ビジネスクラスのマナー2026|はじめての搭乗で迷う場面を世界一周9区間の実体験で解説

Business Insider Japan に、『初めてファーストクラスに乗る人へのアドバイス』という記事が出ていました。

年に20万マイル飛ぶという旅行の専門家が答えたもので、いちばん最初に挙がっていたのが「ぜんぶ無料なのかを客室乗務員に尋ねてはいけない」でした。
料金に含まれているのだから、遠慮せずに贅沢をするのがマナーだ、という趣旨です。

遠慮しすぎる必要はありません。
でも、もとを取りにいくような乗り方をすると、せっかくのステキな時間が惜しくなります。

この記事では、ファーストクラスよりも手が届きやすいビジネスクラスを前提に、はじめての搭乗で迷いやすい場面をまとめました。
わたしが世界一周航空券で9区間続けて乗ったときの経験がもとになっています。

わたしが乗った9区間

2022年8月に発券し、2023年2月に出発しました。
ANAのマイルでとった、スターアライアンスの世界一周特典航空券です。
クラスはビジネスで、羽田を出て7都市を回り、羽田に戻りました。

項目 内容
発券/出発 2022年8月発券/2023年2月出発
券種 ANAマイルのスターアライアンス世界一周特典航空券(2025年6月23日に新規発券終了)
クラス ビジネス(全9区間)
行程 羽田 → フランクフルト → ウィーン → ブダペスト → ミュンヘン → パリ → ロンドン → ニューヨーク → ワシントンD.C. → 羽田
区間の内訳 大陸をまたぐ長距離が3本、ヨーロッパ域内が5本、アメリカ国内が1本
現金の支払い 諸税・燃油で約26万円(この行程・この時期の条件での金額。区間の組み方で大きく変わります)
ANA 777-300ERのビジネスクラス客室
ANA 777-300ERのビジネスクラス(従来のスタッガード配列)(写真:Wikimedia Commons / 衛兵隊衛士 / CC BY-SA 3.0)

「ぜんぶ無料ですか」と聞かなくていい理由

結論から書くと、聞かなくて大丈夫です。

ビジネスクラスの機内で提供されるものは、食事もアルコールもアメニティも、原則として運賃に含まれています。
追加料金がかかるものがある場合は、メニューやカタログにその旨が書かれています。機内販売の免税品や、一部の会社の有料Wi-Fiくらいだと思っておけば足ります。

ですから「これは無料ですか」とひとつずつ確認する必要はありません。飲みたいものを頼めばいいですし、おかわりも問題ありません。

ただ、もとを取りにいかないほうがいい

いっぽうで、機内でときどき見かけるのが、乗った瞬間から忙しそうな人です。
メニューを端から頼み、シャンパンをおかわりし、たくさん注文する。アメニティをもうひとつもらえないかと聞く。降りるときには、来たときより荷物が増えています。

気持ちはわかります。高い席です。長いあいだ貯めたマイルで、やっと乗れた席かもしれません。

ただ、シャンパン1杯いくら、食事いくら、アメニティいくら‥、と数えはじめた瞬間に、上等な席が金額の集まりに変わってしまいます。
お金では買えない時間を買ったはずなのに、お金の話に戻ってしまう。わたしはそこがもったいないと思っています。

遠慮はいりません。もとを取ろうとしなければいいだけです。

はじめての搭乗で迷いやすい8つの場面

実際に迷うのは、無料かどうかよりも、こまかい所作のほうです。よくある場面を並べます。

場面 こうすれば迷わない
搭乗のタイミング ビジネスクラスは優先搭乗の対象です。案内が出たら早めに乗ってしまうほうが、荷物も落ち着いて置けます
ウェルカムドリンク 出発前に配られたら、受け取っても断ってもかまいません。地上ではアルコールを出さない路線もあります
頭上の棚 自分の席の上のぶんだけ使います。空いているからと2区画に広げると、あとから乗る人の置き場がなくなります
靴とスリッパ スリッパが配られる長距離便では履き替えて大丈夫です。裸足のまま通路やトイレへ行くのは避けます
食事を断りたいとき 「今回は休みます」と伝えれば足ります。起きたら食べたい場合は、そのむね先に頼んでおくと取り置いてもらえることが多いです
トイレと通路 消灯後は静かに動きます。通路で立ち話をすると、フルフラットで寝ている席の真横になります
個室型の席のまわり 仕切りやドアは、見られないための設計です。写真を撮りに近づいたり、のぞき込んだりしないようにします
降りる順番 前の席から順に降ります。早く立ち上がっても順番は変わりません

並べてみると、どれも同じことを言っています。

自分の席のぶんだけ使う。
ビジネスクラスでのふるまいは、けっきょくこの一行に収まります。

十数時間、数十人が同じ部屋で過ごします。仕切りがあっても、気配は伝わります。
ひとりが多めに使えば、そのぶんだれかが使えません。それだけの話です。

写真を撮るとき

搭乗記を書く方も多いと思いますので、ひとつだけ。

自分の席まわりを撮るのは問題ありません。
気をつけたいのは、他の乗客が写り込む向きにレンズを向けることです。人のいない離陸前の時間帯に撮ってしまうのが、いちばん気楽です。

持ち帰っていいもの、置いていくもの

これも迷いやすいところです。おおまかな線引きは、袋に入って配られたものは持ち帰り、備品として置かれているものは残す、と考えるとわかりやすいです。

区分 おもなもの
持ち帰ってよいもの アメニティキット、スリッパ、アイマスク、歯ブラシ、耳栓、化粧品のサンプル
機内に残すもの ヘッドホン、毛布、マットレス、クッション、食器、グラス、機内の備品全般
会社によるもの パジャマ(ビジネスクラスでの提供がない会社・路線もあります)、機内誌
やめておきたいこと アメニティやスリッパの予備をもらい集める、未開封の品をまとめて持ち帰る

ヘッドホンは回収されます。降機のときに客室乗務員が集めますので、そのまま席に置いておけば大丈夫です。

予備をもらい集めるのをすすめないのは、規則の話というより、次に乗る人のぶんが減るからです。機内に積まれている数は決まっています。

ヨーロッパ域内のビジネスクラスは、別のものだと思ってください

期待の持ち方でいちばん差が出るのが、ここです。

わたしの9区間のうち、大陸をまたぐ長距離便は3本だけでした。
日本からヨーロッパ、大西洋を渡る便、太平洋を渡る便です。
残りの6本は、ヨーロッパ域内が5本と、アメリカ国内が1本でした。

ヨーロッパ域内のビジネスクラスに乗ったことのある方は、笑うと思います。
座席はうしろの列とおなじで、真ん中の席が空けてあるだけです。食事も軽いものが出て終わります。

区分 座席 食事とサービス
長距離の国際線 フルフラットの個室型が主流 コース仕立ての食事、寝具、アメニティ
ヨーロッパ域内 後方席と同じ座席で、中央席を空ける方式が多い 軽食かサンドイッチ程度。飲みものは選べます
アメリカ国内線 2-2配列のリクライニングシート 路線の長さで内容が変わります。短距離は飲みものだけのことも

でも、がっかりしたかというと、しませんでした。
域内の短い区間でわたしが受け取っていたのは、座席の豪華さではなく、手荷物が先に出てくることと、ラウンジで休めることと、乗り継ぎに余裕がもてることだったからです。

ここを取り違えると、「ビジネスクラスなのにこの程度か」という感想になります。区間の性格が違うだけです。

ビジネスクラスに払っているのは、翌朝の体

長距離便でも、わたしの過ごし方は決まっています。
美味しいいお食事とワインをいただきます。外の景色を眺めながら、リラックスしてフライトを楽しみます。

それが、ぜいたくな時間です。到着して、すぐに動ける身体で降りられます。

ビジネスクラスに払っているのは、そのためのお金だとわたしは思っています。

とくに世界一周のように区間がつづく旅では、ここが効きます。

はじめてビジネスクラスに乗る方には、こうお伝えしたいです。

「シャンパンは、おいしいと思ったぶんだけ飲んでください。あとは座席を倒して、寝てください。もとを取らなくて大丈夫です。その席に座ると決めた時点で、もう取れています」。

よくある質問

Q. ビジネスクラスで、追加料金がかかるものはありますか?

A. 食事・アルコール・アメニティは原則として運賃に含まれています。有料になるのは機内販売の免税品と、会社や路線によっては機内Wi-Fiくらいです。メニューに書かれていないものを心配する必要はありません。

Q. アメニティやスリッパは持ち帰ってもいいですか?

A. 袋に入って配られるアメニティキット、スリッパ、アイマスク、歯ブラシは持ち帰って問題ありません。ヘッドホン・毛布・マットレス・食器は機内の備品なので席に残します。予備をもらい集めるのは、次の便に乗る人のぶんが減るのでやめておくほうがいいです。

Q. 寝ているあいだの食事はどうなりますか?

A. 搭乗してすぐ「食事のときは起こしてください」あるいは「起きてから食べます」と伝えておけば、そのように対応してもらえることが多いです。何も言わずに寝ていると、起こさない配慮で通り過ぎることがあります。

Q. ヨーロッパ域内のビジネスクラスは、お金を出す価値がありますか?

A. 座席の広さを期待すると物足りません。後方席と同じ座席で中央席を空ける方式が主流だからです。価値があるのは、優先搭乗・手荷物の優先受取・ラウンジの利用で、乗り継ぎがつづく旅ほど効いてきます。世界一周航空券のように区間を重ねる旅では、わたしはここを買っていると思っています。

Q. 服装に決まりはありますか?

A. ドレスコードはありません。ふだんの服で大丈夫です。ただし機内は乾いて冷えるので、羽織るものが1枚あると眠りやすくなります。到着後すぐに予定がある場合は、しわになりにくい服を選んでおくと楽です。

この記事を書いた人
TE travel 編集部
TE travel は、Team Elite メンバーによる旅行記録サイトです。ANAダイヤモンド・マリオット チタンエリート・ヒルトン ダイヤモンドなど、各プログラムの上級ステータスを実際に取得・維持しながら、ファーストクラス・ビジネスクラス・ラグジュアリーホテルを体験した記録を発信しています。ポイント・マイルの使い方から、上級会員だけが知る現場の実感まで、数字では伝わらない情報をお届けします。