ANA THE RoomとTHE Room FXの違い徹底比較2026|どちらに乗るべきか・見分け方まで解説

ANAの国際線ビジネスクラスに、まもなく「THE Room FX」という新しい個室型シートが加わる。いま乗れるのはB777-300ERの「THE Room」で、THE Room FXはB787-9の新造機に搭載され、2026年8月に初号機を受領する予定。就航はそのあとになる。結論から言うと、これは新旧交代ではない。搭載機材が違うため、就航後は乗れる路線そのものが変わる。つまり「どちらが上か」ではなく「自分の乗る路線でどちらに当たるか」が本当の論点になる。この記事では、両シートの違いを比較表で整理し、いま確実に乗れるTHE Roomと、これから就航するTHE Room FXの使い分けまで、予約前に知っておきたいポイントをまとめる。

結論——どちらも「当たり」、違いは世代と機材

最初に全体像を示しておく。THE Roomは2019年にデビューした、スライドドア付きの個室型ビジネスクラスだ。B777-300ERに搭載され、ニューヨーク・ロンドン・パリなどの長距離路線で世界最高水準の評価を得てきた。

いっぽうTHE Room FXは、これから就航する新世代シートだ。FXはFuture Experienceの略で、椅子・ソファ・ベッドの3つのスタイルを切り替えられる、これまでにないコンセプトを持つ。搭載されるのは中型機のB787-9で、全席がフルハイト(天井近くまで届く高さ)の個室ドアを備える。ANAは2026年8月に初号機を受領する予定で、就航はそのあと。就航路線はまだ発表されていない。航空機内装の国際アワードであるCrystal Cabin Award 2026で最優秀賞を受賞しており、業界での評価はすでに高い。

重要なのは、THE Room FXの登場でTHE Roomが古くなったわけではないという点だ。THE Roomはいまも現役で長距離主要路線の主軸をつづけており、体験の質は世界トップクラスのまま変わらない。2026年7月時点では、実際に乗れるのは「大型機のTHE Room」のほうで、THE Room FXは初号機の受領を待つ段階にある、と理解するのが正確だ。

THE Roomとは——B777-300ERの完全個室

THE Roomは、ANAが2019年に投入した個室型ビジネスクラスだ。B777-300ER(4クラス仕様機)に搭載されており、座席数は64席・1-2-1配列。すべての座席が通路に直接アクセスできる。

ANAのボーイング777-300ER型機
ANAのボーイング777-300ER型機(写真:Wikimedia Commons / BriYYZ / CC BY-SA 2.0)

最大の特徴はスライドドアだ。引き戸を閉めると外の視線がほぼ遮断され、機内サービスの声も届きにくくなる。眠りたいときはドアを閉めれば、完全にひとりの時間になる。この「ドアで仕切れる個室感」が、THE Roomを他のビジネスクラスと分けてきた。

スペックで見ると、シートピッチは約78インチ(約198cm)、シート幅は約26インチ(約66cm)。フルフラット時の長さは198cmで、身長180cm台でも足を曲げずに眠れる。モニターは24インチの有機ELで発色がよく、羽田—ロンドン線のような12時間超のフライトでも目が疲れにくい。

座席は窓側(A・K列)と中央(D・G列)で性格が変わる。窓側は眺望と独立性が高く、ひとり旅に向く。中央の2席は隣と会話しやすく、夫婦や友人同士での利用に向いている。

THE Room FXとは——B787-9の新世代シート

THE Room FXは、B787-9の新造機に搭載される新世代ビジネスクラスだ。ANAは2026年8月に初号機を受領する予定で、就航開始はそのあとになる。就航路線はまだ発表されていない。ビジネスクラスは1機あたり48席・1-2-1配列で、6列ずつを前方・後方に配した構成だ。

シートのコンセプトは「過ごし方を変えられる空間」。シンプルな機構で椅子・ソファ・ベッドの3つのスタイルを自由に選べるのが最大の特徴だ。そして48席すべてがフルハイト(天井近くまで届く高さ)の個室ドアを備える。ドアを閉めれば完全な個室になる設計は、THE Roomのスライドドアと同じ思想を受け継いでいる。

装備も最新世代で、24インチのHDモニター、USB Type-CとUSB-Aの充電ポート、AC電源、そしてANAとして初採用のワイヤレス充電を備える。フルフラット時のベッドは最大約194cm(76.5インチ)、幅は最大約105cm(41.5インチ)で、THE Roomより広い。

機体そのものの快適性も見逃せない。B787は客室気圧が約1,830m相当とB777より地上に近く、湿度も高い。機体側の負担の少なさとシートの新しさが重なるのが、THE Room FX搭乗の隠れた価値だ。

THE RoomとTHE Room FXの比較表

両シートの違いを一覧にまとめた。

項目 THE Room THE Room FX
搭載機材 B777-300ER(大型機・4クラス仕様) B787-9(中型機・新機材)
導入時期 2019年〜(就航中) 2026年8月に初号機受領予定(就航はこれから)
座席数・配列 64席・1-2-1 48席・1-2-1
ドア スライドドア(引き戸)付き個室 全席フルハイトの個室ドア付き
シート機構 フルフラット(長さ198cm) 椅子・ソファ・ベッドの3スタイル切替
フルフラット時の長さ 約198cm 最大約194cm(76.5インチ)
シート(ベッド)幅 約26インチ(約66cm) 最大約105cm(41.5インチ)
モニター 24インチ 有機EL 24インチ HD
充電・接続 USB・AC電源 USB Type-C・ANA初のワイヤレス充電・Bluetooth音声接続
主な就航路線 ニューヨーク・ロンドン・パリ・フランクフルト・ワシントン・シカゴなど長距離主要路線 未発表(就航はこれから)
乗れる確率(2026年7月時点) 高い(B777-300ER運航便が多数) まだ乗れない(初号機は8月受領予定・就航はこれから)
受賞 Crystal Cabin Award 2026 最優秀賞

全席フルハイトのドア付き個室で広いベッドになるという基本の考え方は、じつは両者で共通している。違いは、より新しい世代の機構と装備に置き換わったかどうかだ。なおTHE Room FXはまだ就航前のため、就航後に細部の仕様や案内が更新されることもある。予約前にはANA公式のシートマップで最新情報を確認してほしい。

就航路線の違い——乗れる路線がそもそも別

比較でもっとも実用的なのが路線の違いだ。搭載機材が異なるため、狙うべき便がまったく変わる。

THE Roomは、B777-300ER(4クラス仕様)が使われる長距離主要路線が中心だ。羽田発のニューヨーク・ロンドン・パリ・フランクフルト・ワシントン・シカゴなどで乗れる。とくにロンドン・ニューヨーク・シカゴといった主力長距離路線は、現時点ではB777が中心で、ファーストクラス「THE Suite」とTHE Roomが引きつづき主軸になっている。

いっぽうTHE Room FXは、2026年8月に初号機を受領する予定で、就航はそのあとになる。就航路線はまだ発表されていない。長距離の欧州・北米路線から順次投入されると見られているが、具体的な路線・便名はANAからの正式発表を待つ段階だ。就航後にどこで乗れるかがわかったら、シートマップで機材を確認したい。

注意したいのは、B787-9には既存のスタッガードシート機と新シート機が今後混在していく点だ。同じ路線・同じ便名でも、日によって機材が変わる場合がある。どちらのシートに当たるかは、予約時のシートマップ確認で判断するのが確実だ。

どちらに乗るべきか——目的別の選び方

ここまでの違いを踏まえて、目的別に整理する。

確実に個室ビジネスに乗りたいなら、THE Roomを選ぶのが堅実だ。B777-300ERの運航便は多く、ニューヨーク・ワシントン・シカゴなどでは4クラス仕様機で安定して運航されている。導入から時間が経っているぶん、予約時に狙いやすく、体験の質もすでに証明されている。

最新のシートを体験したいなら、就航後のTHE Room FXを狙う価値がある。3スタイル切替・ワイヤレス充電・Bluetooth接続という装備は現行のTHE Roomにはないものだ。さらにB787-9は客室気圧・湿度の面で長距離フライトの疲労が少ない機材なので、シートと機体の両方が新しくなる。ただし就航は2026年8月の初号機受領のあとで、当面は対象便が限られる。就航後も同じ便で旧仕様のスタッガードシートに変わる可能性がある点は織り込んでおきたい。

わたしの考えでは、2026年7月時点の使い分けはシンプルだ。いま予約するなら、確実に個室ビジネスに乗れるTHE Roomで間違いない。THE Room FXは就航路線が発表されてから、機材を確認して積極的に狙えばいい。どちらに当たっても個室型の上位シートであることに変わりはなく、避けたいのは「旧世代のスタッガードシートに気づかず乗ること」のほうだ。

予約時の見分け方——3つのチェックポイント

最後に、予約時にどちらのシートか見分ける方法をまとめる。

第一に、機材コードを確認する。ANA公式サイトのフライト検索結果には機材が表示され、77WならB777-300ER(THE Room搭載の可能性あり)、789ならB787-9、788ならB787-8だ。ただしTHE Room FXの就航後は、B787-9に既存機(スタッガードシート)と新機材(THE Room FX)が混在していくため、機材コードだけでは判別できなくなる。

第二に、シートマップを開く。「機内設備・座席」や「座席を選択する」からシートマップを表示し、ビジネスクラスが1-2-1の個室配列になっているかを確認する。これがもっとも確実な方法だ。

第三に、予約後も再確認する。機材繰りの変更で当日に機材が変わることがあるため、搭乗1〜2週間前と出発前日にシートマップを見直しておくと安心だ。予約前のくわしい確認手順は、別記事「ANAビジネスクラス当たり機材の見分け方」でステップごとに解説している。

あわせて読みたい

ANAビジネスクラスの全体像や、それぞれのシートのくわしい情報はこちらの記事でまとめている。

よくある質問(FAQ)

Q. THE RoomとTHE Room FXのいちばん大きな違いは何ですか?

A. 搭載機材とシート機構です。THE RoomはB777-300ER搭載のスライドドア付き個室で2019年導入、THE Room FXはB787-9の新造機に搭載される新世代シートで、2026年8月に初号機を受領する予定です(就航はそのあと)。THE Room FXは全席がフルハイトの個室ドア付きで、椅子・ソファ・ベッドの3スタイルを切り替えられ、ワイヤレス充電やBluetooth音声接続など装備も最新です。

Q. THE Room FXはTHE Roomの後継シートですか?

A. 置き換えではなく併存です。THE Room FXは中型機B787-9向けに新しく開発されたシートで、B777-300ERのTHE Roomは引きつづき長距離主要路線で現役です。THE Room FXの就航後は、路線によってどちらに乗れるかが変わります。

Q. THE Room FXはどの路線で乗れますか?

A. 2026年7月時点では就航路線は発表されていません。ANAは2026年8月に初号機を受領する予定で、就航はそのあとになります。長距離の欧州・北米路線から順次投入されると見られていますが、具体的な路線・便名はANAからの正式発表を待つ段階です。最新の就航状況はANA公式サイトで確認してください。

Q. 予約前にどちらのシートか確認できますか?

A. できます。ANA公式サイトの予約画面で機材コード(77W=B777-300ER、789=B787-9)を確認し、さらにシートマップでビジネスクラスが1-2-1の個室配列かをチェックします。B787-9は新旧の仕様が混在しているため、シートマップでの確認がもっとも確実です。

Q. どちらのほうが快適ですか?

A. どちらも個室型の上位シートで、快適性は世界トップクラスです。実績と乗れる確率の高さならTHE Room、最新装備とB787-9の機体特性(気圧・湿度による疲労の少なさ)ならTHE Room FXに分があります。乗る路線でどちらに当たるかを基準に選ぶのが現実的です。

この記事を書いた人
TE travel 編集部
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