ANAが2026年10月15日、国際線の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)を2026年11月1日以降の発券分から引き上げると発表しました。欧州・北米線は片道62,000円です。9月・10月発券分の55,000円から7,000円上がります。
9月・10月発券分は、7月・8月の65,000円から1万円下がったところでした。それが2か月でまた上がる形になります。欧米往復で見ると110,000円が124,000円になり、14,000円ぶん重くなります。
この記事では、地区別の新旧の金額、上がった理由、そして「10月中に発券するか、11月まで待つか」の判断を整理します。8月にわたしが書いた燃油サーチャージ 2026年9月・10月発券分はANA55,000円・JAL50,000円の最後に「次は11月・12月発券分。どこを見るか」という節を置きました。今回はその答え合わせでもあります。
地区別の新しい金額と9月・10月発券分との差
日本発の片道1区間あたりの額です。カッコ内は往復に直した金額になります。すべての地区で上がりました。
| 地区(日本発・片道) | 11月・12月発券分 | 9月・10月発券分 | 差 |
|---|---|---|---|
| 欧州・北米・中東・アフリカ・オセアニア・中南米 | 62,000円(124,000円) | 55,000円(110,000円) | +7,000円 |
| ハワイ・インド・インドネシア | 38,500円(77,000円) | 35,800円(71,600円) | +2,700円 |
| タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア | 32,000円(64,000円) | 27,300円(54,600円) | +4,700円 |
| ベトナム・フィリピン・グアム・パラオ・モンゴル | 21,500円(43,000円) | 19,300円(38,600円) | +2,200円 |
| 中国・マカオ・台湾・香港 | 15,100円(30,200円) | 14,300円(28,600円) | +800円 |
| 韓国・ロシア(ウラジオストク) | 7,100円(14,200円) | 6,500円(13,000円) | +600円 |
上がりかたがいちばん大きいのは欧米線の7,000円で、次がタイ・シンガポール方面の4,700円です。バンコクやシンガポールを往復すると、9,400円の差になります。東アジアと韓国は数百円の上げにとどまりました。
適用は2026年11月1日から12月31日までの発券分です。2027年1月以降の発券分については、決まりしだい別に案内するとANAは書いています。

なぜ上がったのか。市況の上昇と特例の1段下げ
ANAは、国際線の燃油サーチャージを2か月ごとに決めています。基準になるのはシンガポールケロシンの市況価格です。直近2か月の平均に、同じ期間の平均の為替レートを掛けて円の値を出し、その値があらかじめ決められた価格帯のどこに入るかで、路線ごとの金額が自動的に決まります。
今回の参照期間は2026年8月1日から9月30日までです。この2か月は、中東情勢の緊張がふたたび高まり、航空燃料の価格が上がった期間でした。6月から7月の平均で引いた9月・10月発券分の帯は「21,000円以上22,000円未満」でしたが、8月から9月の平均は「25,000円以上26,000円未満」の帯に入る水準まで上がりました。
ただし、ここでひとつ特例が入っています。中東情勢を踏まえた政府の緊急的な激変緩和措置として航空機燃料に補助が出ており、その効果を踏まえて、ANAは1段階低い「24,000円以上25,000円未満」の帯の金額を適用しました。9月・10月発券分でも同じ特例で1段下げていましたから、2回つづけての措置になります。
この1段の差がどれくらい効いているかを、ANAの改定基準テーブルで見てみます。日本発の欧米線を軸に、まわりの帯を抜き出しました。
| 円換算の帯(日本発) | 欧米線 | ハワイ | タイ・シンガポール | 韓国 |
|---|---|---|---|---|
| 20,000円以上21,000円未満(9月・10月発券分) | 55,000円 | 35,800円 | 27,300円 | 6,500円 |
| 21,000円以上22,000円未満 | 55,500円 | 36,300円 | 27,500円 | 6,600円 |
| 22,000円以上23,000円未満 | 56,000円 | 36,800円 | 29,000円 | 6,700円 |
| 23,000円以上24,000円未満 | 59,000円 | 37,300円 | 30,500円 | 6,800円 |
| 24,000円以上25,000円未満(11月・12月発券分・特例適用) | 62,000円 | 38,500円 | 32,000円 | 7,100円 |
| 25,000円以上26,000円未満(本来の帯) | 65,000円 | 40,400円 | 33,500円 | 7,400円 |
| 26,000円以上27,000円未満 | 68,000円 | 42,300円 | 35,000円 | 7,700円 |
特例がなければ、欧米線は65,000円でした。これは7月・8月発券分と同じ、ANAの過去最高額です。政府の補助で1段下がったぶんが、片道3,000円、往復6,000円として効いています。
もうひとつ、この表からわかることがあります。20,000円台から23,000円台までは、欧米線の上がりかたが500円刻みでなだらかです。ところが23,000円台から24,000円台へ移るところで3,000円、24,000円台から25,000円台で3,000円と、急に階段が高くなります。今回の7,000円の上げ幅は、この階段の高いところを一気に2段のぼった結果です。

10月中に発券するか11月まで待つか
今回は値上げです。ですから答えは単純で、11月以降に乗る国際線の予定が決まっているなら、10月31日までに発券したほうが安くなります。燃油サーチャージは搭乗日ではなく発券日の額が適用されるからです。10月中に発券すれば、搭乗が12月でも来年の春でも、9月・10月発券分の額で乗れます。
欧米線なら往復で14,000円、家族4人なら56,000円の差になります。ビジネスクラスの特典航空券でロンドンへ行く場合も、マイルとは別に現金で払う部分なので、この差はそのまま財布に効きます。
いっぽうで、急いで発券しないほうがいい場合もあります。
- 予定がまだ固まっていないとき。燃油サーチャージは払い戻しの際に取消手数料も払戻手数料もかからず全額戻りますが、航空券の本体には運賃ごとの取消料がかかります。14,000円を惜しんで、もっと大きな取消料を払うのでは本末転倒です。
- 減額マイルやタイムセールを待っているとき。ANAは国際線特典航空券の減額マイルキャンペーンを不定期に出しています。必要マイルが半分になる路線なら、燃油サーチャージの差よりマイルの差のほうがはるかに大きい場合があります。
- 2027年1月以降の発券分が下がる見込みがあるとき。ただしこれは、10月から11月の市況しだいです。いまの時点では読めません。
なお、2歳未満で座席を使わない幼児には燃油サーチャージはかかりません。大人・小児・座席を使う幼児は同額です。特典航空券も同額です。

JALはまだ発表していない(10月15日時点)
この記事を書いている時点で、JALの11月・12月発券分はまだ発表されていません。9月・10月発券分のときは、ANAが8月12日、JALが8月18日と、JALのほうが6日あとでした。今回も同じ順番なら、JALの発表は10月下旬になります。
9月・10月発券分では、6つの地区すべてでJALのほうが安く、欧米線は片道でANAの55,000円に対してJALが50,000円でした。両社が参照する市況の数字は同じですが、基準テーブルのつくりが違うため、同じ帯に入っても金額が違います。その話はANA燃油サーチャージが9月発券分から引き下げ——欧米片道55,000円、JALは50,000円に書きました。
JALの基準表では、25,000円基準のゾーンが欧米線65,000円、21,000円基準が53,000円、20,000円基準が50,000円です。8月から9月の市況が25,000円台に入っているなら、JALも特例で1段下げた24,000円基準を使う可能性が高く、その場合の欧米線はANAの62,000円を下回るかどうかが焦点になります。JALが発表したら、この記事に追記します。
2027年1月以降はどうなるか
次の改定は2027年1月・2月発券分で、参照期間は2026年10月1日から11月30日までです。ANAは「決定次第別途お知らせ」としていますが、例年どおりなら12月中旬に発表されます。
見かたは今回と同じです。シンガポールケロシンの10月から11月の平均に、同じ期間の平均為替を掛けて、上の表のどの帯に入るかを見ます。24,000円台にとどまれば62,000円のまま、23,000円台に下がれば59,000円、22,000円台なら56,000円です。逆に25,000円台にのぼり、政府の補助による特例が終われば、過去最高の65,000円に戻ります。
燃油サーチャージの決まりかたと2026年の推移は、ANA燃油サーチャージ2026年最新版にまとめています。発表を待たずに自分で見当をつけたい方は、そちらもあわせてご覧ください。
まとめ
- ANAの国際線燃油サーチャージは、2026年11月1日から12月31日までの発券分で全地区が上がります。欧米線は片道62,000円、往復124,000円です。
- 9月・10月発券分との差は、欧米線で片道7,000円、タイ・シンガポール方面で4,700円、ハワイで2,700円です。
- 本来は25,000円台の帯でしたが、政府の激変緩和措置を踏まえて1段低い24,000円台を特例で適用しました。特例がなければ欧米線は65,000円でした。
- 11月以降に乗る予定が固まっているなら、10月31日までに発券したほうが安くなります。払い戻しの際、燃油サーチャージは全額戻ります。
- JALの11月・12月発券分は未発表です。発表されしだい追記します。
正式な金額と適用条件は、ANA公式の国際線における燃油特別付加運賃の改定について(2026年10月15日)と、燃油特別付加運賃の案内ページでご確認ください。
あわせて読みたい
よくある質問(FAQ)
Q. ANAの燃油サーチャージは11月からいくらになりますか
A. 2026年11月1日以降の発券分は、日本発の片道で欧州・北米・中東・アフリカ・オセアニア・中南米が62,000円、ハワイ・インド・インドネシアが38,500円、タイ・シンガポール・マレーシア方面が32,000円、ベトナム・フィリピン・グアム方面が21,500円、中国・台湾・香港・マカオが15,100円、韓国・ウラジオストクが7,100円です。
Q. 9月・10月発券分からどれくらい上がりましたか
A. 欧米線は55,000円から62,000円になり、片道7,000円、往復14,000円の引き上げです。タイ・シンガポール方面は27,300円から32,000円、ハワイは35,800円から38,500円、ベトナム・グアム方面は19,300円から21,500円、東アジアは14,300円から15,100円、韓国は6,500円から7,100円と、全地区が上がりました。
Q. 10月中に発券すれば、11月以降の搭乗でも安い額のままですか
A. はい。燃油サーチャージは搭乗日ではなく発券日の額が適用されます。2026年10月31日までに発券した航空券は、搭乗が11月以降でも9月・10月発券分の額です。欧米線なら往復で14,000円の差になります。
Q. なぜ上がったのですか
A. 参照期間の2026年8月から9月に、中東情勢の緊張で航空燃料の価格が上がり、円換算の帯が「25,000円以上26,000円未満」に入る水準になったためです。ただし政府の緊急的な激変緩和措置による燃料への補助を踏まえ、ANAは特例として1段低い「24,000円以上25,000円未満」の帯を適用しました。特例がなければ欧米線は65,000円でした。
Q. 特典航空券や子どもにもかかりますか
A. ANAマイレージクラブの特典航空券も同額がかかります。大人・小児・座席を使う幼児は同額で、座席を使わない2歳未満の幼児にはかかりません。航空券を払い戻す場合、燃油サーチャージには取消手数料・払戻手数料がかからず全額戻ります。
TE travel 

