ANAがいちばん安い国内線運賃として2026年5月に導入した「シンプル」。その「購入したときに座席を選べない」という仕様が、家族連れを中心に不満を集めていました。そのシンプル運賃に、ようやく救済の動きが出てきました。
2026年6月26日にひらかれたANAホールディングスの株主総会で、会社側はシンプル運賃に事前座席指定などの有料オプションを導入する検討をしていると表明しました。まだ「検討中」の段階ですが、最安運賃の使い勝手が変わる可能性のある、大きな一歩です。
この記事では、なにが起きたのか、そもそもシンプル運賃のどこが問題だったのか、そして今回の動きが利用者にとってどういう意味をもつのかを、フライヤー目線で整理します。
2026年6月26日、株主総会でなにが表明されたのか
ことの発端は、株主総会での質疑でした。最安運賃のシンプルで「家族が横並びの席を購入時に確保できない」という声が出ていることについて、ANA側が向きあう姿勢を見せたのです。
報じられている内容は、おもに次のとおりです。
- シンプル運賃に、事前座席指定などの有料の付帯サービスを導入することを検討している
- 制度の案内が十分でなかったという認識を示した
- 導入の時期や料金は、まだ決まっていない
つまり「シンプルでも、追加料金を払えば前もって座席を選べるようにする」という方向で検討がはじまった、ということです。逆にいえば、現時点ではまだ実現していません。いまシンプルを買っても、座席は出発24時間前からしか選べない点は変わっていません。
そもそも「シンプル」運賃とはなにか
2026年5月19日搭乗分から、ANAは国内線の運賃を「シンプル」「スタンダード」「フレックス」の3種類に整理しました。付帯サービスをどこまでつけるかで分かれる、わかりやすい構成です。
このうちシンプルは、付帯サービスを最小限にして価格を抑えた、いちばん安い運賃です。安さと引きかえに、事前の座席指定ができず、予約の変更もできません。座席を選べるのは、出発時刻の24時間前からになります。
3つの運賃の違いを表にまとめます。
| 運賃 | 事前の座席指定 | 予約変更 | 無料手荷物(エコノミー) | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| シンプル | できない(出発24時間前から) | できない | 23kg×1個 | とにかく安く乗りたい |
| スタンダード | 無料でできる | できる(手数料あり) | 23kg×1個 | 座席も手荷物も安心したい |
| フレックス | 無料でできる | 無料でできる | 23kg×2個 | 予定が変わりやすい出張など |
事前に座席を選べないのはシンプルだけです。スタンダードとフレックスは、購入したそのときから無料で座席を指定できます。
なぜ家族連れが困ったのか
ひとりで乗るなら、出発24時間前から座席を選べれば十分なことが多いでしょう。問題になるのは、家族や連れと一緒に乗るときです。
24時間前のオンラインチェックインの時点では、すでに多くの席が埋まっています。すると、小さな子どもと親が離ればなれの席になってしまう、という事態が起きます。安いからとシンプルを選んだら、家族でバラバラに座ることになった——そういう不満が、運賃リニューアル後にあちこちで出ていました。
とくに、これまでANAをそれほど使ってこなかった人ほど、運賃の細かい違いに気づきにくいものです。いちばん上に表示される安い運賃をなんとなく選んだ結果、座席で困る。今回ANAが「案内が十分でなかった」と認めたのは、この入口のわかりにくさを指しています。
今回の救済措置——事前座席指定の有料オプション
検討されているのは、シンプル運賃でも追加料金を払えば、購入したときから座席を選べるようにする仕組みです。いわば、国際線でいう「座席指定の有料サービス」を国内線の最安運賃にも広げるイメージです。
この方向には、利用者にとって筋のとおったところがあります。安さを優先したい人はシンプルのまま乗ればいい。座席だけは確保したいという人は、追加料金を払って事前指定する。必要な人が必要な分だけ払う、という考え方です。スタンダードに格上げするほどではないけれど、席だけは確保したい——そんな細かなニーズに応えられます。
ただし、くりかえしになりますが、料金も開始時期もまだ決まっていません。「いくらで、いつから」が出てくるのはこれからです。家族旅行をシンプルで予約しようとしている人は、当面は出発24時間前の座席指定に頼ることになります。確実に横並びにしたいなら、いまの時点ではスタンダード以上を選ぶのが安全です。
SFC会員・上級会員への影響
スーパーフライヤーズカード(SFC)会員やダイヤモンド会員など、上級会員は運賃の種類にかかわらず、座席を優先的に確保しやすい立場にあります。自分ひとりの席で困ることは、ふだんあまりないでしょう。
気をつけたいのは、同行者の予約を取るときです。家族や友人をシンプル運賃で予約してあげる、というケースでは、相手の席が事前に取れず離れてしまうことがあります。今回の有料オプションが実現すれば、こうした「連れの席を確保する」場面で選択肢が増えます。上級会員にとっても、知っておいて損のない変更です。
国内線の運賃リニューアルの全体像と、プレミアムクラスがファーストクラス表記になった件については、こちらの記事でくわしく整理しています。あわせて読むと、今回の動きの位置づけがよりはっきりします。
国際線ではどうなっているか
じつは「席だけ有料で確保する」という考え方は、国際線ではすでにおなじみです。ANAの国際線エコノミーでは、運賃の種類によっては事前座席指定が有料になっていて、お金を払えば前もって希望の席を押さえられます。窓側、通路側、前方の席といった条件を、出発前に確保できる仕組みです。
2026年5月のリニューアルで、ANAは国内線と国際線の予約システムやルールを共通化する方向を打ち出しました。国内線の運賃が「シンプル/スタンダード/フレックス」という国際線に近い建てつけになったのも、その流れの一部です。今回のシンプル運賃の有料座席指定の検討も、この共通化の延長線上にあると見ると理解しやすいでしょう。国内線にも国際線と同じ「席は別売り」の発想が入ってくる、ということです。
シンプル運賃を選ぶときのチェックリスト
有料オプションが正式に始まるまでのあいだ、シンプル運賃でうっかり失敗しないためのポイントをまとめておきます。
- 同行者がいるなら、シンプルではなくスタンダード以上を検討する
- どうしてもシンプルで乗るなら、出発24時間前のオンラインチェックイン開始と同時に座席を選ぶ
- 小さな子ども連れのときは、離れた席になるリスクを前提に計画する
- 予定が変わる可能性があるなら、変更できないシンプルは避ける
- 有料座席指定が始まったかどうか、予約前にANA公式で最新情報を確認する
安さは魅力ですが、シンプルは「割りきって安く乗る」ための運賃です。座席や変更の自由がほしい場面では、最初から上位の運賃を選んだほうが、結果として安心して旅ができます。
これまでの流れと、これから
シンプル運賃をめぐる動きを、時系列で整理しておきます。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年5月19日搭乗分〜 | 国内線運賃をシンプル/スタンダード/フレックスの3種にリニューアル |
| 2026年5月以降 | シンプルで「事前に座席を選べない」ことへの不満が表面化 |
| 2026年6月26日 | 株主総会で、事前座席指定など有料オプション導入の検討を表明 |
| 今後 | 導入時期・料金は未定。正式な発表を待つ段階 |
最安運賃をきちんと売りながら、不満の出た部分は有料オプションで補う。航空会社がよくつかう手法ですが、利用者からすれば、安さと座席確保のバランスを自分で選べるようになるのはいいことです。続報が出しだい、この記事でも追っていきます。
運賃ルールや座席指定の最新の条件は、ANA公式「シンプル・スタンダード・フレックス」のページで必ず確認してください。内容は今後さらに更新される可能性があります。
よくある質問(FAQ)
Q. シンプル運賃でも、いずれ事前に座席を指定できるようになりますか?
A. ANAは2026年6月26日の株主総会で、シンプル運賃に事前座席指定などの有料オプションを導入する検討をしていると表明しました。ただし導入の時期や料金はまだ決まっていません。正式な発表を待つ必要があります。
Q. いまシンプル運賃を買った場合、座席はいつから選べますか?
A. 出発時刻の24時間前から、オンラインで座席を指定できます。それより前は座席を選べないため、家族や連れと横並びにしたいときは注意が必要です。
Q. 家族で横並びの席を確実に取るには、どの運賃を選べばいいですか?
A. スタンダードかフレックスを選べば、購入したときから事前座席指定が無料でできます。確実に隣どうしにしたいなら、いちばん安いシンプルは避けるのが安全です。
Q. シンプル・スタンダード・フレックスのいちばん大きな違いはなんですか?
A. 事前の座席指定ができるかどうかと、予約変更のしやすさです。シンプルは事前指定も変更もできません。スタンダードは事前指定が無料、フレックスは事前指定が無料で変更手数料もかかりません。
Q. この救済措置は、SFC会員やダイヤモンド会員にも関係しますか?
A. 上級会員は運賃にかかわらず座席を確保しやすい立場ですが、シンプル運賃そのものの仕様は全利用者に関わります。とくに同行者の予約を取るときに影響するため、知っておいて損はありません。
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