ANAが2026年8月28日、静岡空港で特別イベントを開くと発表しました。9月27日に「ANA航空教室」とグループ社員によるオーケストラの演奏会を実施するという内容です。ただ、この発表がもつ意味は、イベントの案内よりも、その前置きに書かれた一文のほうがずっと大きいものでした。静岡=札幌(新千歳)線と静岡=沖縄(那覇)線を、2026年9月30日をもって運休するというのです。

17年つづいた2路線が、9月30日で終わります
ANAが静岡空港に就航したのは2009年6月、空港の開港と同じ日でした。そのときに飛びはじめたのが、新千歳線と那覇線のふたつです。以来17年、この2路線はずっと静岡空港の顔でありつづけました。
プレスリリースにはこう書かれています。就航以来約17年にわたり多くのお客様に支えられ運航をつづけてきたが、2026年9月30日をもって両路線を運休する、と。運休の理由については触れられていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象路線 | 静岡=札幌(新千歳)/静岡=沖縄(那覇) |
| 最終運航日 | 2026年9月30日 |
| 就航時期 | 2009年6月(静岡空港の開港と同時) |
| 運航会社 | ANAウイングス |
| 使用機材 | ボーイング737-800 |
| 発表日 | 2026年8月28日(第26-056号) |
静岡空港に乗り入れているANA便は、この2路線だけです。つまり9月30日をもって、静岡空港からANAの国内線が消えることになります。撤退、ということばを使っていいと思います。
静岡から沖縄へ、直行便がなくなります
新千歳線と那覇線では、失われるものの重さが違います。
新千歳線には、フジドリームエアラインズ(FDA)の便が毎日飛んでいます。ANAが抜けても、静岡から札幌へは直行できます。便数は減りますが、路線そのものは残ります。
いっぽう那覇線は、静岡空港でANAだけが飛ばしていた路線です。ここが抜けると、静岡から沖縄への直行便はなくなります。静岡県内から沖縄へ向かう人は、10月以降、羽田・中部・関西のいずれかまで陸路で出て乗り継ぐか、静岡から新千歳・福岡といった路線をいったん経由するかたちを探すことになります。実質的には、東海道新幹線で東京か名古屋へ出る選択が現実的でしょう。

10月以降、静岡空港に残る国内線
ANAが抜けたあとの静岡空港の国内線は、FDAが支えるかたちになります。現時点で公表されている就航状況をまとめました。
| 路線 | 航空会社 | 10月以降 |
|---|---|---|
| 札幌(新千歳) | ANA・FDA | FDAのみ残る |
| 沖縄(那覇) | ANAのみ | 直行便なし |
| 札幌(丘珠) | FDA | 夏ダイヤ期間の運航 |
| 福岡 | FDA | 毎日運航 |
| 鹿児島 | FDA | 毎日運航 |
| 出雲 | FDA | 期間運航 |
| 熊本 | FDA | 期間運航 |
運航ダイヤは予告なく変わることがあります。ご旅行の前には、各社の公式サイトで最新の運航情報をご確認ください。
最終日まで乗るなら、この時刻です
9月30日までの運航ダイヤは、2路線それぞれ1日1往復です。乗っておきたいという人のために、現行の時刻をまとめました。
| 便名 | 区間 | 出発 | 到着 |
|---|---|---|---|
| NH1262 | 新千歳 → 静岡 | 10:05 | 11:55 |
| NH1264 | 那覇 → 静岡 | 11:10 | 13:30 |
| NH1263 | 静岡 → 那覇 | 12:40 | 15:05 |
| NH1261 | 静岡 → 新千歳 | 14:10 | 15:55 |
この並びを見ると、おもしろいことに気づきます。那覇からの到着が13:30で、新千歳への出発が14:10。静岡で40分待てば、沖縄から北海道までを1日でつなげます。逆まわりも、新千歳11:55着から那覇12:40発まで45分。日本を縦断する乗り継ぎが、静岡というひとつの地方空港で成立していたわけです。
ターミナルが小さいので、乗り継ぎの移動距離も知れています。マイルを積む目的で乗る人にとっては、羽田や伊丹の混雑とは無縁の、静かで確実な乗り継ぎ地点でした。それが9月30日でなくなります。

9月27日、静岡空港でお別れのイベント
今回のプレスリリースの本題は、こちらのイベントです。運休の3日前にあたる9月27日、静岡空港でふたつの催しがおこなわれます。
ANA航空教室
- 日時:2026年9月27日(日)13:00〜15:45(受付12:30)
- 場所:静岡空港
- 対象:小学4年生〜6年生と保護者1名、15組30名
- 参加費:無料
- 内容:制限区域での実機見学と、ANAウイングス所属の運航乗務員・客室乗務員による航空教室
- 応募期間:8月28日14:00〜9月9日23:59(抽選・当選通知は9月10日ごろ)
那覇からのNH1264と、新千歳へ向かうNH1261の離発着に合わせて、制限区域から実機を見学できる構成になっています。最後の2便を、いちばん近くで見送るプログラムということです。制限区域に入るため、参加者全員が身分証明書を提示する必要があります。
ANA Team HND Orchestra 演奏会
- 日時:2026年9月27日(日)18:30開演
- 場所:静岡空港 2階 出発ロビー
- 観覧費:無料
- 着席:80席・事前応募制(応募多数の場合は静岡県在住の方を優先)
- 立ち見:応募不要、当日自由に観覧できます
ANA Team HND Orchestraは、運航乗務員・客室乗務員・整備士といったANAグループの社員有志によるオーケストラバンドです。通称は羽オケ。17年のフィナーレを音楽で締めくくる、という趣旨の演奏会になります。着席は抽選ですが、立ち見なら申し込みなしで聴けます。
この運休が示していること
静岡空港からの撤退は、単独のできごととして見ないほうが読み解きやすいと思います。ANAは2026年度下期の事業計画で、伊丹=札幌・函館・沖縄線を10月25日から増便するいっぽうで、需要の見込みにくい区間からは資源を引き上げる姿勢を明確にしています。羽田=岡山線では日本航空とダイヤを調整するという、以前なら考えにくい手も打ちました。
限られた機材と乗務員を、収益の見込める路線へ寄せていく。その配分のなかで、1日1往復ずつの地方路線が2本、こぼれたということでしょう。静岡空港には東海道新幹線という強力な代替手段が近くにあり、静岡県内から羽田・中部へのアクセスも悪くありません。地方空港のなかでは、代替のききやすい立地です。
ただ、那覇線だけは代替がききません。静岡から沖縄へまっすぐ飛べる手段が、17年ぶりに消えます。数字のうえでは小さな2路線ですが、静岡県の人にとっては、南の島がひとつ遠くなる話です。
まとめ
ANAの静岡=札幌(新千歳)線と静岡=沖縄(那覇)線は、2026年9月30日で運休します。2009年の静岡空港開港と同時に就航して17年、静岡空港からANA便が姿を消すことになります。
新千歳線はFDAが引きつづき毎日飛ばしますが、那覇線は静岡唯一の沖縄直行便でした。10月以降は、羽田・中部・関西へ出ての乗り継ぎになります。
9月27日には、静岡空港で航空教室とANA Team HND Orchestraの演奏会が開かれます。どちらも無料で、演奏会の立ち見エリアは申し込みなしで観覧できます。乗り納めを考えている人は、この週末に合わせるのもひとつの選択です。
イベントの応募方法や運休の詳細は、ANA公式のプレスリリースおよびANAウェブサイトでご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. ANAの静岡路線はいつまで乗れますか?
A. 静岡=札幌(新千歳)線と静岡=沖縄(那覇)線は、2026年9月30日が最終運航日です。10月1日以降、静岡空港に乗り入れるANA便はなくなります。
Q. 10月以降、静岡から沖縄へ行くにはどうすればいいですか?
A. 直行便はなくなります。東海道新幹線などで羽田・中部・関西のいずれかまで出て、そこから那覇便に乗り継ぐかたちが現実的です。静岡空港発の便で乗り継ぐ場合も、いったん福岡などを経由することになります。
Q. 静岡=新千歳線も飛ばなくなるのですか?
A. ANA便は運休しますが、フジドリームエアラインズ(FDA)が毎日運航しています。静岡から札幌への直行便自体は残ります。
Q. 9月27日のイベントは誰でも参加できますか?
A. 航空教室は小学4年生から6年生と保護者1名が対象で、15組30名の抽選です。演奏会の着席80席も事前応募の抽選になります。ただし演奏会の立ち見エリアは申し込み不要で、当日どなたでも観覧できます。応募期間はどちらも8月28日14:00から9月9日23:59までです。
Q. 運休の理由は発表されていますか?
A. プレスリリースに理由の記載はありません。ANAは2026年度下期の事業計画で、伊丹=札幌・函館・沖縄線の増便など需要の見込める路線へ資源を寄せる方針を示しており、そのなかでの判断と見られます。
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