ANA(全日本空輸)の国際線を予約するとき、同じ路線でも機材によって乗り心地がまったく変わることがあります。ファーストクラスやビジネスクラスのシートが異なるだけでなく、機体そのものの構造が与える影響 — 気圧・湿度・騒音 — が体感に直結します。このガイドでは、ANAが運航する主要機材ごとの特徴と、どの路線でどの機材に乗れるかをまとめます。
ANA国際線の主要機材一覧
| 機材 | 愛称・特徴 | 主な路線 |
|---|---|---|
| ボーイング 777-300ER | 長距離国際線の主力 | 羽田・成田 — ロンドン・パリ・ニューヨーク・フランクフルトなど |
| ボーイング 787-9 | 中長距離・新世代機 | 羽田 — ミュンヘン・ミラノ・シンガポール・バンコクなど |
| ボーイング 787-8 | 中長距離・初期型 | 成田 — 北米・東南アジア一部 |
| ボーイング 767-300ER | 中型・汎用機 | 国際線一部・国内線 |
| エアバス A380 | 「フライング・ホヌ」 | 成田 — ホノルル(3機体制) |
ボーイング 777-300ER — ANAのフラッグシップ機
B777-300ERはANA長距離国際線の主力機材です。エンジンはGE90-115Bを2基搭載。このエンジンは世界最大の推力を持つターボファンエンジンとして知られており、エンジンのファン径だけで3.25メートルあります。

機内はANAが最も力を入れているシートが詰まっています。
- ファーストクラス:THE Suite(個室型クローズドドア)
- ビジネスクラス:THE Room(全席通路アクセス・最大198cmのフルフラット)
- プレミアムエコノミー:THE Premium(シート幅47cm・フットレスト付き)
- エコノミー:THE Experience
特にTHE SuiteとTHE Roomは、国際線ファーストクラス・ビジネスクラスとして世界水準の快適性を持つシートです。ロンドン・パリ・フランクフルト・ニューヨーク・ワシントンなど、ANA長距離路線の多くでこの機材に乗ることができます。
羽田 — ロンドン線でのTHE Suite搭乗記はこちら、THE Roomのレビューはこちらで書いています。
ボーイング 787-9 — 新世代の快適性
B787-9は「ドリームライナー」の愛称で知られる中長距離機材です。B777と比べると機体は小さいですが、乗り心地という点ではむしろ上回る部分があります。その理由は機体の構造にあります。

B787は機体の約50%がカーボンファイバー複合材(CFRP)でできています。金属より軽くて強いため、機体にかかる応力が変わり、これが快適性に直接影響します。
B787が快適な理由(B777との比較)
| 項目 | B787-9 | B777-300ER |
|---|---|---|
| 客室気圧 | 約1,830m相当(6,000フィート) | 約2,440m相当(8,000フィート) |
| 客室湿度 | 約15〜20% | 約8% |
| 窓サイズ | 一般的な旅客機より約30%大きい | 標準 |
| 騒音 | 一般的に静か | 一般的に静か |
気圧が低い(地上に近い)ほど、体への負担は少なくなります。B787では標準的な航空機より体感高度が400メートル以上低い状態が保たれています。湿度も倍以上高いため、長距離フライトでも乾燥による疲労を感じにくくなっています。
ANAは新造のB787-9に、新世代ビジネスクラス「THE Room FX」を搭載する計画を発表しています。初号機は2026年8月に受領予定で、就航はこれからです。THE Room FXは全席にフルハイト(天井近くまで届く高さ)のスライドドアを備えます。THE Room(B777-300ER)がポケットに収まるスライドドアなのに対し、FXはインラインでスライドする方式で、完全な個室感をつくります。B787-9のFX仕様は48席のビジネスクラス(総座席206席)で、中長距離路線でもフルフラットのシートを体験できるようになります。搭載機は新造3機と改修16機の計19機が予定されています。THE Room FXの詳細はこちらで書いています。
エアバス A380 — フライング・ホヌ
ANAのA380は「フライング・ホヌ」として知られる特別な存在です。成田 — ホノルル路線専用に3機が運航しており、ANAが保有するA380はこの3機のみです。
A380は2階建て構造の4発エンジン機で、1機あたりの最大座席数が800席を超えることもある巨体です。ANAのA380は全520席(ファーストクラス8席・ビジネスクラス56席・プレミアムエコノミー73席・エコノミー383席)で運航しています。
機体の大きさに比例して、上部デッキ(2階)の静粛性は際立ちます。翼より後方の上部デッキでは、エンジン音がほとんど聞こえません。ホノルル路線の特性上、アロハ気分を楽しむ乗客が多く、機内の雰囲気も他路線とは異なります。
ファーストクラスはドア付きの専用シート(A380 ファーストクラス)で、ビジネスクラスは全席通路アクセスの「ANA BUSINESS STAGGERED」です。いずれもA380ならではの仕様で、ホノルル線でのみ体験できます。
機材で路線を選ぶ — 実際の選び方
長距離ヨーロッパ路線(東京 — ロンドン・パリ・フランクフルトなど)
B777-300ERが中心です。THE SuiteやTHE Roomを体験するなら、この路線が主な選択肢になります。運航時間は片道12〜13時間程度。
中長距離アジア・ヨーロッパ路線(東京 — シンガポール・バンコク・ミュンヘン・ミラノなど)
B787-9が増えています。現在の787-9にも従来のフルフラットのビジネスクラスが搭載されており、B787の快適な機内環境は、6〜10時間のフライトでも体に優しいです。新ビジネスクラス「THE Room FX」を搭載した787-9はこれから就航する予定です。
ホノルル路線
A380(フライング・ホヌ)一択です。機材指定予約ができる路線のひとつで、乗ること自体を目的とする旅行者も多い路線です。
どの機材に乗れるかを確認する方法
ANA公式サイトで予約画面を開くと、フライト検索結果に機材コードが表示されます。
- 77W:B777-300ER(THE Suite・THE Room搭載)
- 789:B787-9(新造機はTHE Room FX搭載予定・就航はこれから)
- 788:B787-8
- 388:A380(フライング・ホヌ)
機材を重視するなら、まずフライト検索で機材コードを確認してから予約を進めるのが確実です。同じ路線でも日程や便によって異なる機材が使われることがあるため、確認の習慣をつけておくと安心です。
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よくある質問
Q. ANAのフラッグシップ機材はどれですか?
A. 現在のフラッグシップはB777-300ERです。羽田発のニューヨーク・ロンドンなど超長距離路線に投入され、ビジネスクラス「THE Room」を搭載。後継として新型B777-9(777X)が発注されていますが、ボーイングの納入遅延で初号機の受領は2026年度〜2027年初頭ごろの見込みとされています。
Q. ANA B787とB777、乗り心地の違いは何ですか?
A. B787は客室内の体感高度が低め(約1,830m・6,000フィート相当)で、これはB777より地上に近く体への負担が少ない状態です。湿度も高く、長時間飛行での疲労感が少ないのが特徴です。B777は機内が広く安定感があります。長距離の疲れにくさではB787、広い座席を求めるならB777という選び方が一般的です。
Q. ANA A380はどの路線で飛んでいますか?
A. A380「FLYING HONU」は成田=ホノルル線専用機材です。3機が運航しており、上部デッキのファーストクラス(ドア付きの専用シート)と、全席通路アクセスのビジネスクラス「ANA BUSINESS STAGGERED」が人気です。ホノルル線以外での運航予定は現時点では発表されていません。
Q. ANA国際線でシートが広いビジネスクラスを選ぶには機材をどう調べればいいですか?
A. ANA公式サイトの「機材・シートマップ」ページで便ごとの機材を確認できます。「THE Room」搭載便(B777-300ER)は個室型シートで最も広く、A380(フライング・ホヌ)の「ANA BUSINESS STAGGERED」もゆとりがあります。予約前に機材を確認する習慣をつけると快適な旅になります。
Q. B787ドリームライナーの窓が大きいのはなぜですか?
A. B787の窓は一般的な旅客機より約30%大きく、電子調光システムを採用しています。炭素繊維複合材(CFRP)の使用により機体強度を保ちながら窓を大きくすることができました。物理的なブラインドを下ろさなくても調光できるため、外の景色を楽しみながら眩しさを抑えられます。
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