの後継シートですか?

A. 置き換えではなく併存です。THE Room FXは中型機B787-9向けに新しく開発されたシートで、B777-300ERのTHE Roomは引きつづき長距離主要路線で現役です。2026年時点では、路線によってどちらに乗れるかが変わります。

Q. THE Room FXはどの路線で乗れますか?

A. 欧州・北米の高単価路線に集中投入される方針で、北米はロサンゼルス・ワシントン・ヒューストン・シアトル・ホノルル・バンクーバー、欧州はパリ・フランクフルト・ミュンヘン、アジア・オセアニアはシドニー・シンガポール・クアラルンプールが公表されています。導入初期は羽田=ミラノ線・成田=バンクーバー線が注目路線です。最新の就航状況はANA公式サイトで確認してください。

Q. 予約前にどちらのシートか確認できますか?

A. できます。ANA公式サイトの予約画面で機材コード(77W=B777-300ER、789=B787-9)を確認し、さらにシートマップでビジネスクラスが1-2-1の個室配列かをチェックします。B787-9は新旧の仕様が混在しているため、シートマップでの確認がもっとも確実です。

Q. どちらのほうが快適ですか?

A. どちらも個室型の上位シートで、快適性は世界トップクラスです。実績と乗れる確率の高さならTHE Room、最新装備とB787-9の機体特性(気圧・湿度による疲労の少なさ)ならTHE Room FXに分があります。乗る路線でどちらに当たるかを基準に選ぶのが現実的です。

この記事を書いた人
TE travel 編集部
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