バリへの旅行でビジネスクラスを選ぶとき、最終的に「ANAの直行便」か「シンガポール航空の乗継便」かという選択に行き着く旅行者が多い。どちらも日本からバリに向かう際の実質的な2大選択肢だ。
今回の旅ではANA往路・シンガポール航空復路という形で両方を体験した。それぞれの良さと特性を、実際に乗った人間の目線で正直に比較する。
総合比較表
| 比較軸 | ANA ビジネスクラス(直行) | シンガポール航空ビジネスクラス(乗継) |
|---|---|---|
| ルート | 成田/羽田 → デンパサール(直行) | 成田 → シンガポール → デンパサール |
| 総移動時間 | 約7時間 | 約12〜14時間(乗継含む) |
| 機材(成田発) | ボーイング777/787 | A380/ボーイング777 |
| ビジネスシート | ANA THE Room(完全個室・ドア付き) | スクラルーン(半個室) |
| シート幅 | 約66cm | 約71cm(SQのほうが広い) |
| シャンパン | 国産スパークリング等 | クリュッグ グランド・キュヴェ |
| 機内食 | 和食が特に優秀。事前リクエスト可 | Book the Cookで高級レストラン水準 |
| ラウンジ(出発地) | 成田ANAラウンジ(充実) | 成田シルバークリスラウンジ |
| 乗継ラウンジ | なし(直行) | チャンギ空港シルバークリス(世界最高水準) |
| ANAマイル(片道目安) | 約38,000マイル | KrisFlyerを使用(ANAマイルとは別) |
| 体の疲労感(到着後) | 非常に少ない | 乗継があるが少ない(SQの快適さによる) |
「直行vs乗継」——どちらを選ぶべきか
これは「旅の効率を最大化したいか」「旅のプロセスを楽しみたいか」という価値観の問題だ。
直行便のANAは明快に優れている。7時間でバリに着き、到着後すぐにリゾートに向かえる。ANA THE Roomは完全個室で誰にも邪魔されない7時間を提供する。成田ラウンジとビジネスクラスのサービスは十分に高品質だ。
一方でシンガポール航空の乗継ルートは「旅そのものの豊かさ」が違う。クリュッグのシャンパンを飲みながらA380のスクラルーンで過ごす時間、チャンギ空港のシルバークリス・ラウンジでの食事とシャワー、シンガポール〜バリの短距離便の景色——これらがひとつの旅行体験として完成する。
シートの快適さ:ANA THE Room vs スクラルーン
単純な「個室感」ではANA THE Roomが優れている。ドアを閉めると完全に外と遮断されたプライベート空間になり、隣の乗客を意識しなくて済む。
シート幅はスクラルーンのほうが若干広く、肩幅のある人には余裕が感じられるかもしれない。ANA THE Roomはドアのある分、シート周辺の設計がやや複雑だが、慣れれば快適に使える。
フルフラット時の快適さはほぼ同等だ。どちらも成人男性(175cm程度)が足を伸ばして眠れる全長を持つ。マットレスのクオリティはANA THE Roomのほうが若干厚みがあった印象だ。
機内食の質:和食の優秀さ vs Book the Cook
ANAの機内食は「和食の質」が特に高い評価を受けている。西京漬け・炊き込みご飯・茶碗蒸しというような和食の構成は機内食とは思えない品質で、日本人旅行者には安心感と満足感がある。
シンガポール航空のBook the Cook制度は事前に予約することで本格的なコース料理が提供される。今回注文した和牛グリルは肉のクオリティが非常に高く、「飛行機でこれが食べられるのか」という驚きがあった。事前予約不要の標準機内食もSQ水準を保っているが、Book the Cookとは差がある。
総じて「食事体験」で選ぶならシンガポール航空、「日本食の安心感」で選ぶならANAだ。
ラウンジ体験:2つのラウンジ vs チャンギのシルバークリス
ラウンジの体験はシンガポール航空に軍配が上がる。
ANAは成田のANAラウンジ(ビジネスクラス向け)が充実しており、食事・アルコール・シャワーが利用できる。ただしチャンギ空港のシルバークリス・ラウンジと比較すると規模感と食事の充実度で差がある。
シンガポール航空は成田出発時にも同ラウンジを利用でき、チャンギ乗継ではシルバークリス・ラウンジという世界最高水準の空港ラウンジを体験できる。バフェットの食事内容、シャワールームの広さ、空港施設との連携——これらのトータルでチャンギのほうが格段に上だ。
コスト(マイル)の比較
| 経路 | 使用マイル種 | 片道目安 |
|---|---|---|
| ANA直行 ビジネスクラス | ANAマイル | 約38,000マイル |
| SQ成田〜シンガポール ビジネスクラス | KrisFlyer マイル | 約43,000〜55,000マイル(シーズン変動) |
| ガルーダインドネシア 直行 ビジネスクラス | GarudaMiles/スカイマイル等 | パートナー経由で変動 |
ANAマイルを多く保有している日本のマイラーにとっては、ANAの直行ビジネスクラスが最もシンプルで使いやすい選択肢だ。KrisFlyerマイルを持っていない場合、シンガポール航空の特典航空券は使いにくい。
どちらを選ぶべきか:3つの判断基準
「時間」「体験の深さ」「保有マイルの種類」の3点で判断すると選択が明快になる。
時間を最重視するなら迷わずANA直行便だ。7時間でバリに着き、最速でリゾートを楽しめる。ビジネスパーソンが日程を短く組む際には直行便一択になる。
旅のプロセス全体を体験として楽しみたいなら、シンガポール航空経由がよい。チャンギ空港の体験込みで「旅行をしている」という感覚が強い。時間の余裕がある場合や、シンガポールに別途興味がある場合に特にフィットする。
ANAマイルしか持っていないなら、ANAの直行ビジネスクラスが最もシンプルな選択になる。
よくある質問
ANAとシンガポール航空のビジネスクラス、どちらが総合的に上ですか?
一概にどちらが上とは言えません。ANAは完全個室とスムーズな直行便が強みで、シンガポール航空はシャンパン・食事・チャンギラウンジの体験値が高いです。旅行スタイルと保有マイルに合わせて選ぶのが最善です。
シンガポール経由でバリへ行く場合、シンガポールに宿泊できますか?
乗継ではなくオープンジョーやストップオーバーを組めば、シンガポール滞在を旅程に組み込めます。シンガポール航空の特典航空券ではストップオーバー(途中降機)が可能な場合があります。旅程の柔軟性がある場合は検討の価値があります。
ANA THE Roomはすべての成田〜バリ便に搭載されていますか?
いいえ。B777-300ER機材に搭載されており、B787使用便は異なるシートになります。予約時に機材・シートマップを確認することをすすめます。
シンガポール航空ビジネスクラスのBook the Cookの価格は?
追加費用はかかりません。ビジネスクラスの機内食の一部として提供されます。ただし事前予約が必要で、搭乗24時間前が締め切りです。
どちらのビジネスクラスが睡眠しやすいですか?
どちらもフルフラットで十分な睡眠が取れます。ANA THE Roomはドアを閉めると完全な静寂が得られるため、光や音に敏感な人にはANAが向いているかもしれません。スクラルーンは若干外の音が聞こえますが、ノイズキャンセリングヘッドホンで問題ないレベルです。
この記事に関連するガイド
公式サイト・参考リンク
TE travel 

