ボーイング787ドリームライナー完全解説|なぜ乗り心地がいいのか、その理由

ボーイング787ドリームライナー完全解説|なぜ乗り心地がいいのか、その理由

このページは「ANAビジネスクラス完全ガイド(2026年最新版)」のクラスター記事です。全体像を把握したい方は先に完全ガイドをご覧ください。

「787は乗り心地がいい」という話を聞いたことがあるかもしれません。航空マニアの間では常識ですが、なぜ快適なのかを正確に説明できる人は意外と少ないです。このページでは、ボーイング787ドリームライナーが快適な理由を構造・素材・機内環境の3つの角度から解説します。

ドリームライナーとは何か

ボーイング787(Dreamliner)は、ボーイングが2011年に就航させた中長距離向けワイドボディ機です。787-8・787-9・787-10の3バリエーションがあり、ANAは787-8と787-9を運航しています。

「ドリームライナー」という名前はボーイング社が一般公募で決定したものです。787の開発コンセプトは「乗客の体験を根本から変える」ことにあり、機体の設計段階から快適性を中心に据えた点が従来機と異なります。

なぜ快適なのか — 3つの理由

1. 機体素材の革新:カーボンファイバー複合材

B787で最も重要な技術革新は、機体の構造素材にあります。

従来のボーイング機(B777・B767など)は機体の大部分がアルミニウム合金でできています。B787では機体重量の約50%を「カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)」に変えました。

この素材の特性が客室環境に影響しています。

金属の機体は、湿度を上げると内部に結露が起きて腐食の原因になります。CFRPは腐食しないため、客室の湿度を大幅に上げることができます。また、金属より疲労破壊に強いため、機体に穴(窓)を大きくすることも可能になりました。

2. 客室気圧の改善

飛行機の客室は、外気の薄い高高度を飛びながらも内部を一定の気圧に保つよう「与圧」されています。

従来機の標準は、客室内を海抜約2,440m(8,000フィート)相当の気圧に設定するものでした。これはチベット高原の街と同じ高度です。

B787では客室を海抜約1,830m(6,000フィート)相当に保っています。この違いは約600mです。

比較 B787 従来機(B777等)
客室気圧 約1,830m相当 約2,440m相当
体感 富士山5合目以下 富士山5〜6合目
頭痛・倦怠感リスク 低い やや高い

長距離フライト後に「なんとなくだるい」「頭が重い」と感じるのは、この低気圧による影響が一因です。B787ではその影響が軽減されます。

3. 湿度の改善

航空機の客室は非常に乾燥しています。通常の航空機では湿度が約8%まで下がることがあります。砂漠の空気でもおよそ20〜30%なので、それより低い環境です。

B787では客室湿度を約15〜20%程度に維持することができます。2倍以上の差があります。

喉・目・肌の乾燥が、長距離フライトの不快感の大きな原因のひとつです。ANAのB787で欧州路線(片道12時間前後)を飛んだとき、到着後の疲労感がB777に比べて明らかに少ないと感じたのは、この湿度の違いが主因だと思っています。

窓が大きい

B787の窓は、従来機と比べて縦方向に約65%大きくなっています。座席に座ったまま、空の青さや地上の風景を見渡せる広さです。

窓の日よけもユニークです。B777やB767にあるような手動のプラスチックシェードがなく、代わりに電気式の「電子調光ガラス」を採用しています。手元のボタンで5段階に暗さを調整でき、完全に暗くすることも可能です。フライト中、乗務員が「シェードを下げてください」というアナウンスをする必要がなくなり、乗客が自分のペースで外を見られるようになっています。

エンジンの静粛性

B787の主なエンジン(ANAが採用しているロールスロイス・トレント1000、または一部でGE GEnx)は、ファン径が大きく空気を多く取り込む「高バイパス比ターボファン」です。

エンジンの騒音で乗客が感じるのは主に「ファン音」と「噴流音」です。高バイパス比エンジンはこのバランスを最適化しており、従来機より離着陸時・巡航時とも静粛性が高いとされています。

翼の形状 — 上から見たときの美しさ

B787の翼は「ラクド翼端」と呼ばれるデザインです。翼の先端が上方にカーブしながら後退しており、翼端渦(空気抵抗の原因)を減らす効果があります。

エアバス機の「シャークレット」や「ウィングチップ・フェンス」とは異なるアプローチで、ボーイングはより滑らかな曲線を描く翼端にこだわっています。上空から撮影した写真で見ると、B787の翼は独特の曲線美があります。

B787-8とB787-9の違い

ANAが保有するB787には2種類あります。

項目 B787-8 B787-9
全長 57m 63m
航続距離 約13,620km 約14,140km
標準座席数(ANA) 約215席 約215席(カスタム)
主な路線 中距離〜長距離 中長距離・新世代シート搭載

ANAのB787-9には2026年から新世代ビジネスクラス「THE Room FX」が順次搭載されます。B777-300ERのTHE Roomと同等の個室感を、中長距離路線でも体験できるようになります。

乗るべき路線でB787を選ぶ

ANA国際線でB787に乗りたい場合、予約画面で機材コードを確認します。

  • 789:B787-9
  • 788:B787-8

東京 — シンガポール・バンコク・クアラルンプール・ミュンヘン・ミラノなどの中長距離路線でB787が多く使われています。予約時に機材コードを意識するだけで、同じ目的地でもより快適な体験が選べます。

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よくある質問(FAQ)

Q. B787の何がすごいのですか?

A. 機体の50%以上がカーボン複合素材(CFRP)でできており、軽量化により燃費が約20%改善されています。それに加えて、客室の気圧と湿度が従来機より快適に保たれ、長距離でも疲れにくいのが最大の特徴です。

Q. B787とB777の違いは何ですか?

A. B777が大型・大容量を重視した機材なのに対し、B787は中型ながら長距離飛行に特化しています。機内環境ではB787のほうが気圧・湿度・窓のサイズで優れ、乗り心地は格段にいいです。座席数はB777のほうが多く、満席時の路線で投入されることが多いです。

Q. B787に乗れる路線はどこですか?

A. ANAは羽田=ロンドン・パリ・ミュンヘン・ブリュッセル・パース・シアトル・サンノゼなど中長距離で多用しています。JALも羽田=ヘルシンキ・ヘルシンキ=バンコクなどで運航。ZIPAIRも787-8で成田=サンフランシスコ・ホノルル・バンコクなどに飛んでいます。

Q. ジェットラグ(時差ぼけ)が軽減されるのは本当ですか?

A. 本当です。B787は与圧が標準の8,000ftから6,000ft相当に引き上げられ、湿度も従来機の倍近く保たれます。これにより脱水・頭痛・疲労が大幅に軽減され、長距離後の回復が早いと多くの利用者が実感しています。

Q. B787とA380、どちらが快適ですか?

A. 個室感や広さでは A380(特にANAホノルル線のファースト)が圧勝です。一方、機内の気圧・湿度といった「身体への負担の少なさ」では B787 が優れます。短中距離でくつろぎたいなら A380、長距離で疲労を抑えたいなら B787 という使い分けがおすすめです。