世界一周航空券でいちばん時間を取られるのが、行きたい都市を並べたあとの「この行程は買えるのか」という確認です。
スターアライアンスの世界一周運賃は、総飛行距離で料金の区分が決まります。26,000・29,000・34,000・39,000マイルの4段階で、上限の39,000マイルを超えると、そもそも発券できません。ところが公式の予約ツールは、行程を最後まで組んでからでないと距離を教えてくれません。都市をひとつ足すたびに組み直すのは、かなりの手間です。
そこで、都市を並べるだけで総距離と運賃の区分が出る計算機をつくりました。大陸をまたぐ回数と、そこから決まる諸税・燃油のおおよそも一緒に出ます。
世界一周ルート シミュレーター
都市を順に足すと、総距離・運賃の区分・大陸をまたぐ回数・諸税の目安が出ます
どちらのアライアンスで組みますか
使い方は3つの手順だけ
むずかしい設定はありません。
- 出発する都市を選んで「行程に足す」を押します
- 行きたい順に、都市を足していきます
- 最後に、出発した都市をもう一度足して輪を閉じます
足すたびに、下の表が書き変わります。パリからロンドンのように鉄道で移動する区間は、都市を選ぶ前にチェックを入れてください。区間数には数えず、距離だけを足します。理由はあとで説明します。
「実例を入れてみる」を押すと、わたしが実際に一周した行程が入ります。どんな数字が出るのか、まずそれで見てみるのが早いと思います。
距離の区分は4段階。上限は39,000マイル
スターアライアンスの世界一周運賃は、飛んだ距離の合計で区分が決まります。区分の中に収まっていれば、途中でいくつの都市に降りても料金は変わりません。

| 距離区分 | 目安になる行程 | エコノミーの航空券代 | ビジネスの航空券代 |
|---|---|---|---|
| 26,000マイル | 日本 → 欧州 → 北米 → 日本の最短一周 | 下の区分より安い | 下の区分より安い |
| 29,000マイル | 上記に中東またはアジアを1か所足す | 358,900円 | 705,500円 |
| 34,000マイル | 南米またはアフリカを組み込む | 上下の区分のあいだ | 上下の区分のあいだ |
| 39,000マイル | オセアニアまで入れた最長行程 | 494,600円 | 958,900円 |
金額は日本の代理店が公表している2026年時点の航空券代です。各国の出入国税・燃油サーチャージ・空港施設使用料は別にかかります。
気をつけたいのは、区分の境目をわずかに超えるのがいちばんもったいないということです。29,000マイルの区分に1,000マイルだけはみ出すと、料金は34,000マイル区分のものになります。そのために25万円ほど上がることもあります。計算機で境目に近いと出たら、遠回りしている区間がないかを見直してください。
ワンワールドは、距離ではなく地域の数で決まる
計算機の上にある切り替えで、ワンワールドを選ぶと判定が変わります。仕組みがまったく違うからです。
スターアライアンスが総飛行距離で区分を決めるのに対し、ワンワールドの oneworld Explorer は訪れる地域がいくつあるかで料金が決まります。3地域から6地域までの4段階です。距離をどれだけ飛んでも、地域の数が変わらなければ料金は同じです。
| 地域数 | エコノミー | ビジネス | ファースト |
|---|---|---|---|
| 3地域 | 368,500円 | 787,600円 | 1,204,000円 |
| 4地域 | 390,100円 | 936,500円 | 1,419,000円 |
| 5地域 | 460,700円 | 1,074,300円 | 1,644,300円 |
| 6地域 | 533,500円 | 1,173,900円 | 1,794,200円 |
地域の分け方が、地図の感覚とずれている
ここで多くの人がつまずきます。ワンワールドの地域区分は、世界地図の大陸とは一致しません。
- 中東は「ヨーロッパ・中東」に入ります。ドバイもドーハもイスタンブールも、ヨーロッパと同じ地域です
- エジプトとモロッコも「ヨーロッパ・中東」です。アフリカ大陸にありますが、この運賃ではアフリカに数えません
- メキシコは「北米・中米」です。カリブ海の国々やパナマも同じ地域に入ります
- ロシアはウラル山脈で分かれます。西側はヨーロッパ・中東、東側はアジアです
この分類を知らないまま「モロッコとエジプトを入れたからアフリカ大陸も回った」と考えると、地域数を読み違えます。逆に言えば、モロッコとエジプトはヨーロッパ料金のまま行けるということです。カサブランカやカイロは、地域数を増やさずに行程へ足せます。計算機はこの分類どおりに数えます。
ひとつの地域で飛べる回数にも上限がある
ワンワールドにはもうひとつ、スターアライアンスにはない制限があります。ひとつの地域の中で飛べる回数です。北米は6回まで、それ以外の地域は各4回まで。
これが効いてくるのは、ヨーロッパを細かく回りたいときです。わたしが実際に組んだ行程は、ヨーロッパの中で5区間を飛んでいます。同じ行程をワンワールドで組むと、この上限に引っかかります。計算機は超えていれば知らせます。
ヨーロッパをたくさん回りたいならスターアライアンス、中東やアフリカ寄りに組みたいならワンワールド。仕組みの違いが、そのまま向き不向きになっています。
行程を組む前に知っておく2つのルール
距離の計算より先に、行程の形そのものを縛るルールが2つあります。ここを外すと、どれだけ距離を調整しても発券できません。
進む向きは、東回りか西回りのどちらかに固定する
地球を一方向に回りきるのが世界一周運賃です。東へ進みはじめたら、最後まで東へ。途中で西へ戻ることはできません。
これが行程づくりでいちばん効いてきます。わたしが羽田からフランクフルトへ西に飛び、ヨーロッパを東から西へ抜けてニューヨークへ渡ったのも、このルールがあるからでした。ウィーンとブダペストを先に済ませてからパリへ向かったのは、地図の上で右から左へ流すためです。
行きたい都市を地図に置いて、一筆書きになるか確かめてください。戻る動きが出てきたら、その都市は順番を入れ替えるか、地上区間で処理することになります。
太平洋と大西洋を、それぞれ1回ずつ渡る
もうひとつが、2つの大洋をまたぐ条件です。日本から出発するなら、太平洋を1回、大西洋を1回。これで地球を一周したことになります。
この2本が、燃油サーチャージのいちばん高い区間でもあります。避けようがないので、ここは予算に必ず組み込んでおいてください。逆に言えば、大陸をまたぐ最低限は3回(日本から欧州またはアジアへ、大西洋、太平洋)です。この3回に近いほど、諸税は下がります。
区分の境目は、25万円の崖になっている
距離の区分をひとつ上げると、ビジネスクラスでどれだけ変わるか。29,000マイル区分が705,500円、39,000マイル区分が958,900円ですから、その差は253,400円です。
1マイル超えただけでも、区分は上がります。計算機で28,500マイルなどと出たときは、行程のどこかで遠回りをしていないか見てください。たとえば北米で東海岸から西海岸へ移動してから日本に戻ると、2,500マイルほど余分に使います。ニューヨークから直接帰れば、その距離が浮きます。
諸税を決めるのは、区間の数ではなく大陸をまたぐ回数
ここが、世界一周の予算でいちばん誤解されているところです。
「区間を増やすと高くなる」と思われがちですが、航空券代は区分の中なら変わりません。動くのは諸税と燃油のほうです。そしてその大部分を決めているのは、区間の数ではなく大陸をまたいだ回数です。
燃油サーチャージは区間ごとにかかります。ANA国際線の場合、2026年7〜8月発券分で北米・欧州・中東・アフリカ・オセアニア・中南米が片道65,000円。いっぽう、ヨーロッパの中をフランクフルトからウィーンへ飛ぶような区間は、その10分の1以下です。
| 行程 | 飛行区間 | 大陸をまたぐ回数 | 諸税・燃油の目安 |
|---|---|---|---|
| 羽田・欧州5都市・ニューヨーク・ワシントンD.C. | 8区間 | 3回 | 約31万円 |
| 関空・バンコク・プーケット・シンガポール・羽田・ロンドン・カイロ・チューリッヒ・ニューヨーク・ロサンゼルス | 10区間 | 5回 | 約45万円 |
区間数はほとんど同じなのに、14万円の差がつきます。差は、大陸をまたいだ回数です。
だから、都市の数を減らす必要はありません。減らすのは大陸をまたぐ回数のほうです。ひとつの大陸の中で都市を足していくぶんには、燃油も距離もほとんど増えません。ヨーロッパで5都市を回っても、距離の合計は1,500マイルほどです。
計算機は、この「大陸をまたぐ回数」を数えて表示します。行程を組みながら、この数字が増えていないかを見てください。
鉄道で移動する区間は、16区間の枠を使わない
世界一周航空券には、飛行機に乗れる回数の上限があります。最大16区間です。
この16という数に、地上を移動した区間は数えられません。ある都市に着いて、鉄道やバスで別の都市に移り、そこから次の飛行機に乗る。この形を、業界では地上区間と呼びます。
わたしがパリからロンドンへユーロスターで移動したのも、これを使うためでした。飛べば1区間を消費して、フランスの出国税とイギリスの到着ぶん、それに燃油がかかります。鉄道ならそれが全部なくなって、しかも街の中心から中心へ2時間半で着きます。
ただし、ひとつ注意があります。地上区間は区間数には数えませんが、距離には加算されます。飛ばなくても距離は使う、というルールです。パリとロンドンのように短ければ問題になりませんが、大陸を鉄道で横断すると距離だけを食うことになります。
計算機のチェックボックスは、このルールどおりに動きます。チェックを入れた区間は、区間数から外れて距離にだけ足されます。
実例で見る、2つの行程
わたしが一周した行程 — 8都市で17,764マイル
羽田 → フランクフルト → ウィーン → ブダペスト → ミュンヘン → パリ →(ユーロスター)→ ロンドン → ニューヨーク → ワシントンD.C. → 羽田。
8都市に降りて、飛行機は8区間。総距離は約17,764マイルでした。いちばん下の26,000マイル区分にも届いていません。
ヨーロッパで5都市を回っているのに、その5回を足しても1,500マイルほどです。距離を食っているのは、日本と欧州、大西洋、太平洋の3本だけ。区分を上げずに都市を増やすやり方が、そのまま出ています。
代理店のモデルプラン — 10区間で28,886マイル
関空 → バンコク → プーケット → シンガポール → 羽田 → ロンドン → カイロ → チューリッヒ → ニューヨーク → ロサンゼルス → 関空。
こちらは28,886マイルで、29,000マイル区分にぎりぎり収まっています。境目まで114マイルしかありません。ここに1都市を足すと、区分がひとつ上がります。
大陸をまたぐのは5回。諸税・燃油の目安は約45万円で、これは実際に販売されているプランの表示額(455,000円)とほぼ同じです。計算機の見当が、現実からそう離れていないことの裏づけになっています。
この計算機でできないこと
正直に書いておきます。
- 空席の有無はわかりません。距離と料金の区分が出ても、その日にその区間の座席が取れるかは別の話です
- 実際の飛行経路とは少しずれます。計算しているのは2都市間の最短距離(大圏距離)です。実際の航空路は迂回することがあり、運賃計算にはその経路の距離が使われます
- 諸税の内訳は行き先で変わります。出国税や空港使用料は国ごとに違うので、1区間あたりの概算で計算しています
- 燃油サーチャージは発券した時期で決まります。いまは高い水準です。下がれば、表示された額より安くなります
使い道は、行程の見当をつけるところまでです。区分に収まりそうだとわかったら、公式の Book and Fly か、航空会社の予約センター、旅行代理店で正式な見積もりを取ってください。
よくある質問
世界一周航空券の距離は、どうやって数えるのですか?
出発地から順に、次の都市までの距離を足していきます。飛行機に乗った区間だけでなく、鉄道やバスで移動した区間も距離には加算されます。この合計が26,000・29,000・34,000・39,000マイルのどの区分に収まるかで、運賃が決まります。上限は39,000マイルです。
都市をたくさん回ると、料金は上がりますか?
距離の区分が変わらなければ、航空券代は上がりません。上がるのは諸税と燃油のほうで、こちらは降りる空港の数と、大陸をまたぐ回数で増えます。同じ大陸の中で都市を足すぶんには、どちらもほとんど増えません。
16区間を超えてしまいました。どうすればいいですか?
近い都市のあいだを、鉄道やバスに置き換えてください。地上を移動した区間は16という上限に数えません。パリとロンドン、東京と大阪のように鉄道が速い区間なら、時間も費用も節約になります。ただし距離には加算されるので、距離の区分が上がらないかは確認してください。
ロンドンを入れると高くなると聞きました。本当ですか?
ロンドンから飛び立つ場合に限って、イギリスの航空旅客税がかかります。2026年4月1日から長距離のビジネスクラス以上で1人244ポンド、日本円でおよそ5万円です。ヒースローで乗り継ぐだけなら課税されません。ロンドンに泊まるか通過するかで、この差が出ます。
世界一周のシミュレーションは、どこでできますか?
このページの計算機で、距離・地域数・運賃の区分・諸税の目安まで出せます。正式な見積もりは、スターアライアンス公式の Book and Fly、ワンワールド公式のツール、または旅行代理店で取ってください。検索では「シュミレーション」と入力されることも多いのですが、同じものを指しています。
ワンワールドの世界一周でも、この計算機は使えますか?
使えます。計算機の上にある切り替えでワンワールドを選ぶと、地域の数で料金を判定します。地域ごとの区間数の上限(北米6回・その他各4回)も見ています。ワンワールドの詳しい仕組みは、ワンワールド世界一周航空券2026にまとめています。
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