シンガポール航空のビジネスクラスに乗った人が口を揃えて言うのは、サービスが人間的だということだ。機械的な手順ではなく、乗客の状況を読んでタイミングよく動く。シートもラウンジも一流だが、スタッフの気配りが体験の中心にある。
シンガポール航空(SQ)のビジネスクラスに、マイルで乗りたい。そう考えたときに最初にぶつかるのが、ANAマイルではまず取れないという壁だ。SQは上位クラスの特典枠を、自社のクリスフライヤー会員のために確保している。このページでは、SQビジネスクラスのシートと日本発路線、そのうえで実際に乗るための道すじを整理する。
シンガポール航空ビジネスクラスの種類

2018年新型ビジネスクラス(フルフラット)
2018年から導入された最新世代のビジネスクラス。A380(上部デッキ)およびB777-300ERに搭載されている。1-2-1配列で全席が通路に直接アクセスでき、フルフラットになる前向きのシートだ。よく誤解されるが、SQのビジネスクラスにはドアがない(スライドドア付きの個室はA380の「スイート」=ファーストクラス相当のみ)。シート幅は約64cmで、ドア付き個室のANA THE Room(約66cm)と比べるとやや狭いが、シート設計とサービスの評価は高い。ベッドモードにすると約198cmのフルフラットになり、最前列(Bulkhead)では二人並んで眠れる配置もある。
モニターは18インチHDで、サイズ面では競合に引けを取るが、使いやすいUIと反応速度の高さで評価が高い。ビジネスクラスにもアメニティキットが用意される(フランスのブランド「Lalique」を使うのはファースト/スイートのみで、ビジネスクラスは別のアメニティになる)。
Regional Business Class
アジア域内の中距離路線に搭載されるプロダクト。B737やA350の一部路線で使用される。長距離の新型ビジネスクラスとは別設計で、フルフラットにはならない機材もある。日本—シンガポール間の短距離路線ではこのクラスになることが多いため、乗り継ぎ先の長距離路線を目的にする場合は注意が必要だ。
日本発のシンガポール航空路線(2026年)

| 出発地 | 経由・行先 | 機材 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 東京(成田) | シンガポール(SIN)直行 | A350-900 | 1日複数便 |
| 東京(羽田) | シンガポール(SIN)直行 | B777-300ER | 深夜便あり |
| 大阪(関西) | シンガポール(SIN)直行 | A350-900 | 毎日運航 |
| 名古屋(中部) | シンガポール(SIN)直行 | A350 | 毎日運航 |
| 福岡 | シンガポール(SIN)直行 | A350 | 毎日運航 |
成田・羽田発はB777-300ERまたはA350が使われる便が多く、新型ビジネスクラスに乗れる機会が多い。乗り継ぎでニューヨーク・ロンドン・フランクフルト・シドニーなどへ向かう場合、シンガポールでの乗り継ぎ時間を利用してチャンギ空港のラウンジを楽しむことができる。

クリスフライヤーマイルの貯め方
シンガポール航空の独自マイレージプログラム「KrisFlyer(クリスフライヤー)」でマイルを貯める方法は複数ある。
| 貯め方 | 詳細 |
|---|---|
| SQフライト搭乗 | 搭乗距離 × クラス係数。ビジネスクラスは100〜125%積算 |
| スターアライアンス加盟航空会社搭乗 | ANA・ルフトハンザ等の搭乗でクリスフライヤーに積算可能 |
| 提携クレジットカード | 日本ではSQ提携カードが限定的。Amexのポイント移行が主流 |
| ホテルポイント移行 | マリオットボンヴォイからの移行が可能(3:1レート) |
ANAマイルでは、SQのビジネスクラスに乗れない
先にいちばん大事なところを書いておく。ANAマイルの提携航空会社特典で、シンガポール航空のビジネスクラスを取るのは、事実上できない。空席が少ないという話ではない。SQが上位クラスの特典枠を、他社のマイレージプログラムに開放していないからだ。
SQはビジネスクラスとファーストクラス(スイート)の枠を、自社のクリスフライヤー会員のために確保している。ANA・ユナイテッド・ルフトハンザといったスターアライアンス各社の画面から見えるのは、原則としてエコノミーだけだ。長く例外はエア・カナダのアエロプランだけで、ここだけは提携の取り決めで上位クラスが出ることがある。
だから、ANAの提携特典の画面でSQのビジネスに空席が出ないのは、探しかたが悪いからではない。粘っても出ないものは出ない。
では、SQのビジネスに乗るには
| 方法 | 中身 | ビジネスに乗れるか |
|---|---|---|
| クリスフライヤーマイルの特典航空券 | SQ自社のプログラム。ビジネスの枠はここにしか出ない | 乗れる |
| 有償運賃 | セール運賃や早期割引を狙う。確実に座席を押さえられる | 乗れる |
| ANAマイル(提携特典) | SQ便に使えるのはエコノミーが中心。上位クラスは対象外 | 乗れない |
| エア・カナダ アエロプラン | 提携の取り決めで上位クラスが出ることがある例外 | 出ることがある |
日本でクリスフライヤーマイルを貯めるなら、アメリカン・エキスプレスのポイント移行か、マリオットボンヴォイのポイント移行(3:1)が現実的だ。SQ便に乗って直接ためる手もある。必要マイル数はときどき改定されるので、シンガポール航空の公式チャートで最新のものを見てほしい。
ANAマイルは、SQに回すよりANA自社便のビジネスに使うほうが確実だ。貯めかたは「ANAマイルの効率的な貯め方2026」を参照。SFCとの組み合わせは「ANAマイル・SFC完全ガイド」でまとめている。
チャンギ空港ラウンジ

シンガポール・チャンギ空港はたびたび「世界最高の空港」に選ばれてきた。SQビジネスクラス搭乗者が利用できるのは「SilverKris Lounge(シルバークリスラウンジ)」のビジネスクラス用エリア。最上位の「The Private Room」はスイート・ファーストクラス搭乗者専用で、ステータス会員は入れない。

シルバークリスラウンジはターミナル2・3に設置されており、食事の種類と質の高さ、シャワー設備の充実度で知られている。乗り継ぎ時間が3時間以上あるならば、ラウンジで過ごす時間そのものがSQ体験の一部になる。
よくある質問
ANAマイルでシンガポール航空ビジネスクラスに乗れますか?
実質できません。シンガポール航空はビジネス・ファーストの特典枠を自社のクリスフライヤー会員に確保していて、ANAをふくむスターアライアンス各社には原則エコノミーしか開放していないからです(例外はエア・カナダのアエロプラン)。SQのビジネスにマイルで乗るなら、クリスフライヤーマイルを貯めるのが基本です。
シンガポール航空ビジネスクラスにはドアがありますか?
いいえ。シンガポール航空のビジネスクラスは、2018年新型を含めどの機材もドアはありません。スライドドア付きの完全個室になるのはA380の「スイート」(ファーストクラス相当)だけです。ビジネスは1-2-1配列でフルフラットになる前向きシートです。
クリスフライヤーのマイルは日本からどうやって貯めますか?
American Expressポイントからクリスフライヤーへの移行が日本では現実的です。またマリオットボンヴォイポイントもクリスフライヤーへ移行できます(3:1レート)。SQフライト搭乗でも直接積算されます。
チャンギ空港のラウンジはどこにありますか?
SilverKris LoungeはターミナルT2・T3に設置されています。搭乗ターミナルによって入れるラウンジが異なるため、到着後にボーディングパスを確認して向かうとスムーズです。
シンガポール航空の機内食はどのくらいの水準ですか?
ビジネスクラスの機内食はエアライン系機内食のなかでも高評価を維持しています。和食・中華・洋食から選べるメニューが多く、食前酒の種類も充実しています。
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