ANA羽田〜ワシントンD.C.線が就航40周年——日本で唯一の米首都直行便、いまの機材・時刻・座席を整理【2026年7月】

離陸するANA ボーイング787-8型機

ANAの東京〜ワシントンD.C.線が、2026年7月26日で就航40周年をむかえました。羽田空港では記念のセレモニーがひらかれ、当日のワシントン・ダレス行きNH102便に乗る176名の乗客に、搭乗証明書やフライトタグ、ステッカーが手わたされています。

わたしはこの路線を、ANAの国際線のなかでもとくに性格がはっきりした一本だと思っています。観光需要で埋まる路線ではありません。官公庁・研究機関・国際機関・シンクタンクといった、ワシントンD.C.という街の仕事に用がある人が乗る便です。派手さはないけれど、40年間つづいてきたことにきちんと意味がある。今回はその歴史と、いま実際に乗るとどうなのかを、あわせて整理しておきます。

40周年の記念便はNH102便だった

記念便となったのは、2026年7月26日の羽田発ワシントン・ダレス行きNH102便です。機材はボーイング787-8型機(登録記号JA805A)。乗客176名、乗務員11名(パイロット3名・客室乗務員8名)を乗せて、羽田空港第3ターミナルの108番ゲートを10時17分に出発し、10時36分にC滑走路(16L)から飛び立ちました。

ゲートまわりの装飾は、1986年の就航式典のデザインを再現したものでした。108Aゲート付近には日米の国旗と40周年のメッセージをあしらったアーチが設置され、パイロット・客室乗務員・整備士・地上係員といった各部門のスタッフが集まっています。ANAの公式キャラクター「そらっち」も登場し、外国人旅客との写真撮影に応じていました。出発前にはゲートで40年の歩みに触れる特別アナウンスがおこなわれ、地上のスタッフが横断幕をかかげて機体を見送っています。

羽田空港第3ターミナルのゲート周辺
羽田空港第3ターミナルのゲート周辺(写真:Wikimedia Commons / Arne Müseler / CC BY-SA 3.0 de)

こうした記念イベントは、搭乗する側からするとうれしい偶然です。ただ、あらかじめ日付がわかっていれば狙って乗ることもできます。就航記念日は路線ごとに決まっているので、覚えておくと使えます。

1986年7月26日、ANAの国際線3路線目としてはじまった

東京〜ワシントンD.C.線が開設されたのは1986年7月26日。成田発着で、週3便の運航でした。使われたのは、米国本土への直行運航のために導入されたボーイング747-200B型機です。

この年は、ANAが国際線定期便に踏み出した年でした。3月3日の成田〜グアム線(NH11)が第1号で、7月16日に成田〜ロサンゼルス線、そしてその10日後にワシントンD.C.線が就航しています。つまり2026年は、ANAにとって「国際線40周年イヤー」でした。その締めくくりがワシントン線だったことになります。

就航日 路線 位置づけ
1986年3月3日 成田〜グアム ANA国際線定期便の第1号(NH11)
1986年7月16日 成田〜ロサンゼルス 米国本土への初便
1986年7月26日 成田〜ワシントンD.C. 国際線3路線目。日本の航空会社初の首都間直行便

NH1とNH2を冠していた路線

就航当時、この路線には特別な便名が与えられていました。成田発ワシントン行きがNH2、ワシントン発成田行きがNH1です。

航空会社にとって、1番と2番という便名は看板です。それをグアム線でもロサンゼルス線でもなく、ワシントンD.C.線に与えた。ここに当時のANAの意思がはっきり出ています。日本の首都と米国の首都を、日本の航空会社が直接むすぶ。その意味を、社内でも社外でもいちばん見えるかたちで示したかったのだと思います。

日本航空がワシントンD.C.線を開設したのは1991年3月30日で、ANAはそれより5年早く飛んでいました。そして現在、日本の航空会社で米国の首都へ直行便を飛ばしているのはANAだけです。40年たっても、この路線の立ち位置は変わっていません。

成田から羽田へ、コロナ禍をはさんだ往復

この路線は、発着空港が何度か動いています。

  • 1986年〜:成田空港発着で運航
  • 2020年3月:羽田空港の昼間時間帯の発着枠が拡大したのにあわせて羽田へ移管
  • コロナ禍:需要の急減により、一時的に成田発着へ戻る
  • 2023年3月:ふたたび羽田発着に

羽田発着というのは、この路線にとってかなり大きな意味をもちます。ワシントンD.C.に用がある人の多くは、都心での予定とセットで動きます。そこに成田までの往復が加わるかどうかで、旅程の組みやすさがまったく変わってきます。羽田に戻ったことで、この路線は本来の使われ方に近づいたといえます。

いまの羽田〜ワシントン・ダレス線

現在の運航は、羽田発がNH102便、ワシントン・ダレス発がNH101便です。機材はボーイング787-8型機で、毎日1往復。座席数は184席の仕様です。

項目 内容
便名 NH102(羽田発)/NH101(ダレス発)
羽田発の時刻 10時20分発 → ワシントン・ダレス10時05分着(現地時間)
所要時間 約12時間45分(羽田発)
機材 ボーイング787-8型機(184席仕様)
運航頻度 毎日1往復
共同運航 ユナイテッド航空・シンガポール航空・タイ国際航空などとコードシェア

羽田を午前に出て、同じ日の午前にワシントンに着く。時差の関係でこういう見え方になります。到着後にそのまま半日つかえるので、出張の一日目をむだにしません。ワシントンD.C.線が羽田発着にこだわる理由が、この時刻表によく出ています。

ただし時刻は季節や運航計画によって変わります。予約の前には、かならずANA公式の時刻表で最新のダイヤを確認してください。

座席は「THE Room」ではない。787-8のビジネスクラスの実際

この路線を予約するうえで、いちばん知っておいてほしいのがここです。

ANAの国際線ビジネスクラスというと、個室型の「THE Room」を思いうかべる方が多いと思います。ただ、THE Roomが載っているのはボーイング777-300ER型機です。ワシントン線に使われている787-8型機のビジネスクラスは、スタッガード配列のフルフラットシートになります。ドア付きの個室ではありません。

ANA B787-8型機のビジネスクラス客室
ANA B787-8型機のビジネスクラス客室(写真:Wikimedia Commons / Kentaro Iemoto from Tokyo, Japan / CC BY-SA 2.0)

これは優劣の話ではなく、期待値の話です。787-8のスタッガードシートも、きちんと水平になるフルフラットで、長距離をこなすには十分な設備です。窓側の席を選べば通路に出るのに人をまたぐ必要もありません。ただ「THE Roomに乗るつもりで予約したら違った」となると、13時間近いフライトのあいだ、ずっと引っかかってしまいます。先に知っておくだけで、体験の満足度は変わります。

なお、新型のビジネスクラス「THE Room FX」は2026年8月以降に受領する787-9型機から導入がはじまります。将来的に長距離国際線へ広がっていく見こみですが、現時点でワシントン線に入るという発表はありません。予約する機材がどのシートなのかは、その都度たしかめるのが確実です。確認のしかたは、下の関連記事にまとめてあります。

ワシントン・ダレス空港での乗り継ぎ

ワシントン・ダレス国際空港(IAD)は、スターアライアンスの一員であるユナイテッド航空の主要拠点です。ここから米国内の各都市へ、乗り継ぎの選択肢がひろくとれます。

ニューヨークやボストンといった東海岸の都市はもちろん、南部や中西部の中規模都市へも、ダレス経由なら1回の乗り継ぎで届くところが多い。ロサンゼルスやサンフランシスコを経由すると大陸を横断することになるので、東側に用がある人にとってダレス経由は素直なルートです。

ANAのビジネスクラス利用者やスターアライアンス・ゴールドの資格をもつ人は、ダレス空港でユナイテッドクラブなどのラウンジが利用できます。乗り継ぎ時間が長くなりがちな空港なので、ラウンジが使えるかどうかで疲れ方がかなり違ってきます。

40年つづいた路線が教えてくれること

路線というのは、開設するより維持するほうがずっとむずかしい。景気も、政治も、感染症も、そのときどきで需要をゆさぶります。実際この路線も、コロナ禍では空港を移してしのいでいます。

それでも40年つづいた。理由ははっきりしていて、この路線には代わりがないからです。日本と米国の首都をむすぶ直行便を飛ばしている日本の航空会社は、ANAしかありません。観光客の増減に左右されにくく、仕事で行く人が確実にいる。派手ではないけれど、強い路線です。

1986年にNH1とNH2という看板の便名を与えたANAの判断は、40年たっていま見ても、まちがっていなかったのだと思います。

よくある質問(FAQ)

ANAの東京〜ワシントンD.C.線はいつ就航しましたか?

1986年7月26日です。成田空港発着・週3便でスタートし、機材はボーイング747-200B型機でした。ANAにとって、グアム線・ロサンゼルス線につづく国際線3路線目でした。

いまの羽田〜ワシントン線はどの機材で運航していますか?

ボーイング787-8型機です。184席仕様で、毎日1往復運航しています。羽田発がNH102便、ワシントン・ダレス発がNH101便です。

この路線のビジネスクラスは「THE Room」ですか?

いいえ。THE Roomはボーイング777-300ER型機に搭載されているシートです。ワシントン線の787-8型機は、スタッガード配列のフルフラットシートになります。ドア付きの個室ではありませんが、水平になるフルフラットです。

日本からワシントンD.C.へ直行便を飛ばしている航空会社はほかにありますか?

日本の航空会社で米国の首都へ直行便を運航しているのはANAだけです。日本航空は1991年3月30日にワシントン線を開設しましたが、現在は運航していません。

羽田発は何時に出発して、何時に到着しますか?

NH102便は羽田を10時20分に出発し、ワシントン・ダレス国際空港に現地時間10時05分に到着します。所要は約12時間45分です。時刻は季節や運航計画で変わるため、予約前にANA公式サイトで最新のダイヤをご確認ください。

まとめ

ANAの東京〜ワシントンD.C.線は、2026年7月26日で就航40周年をむかえました。1986年にNH1とNH2という看板の便名を与えられて成田からはじまり、羽田へ移り、コロナ禍で成田に戻り、2023年にふたたび羽田へ。40年のあいだに空港も機材も変わりましたが、日本の航空会社で唯一の米首都直行便という立ち位置は変わっていません。

乗るときに気をつけたいのは、機材が787-8型機で、ビジネスクラスはTHE Roomではないという点です。そこさえ押さえておけば、羽田を午前に出て同じ日の午前にワシントンへ着ける、使い勝手のいい一本です。最新の運航ダイヤや機材・座席の情報は、ANA公式サイトの国際線 運航路線のご案内でご確認いただけます。

この記事を書いた人
TE travel 編集部
TE travel は、Team Elite メンバーによる旅行記録サイトです。ANAダイヤモンド・マリオット チタンエリート・ヒルトン ダイヤモンドなど、各プログラムの上級ステータスを実際に取得・維持しながら、ファーストクラス・ビジネスクラス・ラグジュアリーホテルを体験した記録を発信しています。ポイント・マイルの使い方から、上級会員だけが知る現場の実感まで、数字では伝わらない情報をお届けします。