2026年8月17日 追記:ANAが8月12日に、9月・10月発券分の額を発表しました。欧州・北米線は片道55,000円で、7月・8月発券分の65,000円から1万円の引き下げです。2026年につづいた値上がりが、ここで折り返しました。下の推移表にも1期分を加えてあります。
地区別の新旧の金額と、8月中に発券するか9月まで待つかの判断はANA燃油サーチャージが9月発券分から引き下げ——欧米片道55,000円、往復で2万円安くなるにまとめました。JALとJTAも8月18日に発表しました。北米・欧州線は片道50,000円で、ANAより5,000円安い額です。6つの地区すべてでJALのほうが安くなりました。
2026年8月10日 追記:7月・8月発券分の3路線(ベトナム・フィリピンほか/東アジア/韓国)の金額に誤りがあったため、ANA公式の改定基準テーブルに合わせて修正しました。
2026年、ANAの燃油サーチャージが大きく動いている。
2026年5月発券分から北米・欧州行きが片道56,000円へ引き上げられ、2月〜4月時点の31,900円から実に1.75倍に跳ね上がった。さらに7月発券分では65,000円へと追加値上げが決定。往復では13万円が燃油サーチャージだけで消える計算になった。そして9月発券分から55,000円へ引き下げられ、1年ぶりに下向きへ折り返している。
この記事では、2026年8月時点の最新サーチャージ額を路線別に整理し、算定ルールの変更点、特典航空券への影響、賢い発券タイミングまでを解説する。
2026年 ANA燃油サーチャージ 推移一覧
まず直近4期分の推移を路線グループ別に確認する。いちばん右が、いま最新の9-10月発券分だ。
| 路線グループ(日本発 片道) | 2-4月発券 | 5-6月発券 | 7-8月発券 | 9-10月発券 |
|---|---|---|---|---|
| 北米(ハワイ除く)・欧州・中東・アフリカ・オセアニア・中南米 | 31,900円 | 56,000円 | 65,000円 | 55,000円 |
| ハワイ・インド・インドネシア | 20,400円 | 36,800円 | 40,400円 | 35,800円 |
| タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア | 16,300円 | 29,000円 | 33,500円 | 27,300円 |
| ベトナム・フィリピン・グアム・パラオ・モンゴル | 10,500円 | 19,700円 | 22,500円 | 19,300円 |
| 東アジア(韓国・ロシア除く) | 9,400円 | 14,700円 | 15,400円 | 14,300円 |
| 韓国・ロシア(ウラジオストク) | 3,300円 | 6,700円 | 7,400円 | 6,500円 |
※上記はすべて日本発・片道分。往復の場合は2倍になる。7-8月発券分は2026年6月12日、9-10月発券分は2026年8月12日にANAが発表した金額。9-10月発券分は9月1日から10月31日までに購入した航空券に適用される。
成田=メキシコシティ線(NH180/179)だけは、この地区区分から外れて別建てになっている。9月1日以降の発券分は片道31,900円。7月1日以降の発券分の45,100円から13,200円下がった。中南米というくくりで55,000円だと思っていると、実際にはこれよりかなり安い。
2026年5月 大幅値上げの背景
今回の値上げの直接的な引き金は、2025年末からつづく原油価格の高騰だ。

中東情勢の不安定化が原油の供給懸念を高め、航空燃料価格が急騰した。ANAとJALはともに2026年4月20日に改定を正式発表。5月1日以降の発券分から新運賃を適用した。
北米・欧州行きで見ると、2024年後半から2025年にかけては20,000〜30,000円前後で安定していたものが、一気に56,000円へ。その後7-8月発券分では65,000円と、さらに引き上げられている。
往復13万円——ビジネスクラスで旅行する場合、航空券本体とは別にこれだけの金額がサーチャージとして上乗せされる。旅行計画への影響は大きい。
算定ルールの変更点
2026年5月の改定では、金額だけでなく算定のルール自体も変わった。
従来は「適用月の4か月前・3か月前の平均」を市況価格の参照期間としていた。これが「適用月3か月前・2か月前の平均」へ変更された。
つまり、より直近の燃料価格が反映されやすくなった。原油価格が急騰しているときは値上がりが早く、逆に価格が下がり始めたときは値下がりも早まるということでもある。
また、上限テーブルも見直された。従来の上限設定が現在の市場実態に合っていないと判断し、新たな上限額を設定している。これにより、今後の燃料価格上昇局面では、従来より高い水準のサーチャージが設定されうる。
算定ルールの変更は、旅行計画のタイミング戦略にも影響する。発券時期を早めても、適用2か月前の燃料価格が高ければ、恩恵が限定的になるケースがある。
路線別の実質負担額(往復)
実際にどのくらいの負担になるか、代表的な路線で往復の総額を確認する。左が9月1日以降に発券した場合、右が8月31日までに発券した場合だ。同じ便に乗っても、発券日がまたぐだけでこれだけ変わる。
| 代表的な目的地 | 片道(9-10月発券) | 往復合計(9-10月発券) | 往復合計(7-8月発券) |
|---|---|---|---|
| ニューヨーク・ロンドン・パリ・フランクフルト・シドニー | 55,000円 | 110,000円 | 130,000円 |
| ホノルル・デリー・ジャカルタ | 35,800円 | 71,600円 | 80,800円 |
| バンコク・シンガポール・クアラルンプール | 27,300円 | 54,600円 | 67,000円 |
| ハノイ・マニラ・グアム | 19,300円 | 38,600円 | 45,000円 |
| 北京・上海・香港・台北 | 14,300円 | 28,600円 | 30,800円 |
| ソウル(仁川) | 6,500円 | 13,000円 | 14,800円 |
ビジネスクラスでニューヨークに往復する場合、航空券本体(特典航空券の場合はマイル)に加えて、サーチャージだけで11万円が必要になる。1万円下がってもなお、2024年の2倍前後の水準だ。
下げ幅は距離の長い路線ほど大きい。欧米は往復2万円、バンコクは往復12,400円軽くなるいっぽうで、ソウルは1,800円しか変わらない。近距離はもともとの額が小さいので、待つ意味も小さいということになる。
特典航空券への影響
見落としやすいのが、特典航空券でもサーチャージは変わらずかかるという点だ。
特典航空券は「マイルで乗れるから安い」という認識がある。それは正しいが、燃油サーチャージと空港税は別途現金で支払う必要がある。
たとえばANAマイルで北米ビジネスクラスを特典航空券で発券した場合、8月31日までの発券なら往復13万円、9月1日以降の発券なら往復11万円のサーチャージに加えて、空港税が数万円かかる。マイルで無料にできるのはあくまで運賃部分だ。
マイルの価値を最大化するという観点でいえば、サーチャージが低い時期に発券する、あるいはサーチャージがかからない(または低額の)発着地を選ぶという選択肢がある。ANA特典航空券の場合、日本以外の国発の発券では、サーチャージのかかり方が異なることがあるため確認しておくとよい。
燃油サーチャージの算定の仕組み
サーチャージがどう決まるかを理解しておくと、今後の動向を読むヒントになる。
ANAの場合、シンガポールケロシン(航空燃料)の市場価格を基準として、2か月間の平均価格を参照し、翌々月から適用する2か月分の運賃額を決定する。
具体例で言えば、7-8月発券分(7月1日〜8月31日適用)は、4-5月のケロシン価格の平均を元に計算されている。9-10月発券分は、6月1日から7月31日までの平均が基準になった。
ケロシン価格は原油価格と連動するが、完全に一致するわけではない。精製コストや需給の変動による独自の動きもある。原油価格が下落してもサーチャージが下がるまでに1〜2か月のタイムラグがあることは、旅行計画を立てる上で知っておくべき点だ。
その答えが出たのが今回の改定だ。7-8月発券分で65,000円まで上がった北米・欧州便は、9月発券分で55,000円へ下がった。6月にアメリカとイランが戦闘終結の覚書に署名し、参照期間の6月・7月の平均が前回より低くなったためだ。
もうひとつ、今回は市況以外の要素も効いている。6-7月の平均で機械的にテーブルを引くと「21,000円以上22,000円未満」の段に入るところ、ANAは1段階低い「20,000円以上21,000円未満」の段を適用した。中東情勢を踏まえた政府の緊急的な激変緩和措置として、航空機燃料に補助が出ている効果を反映したものだ。市況が下がったぶんと、補助で1段階下げたぶんが重なって55,000円になっている。逆にいえば、補助がなくなれば市況が動かなくても1段階上がる。
サーチャージを抑えるための実践的な対策
高騰するサーチャージに対して、実際に効果のある対策は限られる。誤解の多いポイントも含めて整理する。
① 原油価格の動向を見て発券タイミングを判断する
サーチャージは2か月ごとに改定される。適用の2か月前の市況価格が基準になるため、原油価格が下落傾向にあるときは発券を遅らせる選択肢がある。逆に上昇がつづく局面では早めに発券して現在の低い水準を確定させる判断も成立する。
ただし、将来の原油価格は誰にも読めない。「下がるかもしれないから待つ」という判断は、さらに上がるリスクと表裏一体であることを理解しておく必要がある。
② ANAマイルでサーチャージがかからない提携航空会社を選ぶ
ANAマイルは、ANAの便だけでなくスターアライアンス加盟のパートナー航空会社の特典航空券にも使える。このとき、サーチャージの有無は、発券する航空会社のルールに従う。
たとえばユナイテッド航空は自社で燃油サーチャージを廃止しており、ANAマイルでユナイテッド航空の特典航空券を発券した場合、サーチャージはかからない。同様にサーチャージが低額またはゼロになるパートナー航空会社はほかにも存在する。
ANAで直接発券すると北米往復13万円のサーチャージがかかるところ、同じマイルでルートを組み替えることでサーチャージをゼロにできる可能性がある。ルートの選択肢と必要マイル数をあわせて検討する価値がある。
③ 有償ビジネスクラスと比べると、特典航空券はサーチャージを払ってもまだ安い
「サーチャージが13万円もかかるなら特典航空券の意味がない」という声もある。しかし有償のビジネスクラスで北米を往復すると、航空券の本体価格だけで100万円を超えることも珍しくない。
サーチャージ13万円+空港税数万円=合計20万円弱の実費を払っても、ANAマイルで特典航空券を発券するほうが圧倒的に安く乗れる。サーチャージが高い時期だからこそ、マイルを使う優先度が上がるという見方もできる。
2026年 ANAサーチャージ まとめ
整理すると、2026年のANA燃油サーチャージは以下の流れで動いている。
- 2-4月:北米・欧州 片道31,900円
- 5-6月:片道56,000円へ大幅引き上げ(約1.75倍)
- 7-8月:片道65,000円へさらに引き上げ(往復13万円)。過去最高額
- 9-10月:片道55,000円へ引き下げ(往復11万円)。値上がりが折り返した
- 算定ルール変更:参照期間が「適用月3か月前・2か月前の平均」へ短縮
次の改定は11月発券分からになる。基準になるのは8月から9月のケロシン価格と為替の平均だ。ここからさらに下がるかどうかは、この2か月の市況と、政府の激変緩和措置がつづくかどうかで決まる。補助が切れれば、市況が横ばいでも1段階分は上がることになる。
ただし、テーブルの下のほうには踊り場がある。円換算値が22,000円台で56,000円、21,000円台で55,500円、20,000円台で55,000円。3,000円分下がっても欧米線は1,000円しか動かない。いまの55,000円は、その踊り場のいちばん下にいる。ここから目に見えて下がるには、円換算値が20,000円を割って51,700円の段に入る必要がある。
旅行計画を立てる際は、航空券の本体価格だけでなく、サーチャージと空港税を含めたトータルコストで比較することが重要だ。特に海外旅行頻度が高い方は、発券タイミングとルート選択の最適化で年間のコスト差が大きくなりうる。
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