NASAの宇宙飛行士の採用条件に

 

挫折の経験

NASAの宇宙飛行士の採用条件に、「挫折を経験し、乗り越えた人」という項目があります。NASAでは、宇宙で極めて困難な事態に陥ったときに、それを乗り越えられる強い精神力が備わっている人物かを図る指標として、この採用条件があるのだそうです。
挫折の経験は辛いので、なければないに越したことはありませんが、それを乗り越えて得られる経験知は、本当にかけがえのないものです。それらはつぎのフェーズまで一気に成長させてくれるものになります。

プログラムの案内に際して、人生にとっていちばん大切なことはなにかを考えるに、やはりNASA同様に、挫折を経験し、それを乗り越えたことがあるかを考えてください。挫折を乗り越えた経験で培われた知恵と行動、精神は、これからの人生で待ち受ける様々な困難を凌駕できる原動力になります。

困難がある度に歩むのを止めてしまうと、成功はおろか、人生が前に進まなくなります。辛いものは辛い。でも、その経験から自分はなにを得られたのか、それをいつも考えることが大切です。

これを《コラテラル・ビューティ》と言います。どうか困難に陥ったときにそこで生まれるステキなことを見逃さないでください。それはセレンディピティの種です。よくなるサインです。

しばしば人生を勘違いして、1勝0敗を求めようとしている人がいますが、それは大いなる誤解です。そうなることは 絶対にありません。人生は 1勝10敗だっていい。最後にうまくいけばいいのです。

失敗がつづくと、人は失敗の恐怖に打ち勝つ精神力がもたなくなり、夢半ばで諦めてしまいます。それでは今までの苦労の意味がなくなってしまいます。

挫折、大いに歓迎しましょう。その経験が自分を成長させ、自分の強みになるからです。

この先のあるべく姿を描くとき、大いなる成長を感じられたのであれば、そこには必ず挫折が待ち受けています。そういうものです。

人生の波風立てずにおだやかに過ごそうと考える人がいるかもしれません。でも、安心、安定を望めば望むほど、困難が立ちはだかります。チャレンジすることをいつも恐れずにいてください。そのチャレンジが幸せの源泉になります。

 

ぼくはスマートにできなかった

この文章を書きながら、かつての自分を思い返してみると、答えを求めて苦悩している自分がいたことに気づきました。会社辞め、転職し、ビジネスもつぎからつぎへと変え、新しいチャンスを求めていろいろしてきましました。自分に自信がもてるなにかを探して、できるできないはともかく、きっかけがあれば、手当たり次第やってきました。ぼくはまったくスマートに人生を送って来れなかった。

軸がないから、軸になるものを探しつづけたのです。それは、寂しい自分探しの旅のようなものです。その頃のぼくを見たら、周りからはずいぶんと楽しそうにやっていたように見えたかもしれないですが、でもじっさいにはとても空虚で、苦しい時間を送っていました。そのときのぼくに会えるのなら、「よくがんばったね」「よく自分を信じつづけたね」って、声をかけてあげたいほど、無理をしていた自分がいました。

自分の軸がない。現在地がわからない。すなわち、自分の居場所がない。だから、先の絵が描けない。なので、どうしたらいいかわからない。動けない。考えたくない。今の自分に自信がもてない。怖い。不安。泣きたい。多分、そんな感情で溢れていた毎日でした。

そんなときに、だれかひとりでも自分のことをすべてわかってくれている人が現れて、だれかひとりでも自分のことを信じてくれる人がいたならば、どんなに救われたことかと思うのです。だれかひとりでも「がんばってるよね」って、ひと声をかけてくれる人がいたら、どんなに救われたことか。そんな折り、家族の病気が重なり…。いろいろ大変なことが重なったのでした。

ぼくには当時、そういうこころのうちを相談できる人はひとりもいなかったので、ようするに、ずっと自分ひとりでビジネスの世界で闘ってきたので、そのときの自分の感情についうっかり触れてしまうと、涙が溢れてしまいそうになります。

 

なので、いまの仕事が思うようにいかず、辛かったり、将来に不安を抱えていたり、そんなさまざまな思いに葛藤している人がいるとしたら、少なくともぼくは経験者で、それは本当に寂しく、悲しいことと知っているので、一緒にその時間を共有できます。大した解決策があるわけではないかもしれないけれども、その不安な気持ちは、わかってあげられます。

つまるところ、『EPIC GOAL』は、そんなこころの交流のできる仲間の集まりにしたいと思います。だから、一緒にがんばりましょう。こころから応援します。

 

シュテルン
吉岡岳彦