ANA、国内線ボーイング777-300を2027年3月までに退役|B787-10へ世代交代、514席の名機が28年の歴史に幕

ANAが国内線で運航してきたボーイング777-300(残り3機)を、2026年度末——つまり2027年3月31日までにすべて退役させることが、英Flightglobalなど業界専門メディアの報道で確認されました。1998年から国内線高需要路線の主力として飛びつづけてきた、いわゆる「国内ワイドボディ」の最後の3機です。

羽田を起点に福岡・那覇・新千歳・伊丹・関西などの基幹路線を支え、514席の2クラス構成で大量輸送を担ってきたこの機材が、ついに姿を消します。代替はボーイング787-10。座席数は429席に減るかわり、燃費・環境性能・整備コストで大きな改善が期待されています。

teamelite ではこれまで ANA機材完全ガイド2026ボーイング787ドリームライナー完全解説ボーイングとエアバスの違い などで、機材まわりの解説を積み上げてきました。今回は「いま動いている世代交代」を整理します。

退役する3機の正体——1998年デビュー、28年戦った国内線の主力

退役対象は、ANAが現在国内線で運航している777-300(777-300ERではなく、無印の777-300)の最後の3機。いずれも1998年から1999年にかけて受領した機材で、機齢は28年に達しています。

もともとANAは国内線用に複数機の777-300を運用してきました。羽田=福岡・羽田=那覇・羽田=伊丹・羽田=新千歳など、需要の高い路線で「ジャンボの後継」として大量輸送を担ってきた歴史があります。

2010年代後半から段階的に退役が進み、いよいよ最後の3機が2026年度末で運用終了。ANA国内線から「無印の777-300」が姿を消します。

ANA 777-300(国内線仕様)の主要スペック

項目 スペック
機種 ボーイング 777-300(777-381)
受領時期 1998年〜1999年(残存3機)
座席数 514席(プレミアムクラス+普通席の2クラス)
エンジン プラット・アンド・ホイットニー PW4090
運航形態 国内線高需要路線(ハイデンシティ仕様)
退役予定 2026年度末(〜2027年3月31日)

主な運航路線——羽田を起点とした「ジャンボ後継」の系譜

無印777-300は、もともとボーイング747-400(クラシックジャンボ)の後継として国内線高需要路線に投入された機材です。ジャンボに比べて燃費が大幅に改善され、双発機なのに大量輸送ができる、というのが当時のセールスポイントでした。

2026年現在、最後の3機は主に以下の路線で運航されています(運航スケジュールは便ごとに変動します)。

  • 羽田=福岡
  • 羽田=那覇
  • 羽田=新千歳
  • 羽田=伊丹
  • 繁忙期の臨時便・チャーター

いずれも需要の集中する基幹路線です。同じ路線にはB787-9・B787-10が共通で投入されているケースも多く、「予約してから当日にどの機材が来るかわかる」というのが現状。退役までの1年弱、あえてこの3機に乗りに行くプランも、マニアにとっては成立します。

代替機ボーイング787-10——15%の座席減で何が変わるのか

退役する777-300の代わりに投入されるのは、ボーイング787-10です。同じワイドボディながら、エンジンは双発のままで、サイズは一回りコンパクトになります。

項目 777-300(退役) 787-10(代替)
座席数(国内線) 514席 429席
機体長 73.9m 68.3m
主翼幅 60.9m 60.1m
客室素材 アルミ合金 炭素繊維複合材(CFRP)
客室気圧 標高2,400m相当 標高1,800m相当
客室湿度 5〜10% 15〜20%
燃費 基準 約20%改善

注目したいのは座席数の減り方です。1便あたり85席が減るので、需要のいちばん厚い時間帯では「枠が足りなくなる」可能性があります。ANAは787-10だけでなく、737 MAX 8など中型機の便数を増やす運用で穴を埋めにいく見通しです。

乗客の体感が変わるのは、客室環境のほう。気圧と湿度の改善は、長距離フライトほど効きますが、国内線3〜4時間でも疲労感のちがいを感じる人がいます。787の快適性については ボーイング787ドリームライナー完全解説 で詳しく書きました。

国際線の777-300ERは残る——THE Suite・THE Roomの行方

ここで誤解しやすいのが「777-300」と「777-300ER」の違いです。ANAが今回退役させるのは、無印の777-300(国内線・短距離高需要仕様)。一方で、長距離国際線で投入されている777-300ERは、しばらく現役で残ります。

777-300ERは、ANAのフラッグシップ機材。ファーストクラス「THE Suite」、ビジネスクラス「THE Room」を搭載しているのもこの機材です。羽田=ロンドン、羽田=ニューヨーク、羽田=ロサンゼルスなど、北米・欧州の長距離路線で主役を務めています。

2026年8月から受領が始まる新787-9に搭載される「THE Room FX」(クリスタル・キャビン・アワード受賞)は、777-300ERのTHE Roomを進化させた次世代シート。ということは、777-300ERは「現役の主力」でありつつ、長期的には787-9(FX搭載機)へバトンを渡していく流れにあります。

ただし、この退役は2030年代半ばまでにじわじわ進む話。今回の発表(2027年3月までの退役)はあくまで「国内線の無印777-300」だけ、というのは押さえておきたいポイントです。

マイラー・SFC会員にとっての意味

SFC会員・ダイヤモンド会員の方にとって、国内線で777-300の機材狙いをしていた人は、選択肢が縮んでいきます。プレミアムクラスの座席は777-300・787-10・787-9・A321neo・737-800/MAX 8など複数機材で運用されていますが、機材ごとにシートの世代が違います。

ANA国内線プレミアムクラスは2026年度から最新シートへの刷新が進んでおり、新しい機材ほど座席そのものが新世代になる流れ。マイラー目線では、「乗ってみたい機材」の候補に、退役間近の777-300が残るのはあと1年です。

SFC修行や搭乗実績をつくる目的で乗っているなら、機材はそこまで気にしないと思いますが、機材体験そのものが目的の人は、2026年度のうちに「最後の777-300」フライトを組んでおきたいところです。SFC関連の記事は SFC LITE・SFC PLUSの特典を完全比較 などにまとめてあります。

ひと足先に退役したJALとの比較

同様の動きをJAL(日本航空)はすでに済ませています。JALは国内線用ボーイング777-300(500席仕様)を2021年3月に退役済み。新型コロナの需要急減を機に、後継のエアバスA350-900に置き換える形で前倒しした経緯があります。

項目 JAL ANA
国内線777-300 退役時期 2021年3月(完了) 2027年3月(予定)
代替機 エアバス A350-900 ボーイング 787-10
代替機の座席数 391席 429席
移行の動機 コロナ需要減を契機に前倒し 機齢更新と燃費効率化

結果として、2027年3月以降の日本の国内線ワイドボディは、JAL=A350-900、ANA=B787-10という構図になります。「ボーイングのワイドボディはANA、エアバスのワイドボディはJAL」と、ある意味でわかりやすい棲み分けです。ANA vs JAL 徹底比較 もあわせてどうぞ。

いま乗っておくべき路線——退役までに体験したい3つの瞬間

退役までは、機材の体験そのものが目的の旅行になります。最後に乗っておきたい場面を3つ挙げます。

  • 羽田=福岡:所要時間2時間弱、もっとも777-300が運用されやすい路線のひとつ。早朝便・夜便の両方で運航実績があります。
  • 羽田=那覇:3時間弱の長めの国内線。プレミアムクラスのお食事サービスが楽しめる時間帯の便に当たれば、なおうれしい。
  • 羽田=新千歳:1時間半の短距離だけど、北海道路線らしい広い客室と離発着のダイナミックさを味わえる。

運航機材は当日まで確定しないことが多いので、ANA公式サイトで「機材:B777-300」「B777」と表示される便を確認してから予約するのがおすすめです。スケジュール直前に機材変更されることもあるので、運に頼る部分は残ります。

世代交代の意味——「大きさ」から「効率」へ

1998年に777-300が国内線に投入された時代、空のキーワードは「大量輸送」でした。1便でできるだけ多くの旅客を運ぶことが、ジャンボ後継機の使命だった。

2026年現在、優先順位は「燃費・整備コスト・環境性能」に変わっています。地上の空港側のスロットがひっ迫しているとはいえ、需給のミスマッチを許容しつつ、機材ごとのコスト効率を最大化する方向にシフトしている。787-10への置き換えは、その流れのうえにあります。

サイズが小さくなる分、便数を増やす対応もはじまっています。2026年8月からの新787-9受領、2026年6月からの737 MAX 8導入と組み合わせて、需給の穴を埋めにいく構えです。新787-9とTHE Room FX もあわせてチェックしてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 退役するのはANAのすべての777-300ですか?

A1. いいえ、退役するのは国内線で運航している無印の「777-300」(最後の3機)のみです。長距離国際線で運航されている777-300ER(THE Suite・THE Room搭載機)は、しばらく現役で残ります。

Q2. 777-300の最終運航はいつまでですか?

A2. ANAは2026年度末(2027年3月31日)までにすべて退役させる予定です。それまでに運航スケジュールから順次外れていくため、機材を狙って乗る場合は2026年度のあいだに搭乗するのが現実的です。

Q3. 代替機のボーイング787-10で何が変わりますか?

A3. 座席数は514席から429席へと約17%減りますが、燃費は約20%改善し、客室の気圧・湿度・空気環境が大きく向上します。同じ国内線でも、フライト後の疲労感に違いを感じる旅行者が多い機材です。

Q4. THE Suite・THE Roomは退役の影響を受けますか?

A4. 影響しません。THE Suite(ファーストクラス)・THE Room(ビジネスクラス)を搭載しているのは「777-300ER」(国際線長距離仕様)であり、今回退役する国内線「777-300」とは別の機材です。長期的には2026年8月から受領される新787-9(THE Room FX搭載)への置き換えが進みますが、それは別の動きです。

Q5. JALはすでに国内線777-300を退役していますか?

A5. はい、JALは2021年3月に国内線ボーイング777-300の退役を完了しています。代替機はエアバスA350-900です。ANAの今回の動きは、JALより約6年遅れての世代交代となります。

まとめ——28年の国内線ワイドボディ時代がいったん終わる

1998年から国内線基幹路線を支えてきたANAボーイング777-300が、2027年3月末までにすべて退役します。代替はボーイング787-10。座席数は減り、便数は増え、客室環境はかわる。マイル目線でも、機材体験目線でも、いまから1年弱が「無印777-300に乗れる最後の期間」になります。

機材スケジュールはANA公式の 予約・空席照会画面 で「機材」を確認できます。退役直前の駆け込み搭乗を計画する人は、ぜひANAの最新運航スケジュールも併用しながら、最後の777-300フライトをみつけてください。

ANA機材まわりの最新動向は、ANA機材完全ガイド2026THE Room FX完全ガイド に整理してあります。